128話 主従よりもただの幼馴染みであれ
今回は昔話から始まります。
レンがまだ異世界にいてラストが存命だった頃の話です!
レンが十歳になった頃、まだラストが存命だった頃の話、レンがラストに使命を言い渡された頃の話だ。
レンは日本に行く時に若返りの魔法を受けて龍と同年代で成長できるようにされた。
故に龍と違って百十六年の記憶がある。
「レンよ」
「何でしょうかお爺様」
「私の親友の孫を護ってくれないか?」
「お爺様の親友?」
ラストは個力や自分が持つありとあらゆる知識で寿命を延ばしてきた。
しかし、彼も生物、自分の終焉を感じ取り自身がやろうとしていたことをレンに託そうとしたのだ。
「ああ、その子はいつかこのルシフェル大帝国を背負う者になる。だが私はその時には死んでいるだろう。だからレン、私の代わりにやってくれないか?」
「お爺様の言ってることよくわかんないけど…レンやるよ!それでお爺様が喜ぶのなら!」
「そうかいそうかい。だが私のためにではなく自分のために果たしてくれ」
「うん?」
「まだレンには早いか。…自分の意志は自分で決めなさい。レンは自由だ。王を護る剣は自由でないと」
なお、王の護剣と名付けたのはラストではなくアヴェルだ。
名前の由来は王の護剣が誕生する前にラストがレンに言ったこの言葉から来ている。
そのことを今、レンは思い出している。
(そのことを言ってルークス家、初代当主のラスト・ルークス、お爺様は三十年後に亡くなった。私は主を護れと伝えられた時の記憶を今でも鮮明に覚えている。最初、主に会った時は『変な子供、こんなのを護らないといけないんだ』と思った。けど次第に主のお人好しさや勇敢さ正義感の強さを知ってこの人を本気で護りたいと思うようになった。その時、私は張りぼての王の護剣ではなく本物の王の護剣になった気がした。だって今、こんなにも誇りに思ってるのだから!)
「我流剣術炎の型!」
レンは刀を二本持って跳び振り下ろした。
「炎天双斬!」
レンが使う剣技は誰もが使えることができる剣技だがレンの個力による身体強化等で威力が大幅に上がっている。
また、自分で使いやすいように改良してある。
故に我流、翔龍はこれを『覚えた技は同じだが別次元の技に昇華できる天賦の才能』だと言っている。
スゴい俺達が苦戦していた九尾狐と渡り合えている。
これが王の護剣のリーダーである恋の力なのか。
どれだけの時間を費やしたらここまで行けるんだ?
きっと絶え間ない努力が生んだ力なのだろう。
けどまだ足りない。
あいつを倒すのにはまだ一歩届かない。
というか俺はいつまでも突っ立ってる!
俺は恋の主で恋は俺の部下!
部下だけに戦わせる上司が何処にいる!
「恋!サポートぐらいなら俺もできる!」
「主は下がっていて!」
「断る!俺は突っ立ってるだけじゃ納得しない性なんでね!」
そこんとこお前なら嫌になるほど知ってるだろ!
自分が最も信頼している者と並んで戦うと負担が減るな。
(そうだ。主はそんな性格だった)
「ではお願いします!」
「おう!」
「…昔を思い出すな」
翔龍は戦いで疲れたのかアヴェルの近くに座って二人を見ていた。
「昔ですか」
「ああ、琥珀と並んで戦っていた頃の話だ。…儂らに似ておるあの二人は。主従とは言い表すことができない良い関係になるな」
二人の並んだ姿を見て翔龍は遠い時代の琥珀と自分の姿を重ね合わせる。
そして懐かしくなったのか笑みをこぼした。
「二人になっても結果は同じだ!主従まとめて消し去ってやる!」
「俺達は主従なんて柔な関係じゃねぇ!」
「じゃあ、何ですか主?」
「ただの幼馴染みだ」
別に恋が俺の部下になっても俺と恋の関係は変わらない。
いつも笑ってふざけあう普通の幼馴染みで充分だ。
「それは気楽で助かります」
「だろ!」
次回!二人の幼なじみVS谷山村の九尾狐!
…次回でおそらく終わります(-ω-;)
今回で終わると前回の後書きで言った覚えが…。
それではまた次の話で!




