124話 解き放たれし者
封印解放!
九尾狐が龍に牙をむく!
何で龍に?
…勘違いしています(´-ω-`)
龍が不良達を倒した同時刻、屋敷では怒り任せで捜索しようとしていたフィアナが翔龍に拘束されていた。
料理の手伝いを終えて一睡をしていたが空腹を感じて目覚めた時に状況を訊いたのである。
また、『拘束されている』よりかは『巻き戻されている』の方が正しい。
「何で…前に!進まない…のよ!」
「時間逆行の応用だ。お前さんの時間を巻き戻している。一歩も前に進めんぞ」
「何で…行かせてくれないの!」
「頭に血が上った状態で何ができる?…これは」
そして同刻に不良のリーダーが鉄扉の封印を破いた。
更に翔龍は九尾狐の気配を感じ取って立ち上がる
「この中に認識阻害の魔法を使える者はいるか?」
「それならシエラさんの個力で…」
「そうか。ウルミナ殿、鶴橋と藍ヶ崎が外に出ないよう見張っていてくれ。他の王の護剣は何処だ?」
ウルミナは龍の方には行かずに困惑する陸斗を連れて屋敷に戻っていた。
ちなみに陸斗は千草と恋に目の前で巻き起こった摩訶不思議の出来事を語っているが相手にされていない。
「残りの三人は龍様の方に行きました。…それと陸斗様が我々の世界を知って困惑しております」
「構わん。龍が王座についたら公に発表する予定だからな。では行くぞ」
「ところで何でシエラさんを?」
「因縁の相手が目覚めたのでな」
場面は境内に戻り、解放された妖怪が三人の前に姿を現した。
バス程の大きさで尻尾が九本の白色の狐、九尾狐の一種だ。
その存在に逸早く気づいたアリスが気絶した不良を境内の外に転移させる。
「死んだら目覚め悪いから」
「いや、それで良い」
何だ、この大きな魔物は…。
ショッピングモールの時の揺れは起きていない。
となると日本に元からいた妖怪なのか?
「見つけたぞ翔龍!!あの時の屈辱!今ここで貴様を殺して晴らす!」
翔龍?何で親父の名前を知っているんだ?
だけど親父は見当たらないな。
「龍!」
「危な!」
いきなり火炎放射とか何するんだ!
まさかこの九尾狐、俺を親父と勘違いしているのか!?
「おい!勘違いしているぞ!俺は翔龍じゃない!翔龍の息子、龍だ!」
「そんなので我の目は誤魔化せんぞ!その身から溢れ出す妖気!臭い!雰囲気!全てがあの時と同じだ!多少、見た目を変えたからといって誤魔化せるとでも思っていたのか!!」
いやいや、人の話は訊けよ。
恋とフィアナでも流石に初手から攻撃はしないぞ。
あの二人は話を聞いた上で攻撃をしてくるからな。
そして一瞬で反省して謝ってくる。
親父に何をやられたのかは知らんが復讐に染まっている。
…どうしたもんかねぇ。
「息子の言う通りだ!谷山村の九尾狐よ!汝が怨敵、ショウリュウ・インフェルノ!我はここだ!」
「親父!?と王の護剣、来るのが遅いぞ!」
「下がっとれ龍!小奴は儂の因縁の相手だ!修行時代にこの村に封印した妖怪でな。…ったく封印の注連縄を外したのは何処の馬鹿だ!伝承通りに言い付けを守らんか!」
「貴様のような老人が翔龍だと!?ふざけるのも大概にしろ!」
九尾狐は目の前の老人が翔龍だと信じきれない。
また、怒り任せで火を吹き付けた。
「時間逆行!!」
しかし、時間が巻き戻り翔龍は無傷で攻撃を対処する。
翔龍の個力の呼び方が違う理由は最近まで時間逆行と呼ばずに時間逆行と呼んでいたからだ。
「これで理解したか!残念なことに明野琥珀はこの場にいなくてな。儂一人で満足しろ。それとシエラ、個力で一般人への認識阻害を頼む」
「あ、はい!」
「だが後衛の貴様に何ができる!」
「それを今から示してやる!」
翔龍は持ってきた日本刀を構え九尾狐に立ち向かった。
…あれ俺の親父ってこんなに格好良かったか?
というか母さんが先頭で戦っていたのかよ。
次回!翔龍が個力を使い大暴れします!
それではまた次の話で!




