12話 口喧嘩の続きは決闘で
ホームルームの続きで~す。
タイトル通り、決闘に発展していきます!
アンド!あらすじにある個力の説明(?)が出てきます!
ユルグレイト学園の1年B組では現在、フィアナと龍が朝礼中に口喧嘩をしております。
「何であんたが居るのよ!」
「知るか!色々あってこうなったんだよ!」
「色々って何よ!」
「察しろ!」
「すみませ~ん、わかりやすく説明してくれますか~!」
説明できるのならしたいわ!
けど大人の事情が絡んで話せねぇんだ!
『王家』って言葉が出た瞬間にある程度は察しろよ!
ああ、何かこういうタイプの女子にすんげぇ心当たりがある!
「大人の事情だ!」
「大人の事情ってなによ!」
「そうか!子供だから大人の事情がわからないのか!」
「子供じゃないです~」
「そういうとこが子供だ!」
二人は自分の言いたいことを豪速球でキャッチボールをするが如く相手にぶつけてる。
いや、キャッチボールではなく言葉の銃撃戦の方が正しいのかもしれない。
そして我慢の限界がきたのか、ティルミッド先生が深く息を吸い大声を上げた。
「大人の私から見たら二人とも子供ですー!」
教室は一瞬にして静まる。
そして生徒達は目を丸くしてティルミッド先生を見ている。
「先生が大声出した!」
「ねえ、記録更新じゃない?」
「そうだね!前は五文字が限界だったよね!」
何の話をしているんだ?
この先生が大声出すのがそんなに珍しいのか?
授業の時とかどうしているんだよ。
「…決闘よ!」
「決闘?」
「そう決闘!もし、あたしが勝ったらあんたは荷物を纏めてさっさと田舎に帰りなさい!あんたが勝ったら…何でも言うこと聞いてやるわ!」
「はぁ?」
「受けるでしょ男よねぇ?」
ああ、そうだ!
今、思い出した!
こいつ恋の性格にそっくりだ!
前にも恋とこんな言い争いした覚えがある!
「上等だ!その決闘、受けて立つ!」
「決闘だー!」
「じゃあ決闘は三日後ね!」
「いい席、取らなくちゃ!」
龍とフィアナの決闘が行われることになり生徒は騒ぎ出した。
何故なら相手は転校生、表では王族の遠い親戚となっている。
これを観戦しない奴はそうはいない。
しかも自然に受け流しているが勝手に日にちまで決められている。
(何でこうなっちゃったのかな~)
一方でティルミッドは一人、反省タイムに突入する。
また、二人の決闘はユルグレイト学園に在籍する全校生徒に伝わって学園の大きな話題になった。
そして昼休み、学園長室、
「すんませんした」
「本当に何をやっているんですか!龍君は魔法も使えない個力も理解していないのにフィアナさんにどう立ち向かうんですか!」
しかし、気持ちを切り替えティルミッドは復帰した。
ただし今は全力お説教タイムである。
「フィアナは超攻撃特化系の個力よ。悪いけど勝ち目はない。けど龍にはこの学園にいてもらわないと困るわ」
「シアンの言う通りだ。龍君、これから今日を含めた三日間、授業に出なくていい。その代わり、猛特訓だ」
「へい…。というか個力って何ですか?」
ユルグレイト王国に来てから気になっていた。
まあ、汽車に乗ってた医者から初めて聞いた言葉なんだけど。
「それは私から」
ティルミッドが個力の説明をしようとすると、
「個力というのは各個人が持つ特殊な魔力の略称です」
シアンが割り込んだ。
言うまでもなく担任としての立場を奪われたティルミッドは落ち込んでいる。
「それは担任の私のセリフです…」
「すみません。ティルミッド先生の声は小さいし」
「何か酷い…。とまあ、シアンさんの説明であっています。しかし、『各個人が持つ』と言っても持っている人は極少数です。クラスに最低でも三人程度の人数しかいません。ちなみにシアンさん、フィアナさん、学園長は個力持ち、個力使いです」
要するにゲームでのスキルみたいな感じか。
あの分厚い本には『この世界にスキルみたいなモノはない』と書いてあったがあるじゃん。
でも、魔力だからスキルではないのか。
「私の個力は防御特化系の個力、守護神です。能力は盾を自在に出現させたり攻撃を無効化することができます」
ああ、特大わんこの時のあれか。
そういえば個力って言ってたな。
あの痛みのせいで今まで忘れてた。
「私の能力はバランス重視の正義、防御や反撃等を行う。そしてフィアナの個力は最果ての領域、身体能力や魔法を強化する個力だ。はっきり言って攻撃系個力の中では最強クラスに匹敵する」
完全にヤバいヤツじゃん!
人生最大のガチャで大当たり出してんだ!
確定時に引いたか!?
「とにかく龍君が個力使いかどうか調べる必要がある。ついてきなさい」
「いえ…学園長…そっちは窓です」
学園長はバルコニーの柵に足を乗せた。
まあ、この学園に来てからの経験上から察するにあれだ。
「飛ぶんだ!」
ですよね!
だけど、
「無理ですよ!」
「なら、後は任せたぞシアン!先に行っている」
そう言うと学園長とティルミッド先生は窓から飛んでいった。
…この世界、何でもありかよ。
ちゃんと玄関から出ていけ。
「はぁ~。行きますよ」
「ちなみにどこに行くんですか?」
「…研究塔みたいな場所」
そういう訳で龍達は『研究塔みたいな場所』に移動した。
「早速だが龍君、この石板の上に乗ってくれ」
研究塔の部屋には古代文字ぽい字が書かれた大きな石板が様々な機械に繋がれて中央付近に置いてあった。
ほぼこの機械がこの部屋の占領している。
「これで調べるのか?」
「その通りだ。個力は特殊な魔力だから常人とは違う魔力があったら個力使いだ」
要するに魔力を抽出して個力についてわかるようにする古代技術ね。
だいたいこういうのは古代技術で片付く…そう思いたい。
「お願いします」
深呼吸して石板に乗ると光り出した。
三人の様子から、この石板に繋がっている管の先の器具に情報が表示されているのだろう。
「学園長、龍君の個力は何ですか!」
「急かすな!…まさか!?」
学園長の顔が青ざめた。
これなかったパターンだ。
「嘘!?」
ティルミッド先生まで青ざめてる。
ああ、もうこれ詰んだ気がする。
「龍君、結果が出だぞ。君の個力は創造かつて君の祖父、魔王ルシフェル様が持っていた生命以外の全てのモノを無限に創り出す事ができる個力だ」
予想外の結果が来たあぁぁ!!
しかも爺ちゃんが持ってた個力!?
てか、個力って継承とかできるんだ。
そんなのされた覚えないけど。
「驚かないでください。更にもう一つ個力が発動しています。これはレアケースです。しかもどんな個力か不明!新たな個力かもしれません!」
しかも頼んでいないのにオマケ付きだった!!
何だこれ!これで無双しろとでも!?
嫌だよ!つまんなくなる!
よし、変なことをしでかす前にちょっと落ち着こうか。
「スゴい!スゴいよ龍!ルシフェル様の個力を受け継ぐなんて!」
シアン先輩が性格からは予想できないほどはしゃいでる!
そんなにスゴいことなのか!?
とりあえずこの力を使って決闘に勝ってやる!
…やっぱり女子だからやりにくいなぁ。
それにしてもフィアナは学園長の養子だよな?
俺が魔王の孫だって事は伝わってる筈なのに何であんな事をしてきたんだ?
気になるから後で訊くか。
てなわけで龍は三日間、猛特訓します!
ちなみに龍が不死の理由は新発見の個力の力です!
これは第二章の終わりあたりに明らかになります!
それではまた次の話で!




