117話 一歩進んだ恋心
今回は千草が暴走する回です!
悪い意味での暴走ではありません!
でも、良い意味での暴走でもないのかなぁ(´-ω-`)
ああ、いいお湯だった。
先に外で待っていたが蒸し暑くなく涼しい風だ。
ゆっくりと温まった体が徐々に冷えていく。
さてと女子組も出てきたが一つだけ訊きたいことがある。
「そっちの湯の温度高かったか?茹ダコみたいになっているけど…」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと適温でした」
千草がそう言うのなら問題はないか。
屋敷に戻る際に陸斗は三人から離れる。
そして千草を呼び止めて本当のことを訊いた。
「なあ千草、本当は何があった?」
「あらバレてた?」
「何年、お前のそばに居ると思ってんだ」
何やってんだあの二人は。
まあ、恋人の内緒話に他人が突っ込むのは野暮だからな。
「言うわね。フィアナが堂々とみんなの前で龍が好きって言った。あと他の三人も声に出してないけど確実に惚れてる」
「マジかよ。やべえじゃん。で、どうする?」
「どうするって恋のキューピットとしては親友を応援したいよ。けど女子としては中立の立場よ」
そろそろ距離が離れてしまう。
声だけかけておくか。
「二人とも!早く来ないと置いてくぞ!そんなに二人で浸かりたいのなら行ってこい!」
「「行かんわ!!」」
あらドンピシャで突っ込んできた。
恋人だから心もシンクロしているのかな。
そして龍達は屋敷に戻り、二階に用意された男子部屋と女子部屋、王の護剣部屋に別れた。
ちなみに王の護剣で唯一の女性であるウルミナは女子部屋に振り分けられている。
「明日、何すんだ?」
「…考え中。…山登りするか?」
「俺様はそれでいい」
「同じく」
「じゃあ、決まりだな」
男子組が布団に入った頃、女子部屋ではまたもやガールズトークが繰り広げられていた。
それとウルミナは被害に遭わないように持ち前の瞬時に寝れる力で寝ている。
要するにとある誰かに恋している自覚はあるのだ。
「さて、五人が龍を好きだとわかったことで…もっと進展させよう!」
「私はそうと決まったわけじゃ」
「いや、確実に惚れてるよ。この私が言うんだからね」
逃げ場がないと悟った四人は諦めて渋々、多少の興味を持ちながら千草の話を耳に入れる。
「まず五人ともこの田舎に滞在してるまでに龍に何らかのアピールをすること。率直に好きだ!って言ってもいいし、態度で好きだと教えてもいいよ」
「千草っちってこんな性格なの?」
「うーん、だいたい人の恋愛話になるとこうなる」
さて、こうなった千草は闘牛のように走り出す。
仲良し三人ですら止められないのだ。
千草は自分の言い分を一方的に押し付けるのではなく相手の言い分も聞いてくれる。
そして、それに合ったアドバイスをしながら話を進めるので余計に止めにくいそうだ。
「具体的に?」
「いい質問だねフィアナ!まずは率直に伝える場合は良いムードの時に言う方がいいよ!晴天の砂浜の岩陰で照れながら伝えるのもよし!夏祭りで二人っきりになった時に伝えるのもよし!一番ドキッとさせたいのなら!さり気なく自然に伝える」
「ん?夏祭りあるの?」
「あるよ!村を案内された時に見た掲示板にあった!」
千草はスマホで撮った夏祭りのポスターを見せた。
三日後の夜の七時から行われるらしい。
「次に態度で示すのなら積極的に相手に近づいて時が来たら伝える!…焦らしていく戦法かな?私の場合はこれとさっきのを使って陸斗を射止めた。さあ!という訳で明日からチャレンジしていこう!まあ、やり方は教えたことだし何で龍のこと好きになったのか教えて!」
話がヒートアップして千草の声が段々と大きくなっていく。
それを五人は止めようとしたがもう遅い。
襖が大きな音を立てて獄卒が出現した。
「寝ろ」
そして不機嫌そうに襖は強引に閉められた。
開けたのは千草の彼氏である陸斗であった
女子部屋が騒がしくなり寝ぼけながら襖を開けたのだ。
「…はい、反省しております」
次回!予定通りに登山しま~す。
それではまた次の話で!




