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114話 宴会場のお掃除

宴会場の掃除で別荘を訪れた原因を発見します。

「ええっとさっき爺ちゃんから連絡があった。『暫く舞台の掃除をしているから宴会場の方だけ掃除しといてくれ』と」


「宴会場もあるのか!?」


「ああ。玄関から上がると時間が掛かるから直接、縁側から上がって…よし、開いているな。この部屋だ」


 龍は靴を脱いで縁側に上がり障子を開けた。

 明野家別荘の宴会場は妖怪達が『人目を避けたいが派手に宴をしたい!』という時によく使われる。

 こんな使い方もされたことがある。

 明野家別荘をある妖狐が貸切にしてもらい今、翔龍が掃除している舞台と宴会場を使って派手に結婚式をした。

 基本的に谷山村は人が訪れないため妖怪達には最高のリゾート地でもある。

 そのため別荘の奥には今も使われている宿泊施設がある。

 なお、結界で隠されているので人には気づかれない。


「広っろ!何畳ぐらいだ?」


「調べたことないがまあ、旅館の宴会場よりやや少ないぐらいだろうな」


「そんなものか?半分にしか見えないけど」


「ああ、真ん中の襖を外したらそうなる」


「なるほどね~」


 龍、陸斗、千草が訳のわからない話をして戸惑っていたエレノアが龍に近づき裾を引っ張り視線を向けさせ質問をする。


「あのタタミって何ですか?」


「昔からこの国に伝わる伝統的なものだ。あれだよ。床の代わりみたいになってる。ほら、母さんの所にもあっただろ?」


「ああ、あれですね。それならあっちの世界でも見たことあります。極東の国から来た商業ギルドが売っていました」


 あっちの世界にも日本に似ている国があるのか。

 今度、時間があったら訪れたいな。

 それはそうと気になるワードが出たな。


「商業ギルドってなに?」


「商人のギルドです。冒険家ギルドとは違って相手に商業を提供する。要するに物を作って売る。物を作って各国に運ぶ。物を作って冒険家を助けたりしています。冒険家ギルドは名前の通り、冒険家が所属するギルドです」


 やっぱり、そういった組合的な団体ってあるんだな。

 冒険家ギルドや商業ギルドと協力して何かをすることも頭に入れておこう。

 そうすれば魔物の出現の際に冒険家と連携がとれるし、物資に困ったら商業ギルドに頼ればいいからな。

 そしたらシエラのような目に遭う者もいなくなるだろう。


「ありがとう龍」


「良いってことよ」


 というかショッピングモールの件ないし常時、発動させているな。

 個力は例外だが影響が出るかもしれないし解除しとけよ。


「それじゃあ、男四人で畳を外に運ぶから女子は畳を叩いたり、畳を取った所に掃除機をかけてくれ」


 その後、龍の指揮のもとそれぞれ戸惑う事なく効率よく役割をこなした。

 そして掃除は終盤に差し掛かり陸斗が畳を持ち上げた時、不思議なものを見つけた。


「龍、これって何だ?地下への扉に見えるんだけど」


「確かに何だこれ?」


 陸斗が持ち上げた畳は隅っこの荷物置き場のようになっている正方形の場所に置かれていた物だ。

 俺も実際に畳を全て外して掃除したことがなかったから気づかなかった。

 鉄製の扉ではなく木製の扉だ。

 周りの木より古いから建てられた当初からあるのか?


「龍も知らないのか?」


「ああ、初めて見た」


「防空壕だよ」


 あ、親父だ。

 舞台の掃除、終わったんだ。


「へ~、これが防空壕ですかぁ」


 いや、これが防空壕の筈がない。

 仮に防空壕なら記憶はないけど俺も入っていた。

 それに田舎に行く前に母さんに戦時中は『異空間や向こうの世界に籠っていた』と聞かされた。

 親父、何か隠してるな。

この防空壕と翔龍が言ったものが今回の鍵です!

それではまた次の話で!

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