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105話 ショッピング②

ショッピング②!!

龍にピンチ襲来!

修羅場的なピンチではありません!


 時は遡り少し前、水着売り場では女子組が和気藹々と水着を選んでいた。

 しかし、二人だけは何故か火花を散らしている。

 店員すら寄せ付けぬ恐ろしさだ。


「…また」


「…奇遇ね」


 それは言うまでもなくフィアナと恋だ。

 この二人は気に入った水着が今ので九回も被っている。

 龍の思っている通り二人は趣味や性格までもが良く似ている。

 一応、フィアナと恋には何の関係もない。


「…まただ」


「…またね」


 これで十回目になった。


「あの二人、さっきから何やってるの?」


「気に入ったのが被ってるらしいですよ」


 他の女子組は二人の行動に呆れながら各々、気に入った水着を選んでいる。

 なお、ウルミナは誰よりも早く選んで警護に集中している。

 これでも決断力はそれなりに高めな性格なのだ。

 

「このままじゃ埒があかない」


「そうだね。どうする?」


「…私も決まらないし陸斗呼んでこよ~っと」


(ついでに龍も呼んでくれば何とかなりそう)


 千草は陸斗に水着を選んでもらうために店舗から出た。

 そして時は戻って陸斗が女子の水着売り場に入ってくる。

 更に彼女は宣言通りに龍も連れてきた。


「あのさ千草」


「何?」


「俺を呼んだ理由ってこれか?」


 何かフィアナと恋が高速でじゃん拳してんだけど。

 フィアナと恋にしては良く考え抜いた解決策だな。

 だが何でたかが水着選びでじゃん拳する状況に発展してんだ。

 しかも連続であいこって仲良いなお前ら。


「おいおい、お前ら何やってんの?他のお客さんに迷惑だから今直ぐに止めろ。止めないのなら強引に止めるぞ。…聞いてねぇな」


 じゃあ、有言実行だ。

 男に二言はない!

 時には男女平等鉄拳制裁です!

 

 龍は二人を止めようと近づいたが運が悪かったようだ。

 どういう訳か偶然、二人ともグーを出して龍に直撃させた。

 二人は拳に何かが当たったと気づき恐る恐る確認する。

 先ほど聞き慣れた声が割り込んできた。

 それに彼は無闇に女子の水着売り場に近づく筈がない。

 しかし、二人の予想は当然だか拳と同じく当たっていた。


「「…あ」」


 無表情でこちらを凝視する龍がそこに居た。

 そして拳を払い除けて無言で再び近づいてくる。

 また、龍は二人の頭を鷲掴みにして問い質しついでに怒ってきた。


「『あ』じゃねぇよ…。仲裁に入ろうと思ったら何で殴られるんだ!テメェら打ち合わせでもしたのか!!」


「「すみませんでした」」


「で、何やってんだ?」

 

「「気に入った水着が被った」」


「返答も被ってんぞ。というかフィアナ、それサイズが合ってないだろ」


「え?…本当だ!何でわかったの?」


 そんなの訊かずにに察しろ。

 …この顔は理解していない感じだな。

 言いたくはないが言ってやる。


「…お前が散らかした衣服、誰が畳んでると思ってんだ」


「…ああ、なるほどね~」


「衣服を畳む?どういうこと?まさか二人って相部屋…じゃないよね?絶対に違うよね?」


 だから言いたくなかったんだ。

 俺が異世界関係以外に隠しときたい秘密がある。

 それはフィアナと相部屋になっていることだ。

 これは正直に言った瞬間に軽蔑される。

 そのため再び言い訳する。


「こいつの性格がだらしないから放課後、たまに様子を見に行ってんの」


「…そうなんだ」

 

 理解してくれたか。

 …いや、理解してくれたのか、この目は?

 何か多少の疑惑を向けられているんだけど。


「龍、ちょっと困ったことがありまして」


 エレノアが頬を赤く染めて周囲を見渡しながら俺に近づいてきた。


「何だ?」


 そして少し間を開けて耳打ちする。

 何となくだが予想できたぞ…。


「サイズに合う水着がありません」

 

「…それは男子に言うことじゃない」


「だって他に訊く人が…」

 

 エレノアは困り事は現地民に訊くのが正解と思っているのだろう。

 千草は陸斗に水着を選んでもらってるし、恋は先ほどまでフィアナとじゃん拳をしていた。

 確かに遠慮なく訊ける人が居ないな。。


「店の人に言ってこい。多分、あるだろう」


「ありがとうございます」


 エレノアが自分に合うサイズの水着がないか店員に訊くと店員は快くエレノアを案内した。


「エレノアちゃん、どうしたの?」


「合うサイズがないんだとさ」


「…あの子の胸ってどうなってるの?」


「俺に訊くことじゃない。知るかそんなの」


 お前も男に訊くものじゃない問いかけをするな。

 というか用事も済ましたし早急に立ち去っていいか?

 陸斗ぐらいの地位の男しか入れないんだぞ、ここは。


「…周りとの格差がエグい」


 恋は周りを見渡してほんの少し落ち込んだ。

 だが背後を通過したアリスを見て安堵の表情を浮かべた。


「何かボク、ムカムカしてきた」


 こうして女子組の水着選びは終わった


次回はあんまし需要がなさそうな男子組の買い物です。

それではまた次の話で!

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