100話 お母さんはオタクですが何か?
龍のお母さんは日本文化をこよなく愛する生粋のオタクです!
そして龍の親父、翔龍の個力が登場!
突然の母親の登場に驚いた龍達であったが翔龍が仲介役として入り神社の方に移動した。
王の護剣は周辺の警備のため中に入っていない。
「改めて自己紹介をします!種族は妖怪!分類は鬼神!明野琥珀!龍のお母さんです!」
…何かモヤモヤするなぁ。
若いちゃ若いけど様々な面で遥かに若けぇ。
このテンションで授業参観に来られたら子供がスゴく困惑しそうな感じだ。
「なあ、親父、母さんって何歳なの?」
「本人すらあんまりわかってないんだけどなぁ。確か儂より年上で…」
え?親父の方が老けてるけど?
母さんの方が年上なの?
「本能寺の変の約二十年前辺りと言ってたな」
「え?苺パンツ?」
「そうそう、苺パンツ苺パンツ」
「それであんなに若いの?」
「儂は魔法で老化を早めたからな。一応、元に戻せる」
ああ、魔法で見た目を老化させているの?
変装系の類の魔法かな?
それもそうか、何時までも老けない親父とか周りから見たらとんでもない化け物だよな。
ということは暫く俺は世間には出されなかったのか。
「ちょっとちょっと!私を放置して何話してるの?」
「琥珀の年齢の話だ」
翔龍が琥珀の年齢の話をしてた事を琥珀に伝えると翔龍が一瞬にしてこの場から消え去った。
そして神社の外から王の護剣の驚きを隠せない声が聞こえてきた。
「…親父!?」
親父がテレポートした!?
「龍のお父さん何処に行ったの!?」
エレノアは立ち上がって翔龍が座っていた畳を確認する。
「この床、やや擦れてる」
床って畳のことだよな。
畳がやや擦れるって何が起きたんだ!?
「というかシエラ達の後ろにこんな穴、空いてた?」
「いや、開いてなかっただろ!」
「…おそらく、翔龍さんが開けた穴ね」
「その通りだ。全く少しは手加減しろ」
傷を何かの力で治しながら翔龍は再び元の場所に座った。
そして翔龍が通り過ぎると穴は徐々に塞がり始める。
「ええぇぇぇぇぇ!?何これ!」
アリスはこの世界に来てから一番の大声を出して驚いた。
回復魔法で傷の再生はできるが物の再生だ。
確かに物もある程度は再生できるがこの世界は魔素が少ない。
そのため物を再生したのならばかなりの魔力を取られる。
それに対してアリスは、いや、一同は驚いているのだ。
「…これも母さんの能力?」
「今のはお父さんのよ。時間逆行、それが翔龍の個力」
「つまり、時間を戻すってことか?」
「そうだ」
ということは今の傷を治していたのもそれってことか。
…うちの家系なんなの!
爺ちゃんは魔王で母さんは鬼神で親父は時間を巻き戻す!?
チーターの家系か!
「というか前より強くなった?」
「儂も成長するわ。お前に置いてかれるほど柔ではない。さて、こんな話をしてる暇があるのならさっさと中に入れてくれないか?」
「中?」
「ここは所謂、会議室みたいな部屋でな。ほら、玄関が目と鼻の先だろ。本来は琥珀の後ろの扉から奥の部屋まで行くんだよ」
変わった造りしてんなぁ。
妖怪達が住んでいる町もあるし会議室みたいな場所が設けられているのは必然的なんだろうな。
だからこんなにも広いのか。
じゃあ、何で入れてくれないんだ?
暫くして翔龍が溜め息をついて口を開ける。
「まだ散らかっているのか?」
「しょうがないでしょ!溜まってきたんだから!」
「何の話?」
「母さんの趣味の話だよ。幻滅するなよって言った原因だ。母さんは日本文化をこよなく愛する生粋のオタク。故にちょっとしたグッズが溜まってくるんだよ」
母さんオタクなの?
それは別にいいとして溜まるほどあるのはヤバくないか?
「さっさと売りに出せ」
「いやよ!その行為は私に死ねと言ってるようなものよ!」
「私生活に支障が出るのならお気に入りだけ残して売った方がいい。息子からの意見です」
「…龍がそう言うのなら…。でも、もう手に入らないかもしれないし!」
俺は片づけるのは得意だけど母さんは苦手なんだな。
じゃあ、親父が得意なのか?
でも、朝ドラとかのドラマ系の円盤が部屋に大量にあるから違うな。
それに釣り道具とか何かの雑誌とかも置いてある。
ちょっと待てよ…。
「親父も人のこと言えねぇだろ!部屋に大量に置いている円盤を何とかしろ!売らないのなら門下生の人達に言って全部、売ってきてもらうぞ!」
「龍!それは止めろ!」
「ざまぁ」
「琥珀、何か言ったか?」
「何も言ってませ~ん」
しばらく三人の親子の言い争いは続いた。
結果は龍の言い分を飲み込んで二人とも後で少し売りに出したそうな。
そして、これを見ていた龍の友達はよく似た親子だと心の中でそう思った。
次回は!……しばらくほのぼのしてくので予定はありませんσ(^_^;
それではまた次の話で!




