プロローグ
大問題だ。
うちの怪力巫女様が全然自重してくれないし、大人しく護衛に守られてくれない。
あの首をいつも縄で繋いでおきたいくらいだ。
まったく、どうすればいいんだか。
あんな巫女様、見た事がない。
巫女と言わずに、じゃじゃ馬、暴れ馬、狂暴馬と言った方がしっくりくる。
おかげで護衛である俺の気苦労はとどまるところを知らない。
いつもいつも本当に予想外の事をやってくれるから、危なっかしくて目を離してられないんだ。
けど、そんな前代未聞の塊だらけのあの人は、やっぱりまぎれもなく本物の巫女様だと思う。
俺は、俺が護る事が出来るの人があの人で良かったと思う。
でも、ほんとうに単身で敵に突撃していく癖はやめてほしい。
とても困るから。
まあ、愚痴はこのくらいにして、とりあえず日記に記録しておこう。
これ、音声も確か残せるんだったよな。
聖樹から支給された、機械……。
見た事ない物だ。
録音機というんだったか。
初めて扱うものだが、これえ使いからは会っているだろうか。
容量とかも、大丈夫だろうか。
あの方は日々すごい勢いで、トラブルを起こしていってくれるから、記録する事が多くなりそうだし、少し不安だ。
「ナナキ、何してるんだよ。食堂しまっちゃうぞ! モカも遅いって言いながら待ってるって」
「すみません、ルオン様。いま行きます!」
噂をすれば……。
まあ、後の事は後で考える事にしよう。
これ以上今日一日の悩みの種を増やしたら、心配事で眠れなくなりそうだ。
まずはいつの事から話そうか……。
やっぱり旅の最初からの方が良いな。