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4 初戦闘と少女


 隠れ始めてすぐ、地に響くような足音が聞こえてきてリザードマンらが姿を見せた。俺は緊張と恐怖で全身から汗が吹き出し、心臓が痛いくらいに拍動している。今にも飛び出してしまいたいが、自分の腕をきつく握りしめ、冷静さを保つ。

 どうやらうまくいったようでリザードマンたちは俺には気付かず、荷物のほうへ向かったようだ。だがしかし、おそらく不意を突いたとしても当てられるのは一撃から三撃までだろう。ここから確認できる限りでは奴らの総数は七体、つまり一撃で一体葬ったとしても残りは四体……。

 そこからは、まぁ、なるようにしかならないだろう。


「はっ……やっぱり怖いな……」


 恐怖と緊張で震える足を叱りつけ、機を窺う。どうやらリザードマンは俺の荷物をあさり、中身を物色しているようだ。位置関係としてはちょうどこちらに背を向けるような形だ。今なら気づかれないだろう、匍匐前進(ほふくぜんしん)の要領で少しずつ近づいていく。

 残り五メートルほどの距離まで近づいたが、気づく様子はない。あと少し……もう少し……一番こちらに近い個体のすぐ後ろまできた。

 もう息遣いが聞こえてきそうなくらいだ。刀をぎゅっと握り締め、そっと膝立ちになる。目の前の首を横なぎにすることだけをイメージし、余計なことが思い浮かばないうちに斬るっ……!!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!」


 刃はイメージ通りの軌道を描いていき、目の前のリザードマンの首に音もなく吸い込まれていった。肉を切る感触に怯みそうになるが、思いっきり振りぬく。


「あ……」


 ふっと手にかかっていた重みがなくなり、拍子抜けするほどあっけなく首が胴と離れてボトッという音を立てて落ちた。顔にかかる血の生臭さとその光景に吐きそうになるも気を取り直し、次のリザードマンに向かっていく。


「ああっ! 次ぃぃぃぃっっ!」


 他の個体は状況を把握できていないのか、固まっていた。俺は近くの胴を横薙ぎに断ち、心臓に突き入れ潰す。それ(・・)が倒れるのを確認し、さらに次へ向かう。ここでようやく事態を把握したのか、リザードマンたちも吠えて切りかかってくる。


「グルァァァァァァッッッッ!!」


 それを見て、俺の体は意思とは関係なく数メートルの距離を一瞬で詰め、リザードマンの一撃を躱していた。

 そして後ろに回り込んだ俺は刀身に左手を添え半身になり、右手で渾身の一突きを敵の背中に放っていた。それによりその個体は吹き飛び、絶命していた。


「はぁっ……!」


 息をつく間もなく、背後に気配が感じ取れる。慌てて振り向くも袈裟懸けの一撃を食らってしまう。


「ぐぅああっっ!」


 いたい……イタイ、痛い! ぐっ……どうやら致命傷ではないようだが、左肩から右脇腹にかけて裂傷となりかなりの出血をしているようだ。

 歯を喰いしばり、攻撃してきた個体を脳天から両断する。


「……ぐっ!」


 動くと傷に鋭い痛みが走り、気を失いそうになる。今は大丈夫でもこのままでは出血多量で死んでしまう……! 残りは三体、体は重傷で動きが鈍い……まずいな。どうす……!?


「グルルゥラァァァッッッ!!」

「しまっ……」


 一際大きな個体が棍棒の様な鈍器を右からかなりの速度で振りぬいてくる。よけ……られない!!死っ……!


「しゃがんでっ!!」

「!!」


 突然、女性の声が響き、俺は反射的にその場にしゃがんでいた。と、同時に先のリザードマンに光の矢が何本も突き刺さる。


「ガァッ……!」


 それで絶命したようで膝から崩れ落ちる。そこに横からもう一体切りかかってくるが一刀のもとに切り捨てる。

 もう二体とも立ち上がってくる気配はなく、先程の激闘が嘘のように辺りに静けさが満ちていた。安堵をした俺はその女性にお礼を言おうとするが、言い切ることが出来なかった。


「助かっ……危ない!」


 なぜなら彼女の背後から最後の一体が攻撃を仕掛けようとしていたからだ。俺は急いで助けようとするが、焦る気持ちと裏腹に間に合いそうにない……。


「くそっ! 逃げ……え?」

「はぁっ!」


 俺はその光景を信じることが出来なかった。裂帛の気合と共に攻撃を躱しながら、華奢な女性がリザードマンの腕を掴み、一本背負いをしていたのだ。


「食らいなさい……」


 倒れこんだところに彼女は何処からともなく、弓を取り出し、その脳天に光の矢を打ち込んだ。

 か細いうめき声と共に、最後の一体も絶命したようだ。


「ふぅ……。そこの君! 大丈夫ー?」


 そう声を掛けられ、唖然としていた俺はハッとする。


「あ、ああ……」


 おもむろに彼女が近づいてくる。


「そう、ならよかった!」


 先ほどの強さが錯覚に思えるほど、屈託のない笑顔だ。彼女に

 俺も助けてくれた礼を言おうとするが、意識がぼんやりして……。

 

「あ、やば……」

「ちょっとっ!?」


 倒れこむ視界には、俺を受け止めようとする流麗な銀髪の少女が映り、ふわりと受け止められる感触。そして鼻をくすぐるよい香りを最後に俺は気を失った。


────パッシブスキル「気配察知」を会得(ラーニング)しました。

────スキル「脱兎」を会得(ラーニング)しました。

────スキル「縮地」を会得(ラーニング)しました。

────スキル「刀術」の派生スキル「骨断ち」「橫一文字」「真月」「一刀両断」「牙突」を会得(ラーニング)しました。


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