青い雷と暴風
ゴゴォゴゴゴワー
それは突然起こった。
地面が振動しているかのような低くて大きい音が教室中に鳴り響く。
(なんだ?どーなってる!)
俺は一瞬地震かと思い、体を起きあげたが、その光景を目の前にして、考えを改める。
黒板が歪んでいる。
否、黒板ではなく、その前の空間が歪み、その後の黒板が歪んで見えているのだ。
クラスメイト達は今、空間の歪みに気づいたのだろうか、一瞬にして、教室が静寂に包まれる。
パキィーン
その静寂を最初に破ったのは、ガラスが割るようにして割れたその空間だ。
ここからの記憶は、あまり覚えていない。
青い雷、竜巻のような暴風、吸い込まれていたのか、飛ばされていたのかもわからない。
ただ、俺はその割れた空間に入ったのだ。
空間の裂け目に入った途端、果てしなく続く暗闇が俺の視界を埋めつくし、そして俺は自分の意識を手放した。
────────────────────────
「ねぇ、起きて!みんな起きて!」
その声を聞き、俺の意識は戻った。
寝不足の時のような倦怠感に襲われながらも、ゆっくりと体を起こし、先ほどの声の方に体を向ける。
(あぁ、さっきの声は日野のか)
声が聞こえる方には、俺と同じで今起き上がったところなのだろうか?気だるそうに体を起こしながら、こちらを向く日野の姿があった。
「起きたのね、他のみんなを起こすのを手伝ってくれる?」
一瞬だけ、その言葉の意味を理解出来なかったが、地面に転がるクラスメイトの姿を見て理解する
「あぁ、分かったよ。でも、ここにいる倒れてる奴ら大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫、気絶してるだけよ。私が言うんだから信じなさいよ!」
そう言いながら、睨みつけるような目を彷徨に飛ばす
(怖いから!分かったから!そんなに睨まないでくれよ!)
「分かったよ」
そう、ここにいる日野火憐は剣道の大会で何人もの選手を気絶させてきたのだ。
もし、分かったと言わなかったら今、俺の意識があったのかすら怪しい…
「何考えてんのよ」
ビクッ
「なにも!それより早く起こしてあげようよ」
これが女の勘と言うやつなのだろうか…
そんなことを思いながら、俺は倒れている他のクラスメイトの方へと足を運んだ。