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我が輩は骨である  作者: 日之浦 拓


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骨体のふしぎ(身体能力編)

2017.3.13 改行位置修正

 何故骨が動くのか? 言葉にすると哲学的だが、実際にはオカルトである。正直原理については判明するとはこれっぽっちも思えないが、思考を放棄してしまえばそこで終わってしまう。飽くなき探求こそが栄光への第一歩なのだ。


 ……まだ外に出るのはちょっと怖いとか、かと言ってそれだと暇を持て余しそうだとか、そんな理由は断じて無い。無いったら無い。間違いない。


 というわけで、小難しい原理云々よりも、まずはわかりやすい身体能力の方を確かめるべきなのではと思い至り、早速体を動かしていくことにする。


 まずは腕や足を曲げたり伸ばしたりしつつ、関節の可動域のチェック。筋肉などの縛りがないのだから、いっそフレキシブルに動きまくれるのではとも思ったが、この辺は普通の人体に準拠するらしく、曲がったら駄目な方向には曲がらなかった。痛みなどを感じたわけではないので、無理矢理力を入れたら曲げられる可能性はあるが、普通に考えるとボキッと折れるかパコッと外れるかのどちらかであろうと思われるので、無理はしない。


 続いて、腕力測定。その辺に落ちていた一抱えほどある岩を両手で持ち上げてみようと思い……


「ふんっ! ふっ…………くっ…………おおおぉぉぉ…………」


 ……持ち上がらなかった。うむ。予想より大分重かったらしい。決して私が非力なわけではなく、岩が恐ろしいほどの重量だったのであろう。

 というか、普通に考えて一抱えほどもある岩はそりゃ重いだろう。何故あれを持てると思った? 自分で自分に疑問符である。

 ということで、もう少し身の程をわきまえたサイズの岩……石を色々と持ち上げてみた結果、おおよそ30kgくらいの物までなら持ち上げられると判明した。比較対象となる存在が無いので、これがどの程度の強さなのかが全くもって不明だが、それでも自分の限界を知っておくことは決して無駄にはならないだろう。


 同じように、走ったり飛んだり、反復横跳びや腕立て伏せなどもやったりしてみたわけだが、走るのに関しては、曖昧な距離を脳内カウントしつつ全力疾走などという無茶ぶりをこなしたせいで「たぶん遅くは無いだろう」と判断するほかなく、垂直跳びは50センチくらい、反復横跳びはノリでやってみただけなのでどうやって判断していいのか分からず、腕立て伏せは疲労を感じないので無限にできそう、という何とも言えない結果になった。

 自分の中の感覚を頼りに総合的な評価をするなら、まさしく「可も無く不可も無く」といったところだろう。まあ特に秀でることが無かったとしても、何かに劣ることが無かったのなら良しとすべきだ。何せ私は一人きり、何もかもを自分だけでこなすなら、スペシャリストよりゼネラリストなのだ。


 ということで、だいたい自分の身体能力というのを把握できた。となれば、最後はもっと根本の……何故この骨の体が動くのか、ということになる。そしてそれは、自分という存在の根幹……何故骨が生きているのか、この思考は、意思は、私という魂は、いったい何処にあるのか……そういう話になる。

 それは、考えても意味の無いことかも知れない。ここまででそうしてきたように、全てはそういうものなのだという割り切りで納得してしまえば、それで終わる話なのだろう。でも、それでは駄目なのだと、私の中の何かが警鐘を鳴らしている。その思考を終えることは、「私」を終えることなのだと。


 だから考えよう。考えるだけ考えてみよう。私が私であるという、たったそれだけの当たり前を手に入れるために。

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