表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が輩は骨である  作者: 日之浦 拓


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/89

骨体のふしぎ(感覚編)

2017.3.13 改行位置修正

 思い立ったが吉日ということで、自分のことを調べてみる。まずは何と言ってもこの骨ボディのことであるが……


「うーん……ステータス!」


 ふと頭に浮かんだ言葉を言ってみる。が、別段何も起こらない。そのまま、心のままに手を動かしたり指を振ったりクルクル廻ったりしてみたが、やっぱり何も起こらない。


 そうか。何も起こらないのか


 満足するまで奇行を続けた結果、その結論に至ったことで、私の心は再び平穏に包まれた。何かが起こるような気がしたから、それをしたのだ。だが、何も起こらなかったならそれでいいのだ。何も起こらないという事実の確認こそが、きっと私には重要だったのだから。


 ということで、多少寄り道してしまったが、改めて自分の体を調べてみる。まずは感覚。視覚と聴覚は既にわかっているとして、物に触れた時の感触はあるから、触覚そのものは存在しているらしい。となると、後は痛覚や熱感覚であるが、少なくとも軽くひっかいた程度では、痛みは感じなかった。あるいはもっと強く……それこそ指の一本も折ってみるなりすれば感じるのかも知れないが、そもそも「この体で怪我をした場合、治るのか?」というのがわからないので、これ以上試す気に

はなれなかった。

 熱感覚に関しては、地面に触れるとそこはかとなくひんやりしているような感じがするのだが、思い込みや先入観による勘違いではないと明確に否定できるほどはっきりとはわからなかったので、とりあえず保留しておく。

 残りは嗅覚と味覚だが……嗅覚に関しては、意識して嗅ごうとした場合のみ、少しだけわかるのではないかという気がする。これもやはり、何か強い臭いのするものを嗅いでみないとはっきりとは言えなそうだ。

 で、最後の味覚だが……これははっきりと「無い」と言える。3度躊躇った後、勇気を出して土を口の中に放り込んでみたのだが、何を感じることもなく、そのまま口を素通りして地面へと落ちたのだ。

 あのベチャッという音を聞いた時の、安堵と失望の入り交じった感情は、言葉では表現できない。


 まあとにかく、感覚に関してはこんな感じで判明した。となると、次は物理的な面での問題にうつる訳だが……「そもそも、自分はどうやって動いているのだろうか?」という、根本的な問題が立ちはだかる。


 幾度となく繰り返しているが、私の体は骨である。正確には、骨オンリーである。関節の隙間を埋めるべき軟骨すら無いという、徹底的な骨っぷりである。

 にも関わらず、私は動いている。筋肉があるわけでも無いのに、肘も膝も曲がるし伸びる。

 いかなる原理を持ってして動くのか? これに関しても、正直視覚とかと同じでそういうものだと割り切ってしまうのが良いような気もするのだが、反面これに関しては、もう少し突っ込んだ検証をするべきだとも思える。


 正解など、誰にもわからない。そして、少なくとも今現在、私にはそれ以外にすることが無い。いや、無いわけではないが、こっちの方がより優先度が高い。ならば躊躇う必要などない。もっともっと追求していこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ