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我が輩は骨である  作者: 日之浦 拓


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骨畑

2017.3.13 改行位置修正

「掘る~♪ 掘る~♪ 穴を掘る~♪ 骨は孤独に穴を掘る~♪」


 歌を口ずさみながら、骨の体は穴を掘る。ボーンパ……魔素を操り、指先に力を集めると、抜き手の感じで大地に突きを放つ。手首ほどまで埋まったところで、指先をクイッとやって土を掴むと、そのまま引き抜くことで穴とすると、掻き出した土を絶妙なふんわり加減で元の場所に戻すことで、何となく耕した感を演出する。


「掘る~♪ 掘る~♪ 穴を掘る~♪ 孤独だけれど一人じゃないよ~♪」


 突く。刺さる。クイッとして、抜き、かぶせる。一連の動作を、寸分の狂い無くリズミカルに繰り返す。歌いながら木を切るのは与作だが、歌いながら穴を掘るのは骨の専売特許である。疲れを知らないその姿。うおォン! 私はまるで骨型耕耘機だ!


「掘る~♪ 掘る~♪ 穴を掘る~♪ お墓じゃないよ畑だよ~♪」


「ホネー!」


 即興の自作歌詞にそろそろ困り始めるかというところで、穴っぽこしかない骨の耳に、最早聞き慣れたと言っても過言では無い可愛らしい声。振り向けば、子ギツネ形狩猟幼女が満面の笑みでダッシュしてくるのが見える。


 1..2..ここだっ!


「ふんっ!」


「ホネーっ!」


 世界を狙えるタックルで飛び込んできたケモ子を、しっかりと受け止める骨。ふんわり香るお日様の臭いと獣臭に、何処ぞの動物王国の王様の如く、頭やら顔やらをわしゃわしゃと撫で回してやる。


「よーしよしよし。今日も元気だな」


「ホネー!」


「うむうむ。骨であるぞ」


「おはようございます。ボーン様」


 視聴率爆上げ間違いなしの心温まる野生の触れ合いを目にして、こちらもやはり満面の笑みでモコモコがやってくる。当然、こちらは普通に歩いて、だ。


「うむ。おはようモコモコよ。今日も良い朝だな。太陽が実に気持ちいい」


「あー……はい、そうですね。とても良い朝だと思います」


 私の言葉に、一瞬だけ微妙な表情をするモコモコ。何となく引っかかるが……まあ、すぐに笑顔になって挨拶を返してくれたのだから、問題になるようなことではないのだろう。


「ホネー? ナー? ナー?」


 とそこで、ケモ子が私の掘り返した地面を見てから、不思議そうな顔でこちらを見てくる。


「うむ? それは畑だ。まあ今は土を掘り返しただけだが」


「ケー?」


「そう、畑だ。花畑にするのだ。きっと綺麗だぞ?」


「レー? ナー、ンー……ホネー!」


「うむ。骨の畑である。いや、骨の作る花畑であって、骨が植わっている畑ではないぞ?」


「ホネー!」


「うふふ。そうね。一緒に綺麗な畑を作りましょうね」


 正直ケモ子との意思疎通スキルが未だに足りてない気がするのだが、モコモコはきちんと理解出来ているようだし、何よりケモ子がこの上なくご機嫌なので、これはこれでいいのだろう。


 日はまだ昇ったばかりで、皆のやる気も高い。今日は絶好の畑日和になりそうだ。

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