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我が輩は骨である  作者: 日之浦 拓


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骨、昇天する

2017.3.13 改行位置修正

 ヤバイ。ヤバイ。マジヤバイ。前の時とは違う意味で、何かもうヤバイ。


「ほっ! はっ! とやっ!」


 リズミカルなかけ声と共に、踊るような動きで、ケモ子母の手が、骨の体を這い回る。時に押し、時に突き、時に引っ張り、時に撫でる。そしてその全ての動作の際に、骨の体にぷにっとした肉球の感触が伝わってくる。


「お、おほっ! うほほっ!」


「いいですよー、大分いい感じです! ほっ! ほっ! ほりゃっ!」


「くほっ! あっ! あふぅっ!」


「自分に素直に! 恥ずかしがらなくても大丈夫ですからね! えいっ! やっ! ほいさっ!」


「ふはぁっ!? ぬぁ、ふあぁぁぁ…………」


 快楽の壺全てを知り尽くしていると言わんばかりのベテランの技に、骨の口からは恥ずかしい声が止まらない。もし骨で無かったら、よだれとかダダ漏れだったであろう。もしくは、もっとヤバめなあれやこれも漏れちゃっていたかも知れない。


 ヤバイ。これはヤバイ。これはあれだ。ヘブンだ。天国はここにあったのだ。まさに絶頂、まさに昇天。あれ? 骨的には昇天しちゃったら不味くない? だがいいのだ。この極楽浄土の前に、抵抗など無意味なのだ。


「さあ、これでフィニッシュです! はぁぁ……そいやぁっ!」


「っ!!!」


 宣言と共に与えられた最後の一突き……ひとぷにに、ほんの一瞬、意識が飛ぶ。そのまま数秒時が過ぎ……


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」


 口から魂が抜け出てるんじゃないかと思われる程の、長く深いため息。骨、夢見心地である。


「お疲れ様でした。これにて術式終了ですが……体の調子はいかがですか?」


「ふぁぁ……ん? お、そうだな。どれ……お、おおお!?」


 やりきった顔で額の汗をぬぐうケモ子母に問われ、立ち上がって体を動かしてみると……恐ろしい程滑らかに体が動く。骨のフレームレート爆上がりである。


「これは凄いな。今まで当たり前に感じていたはずの僅かな抵抗すら、完全に無くなっている感じだ」


「ええ。全ての淀みを取り払い、流れを最適化しましたので。理論上最高の状態まで持って行けていると思います」


 悦楽の境地に送り込んだうえに、フルスペックに仕上げるとか……ケモ子母。恐ろしい女である。

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