明かされた真実
2017.3.13 改行位置修正
「恩返し?」
「はい。腰の辺りの力の流れが、随分と混線しているように見えるので……」
オウム返しに問う骨に、答えるケモ子母。そこには、聞き逃せない重要ワードが目白押しされている。
「力の流れが、見えるのか?」
「はい。正確には、視覚ではなく嗅覚でわかるのですが。えっと、臭いによって、立体的な構造把握をするというか……」
「ああ、大丈夫だ。その説明で理解できるから、続けてくれ」
両手をわちゃわちゃやって、何とか説明しようとしてくれたケモ子母にそう返すと、あからさまに安堵した感じを見せた。まあ、確かにわからないと言われたら、説明するのは難しいだろう。
というか、ケモ子母の知能レベル、えらく高くないか? あれ? 本当にケモ子の母なのか?
「良かったです。で、それで感じたところ、魔素が……」
「魔素?」
「え? あ、はい。魔素……魔物の体内を流れる、魔力的な力の素のことですが、それが何か?」
「……いや、何でもない。失礼した。続けてくれ」
……わかっていた。わかっていたのである。いくら何でもボーンパワーは無いと言うことなど、考えるまでも無くわかっていた。だってそれだとスケルトン以外では当てはまらないし。わかっていたが……ボーンパワー……
「えっと、あの……」
「……いや、本当に何でもないのだ。続けてくれ。どうぞどうぞ」
「……わかりました。では、続きを」
若干首を傾げつつも、ケモ子母の説明は続く。その後の説明を今までのものと併せて要約すると、
・ケモ子母というか、ケモ子の種族は臭いで魔力を感じ取れる
・技量があがると、自分のみならず他人の魔素にもある程度干渉できるようになる
・故に、その力を使って骨の腰を治すことができる
ということであった。何それ凄い。私には自分の魔素すら見えなかったのに、他人のにまで干渉できるとか、完全に骨の上位互換である。むしろ骨がへっぽこすぎるのである。
「ということで、どうでしょう? 是非私に治療させていただけないでしょうか?」
説明を終え、丁寧に頭を下げてお願いされる。お断りする理由などこれっぽっちも無いので、当然二つ返事で応じる骨。
「ありがとうございます! それでは、フォクシール流魔素操作術。通称『ぷに式ニクキューマッサージ』いきます!」
え?




