暗闇 to 暗闇
2017.3.13 改行位置修正
「えぇー……」
がっかり。がっかりである。やっとのことで外に出たと思ったら、また暗闇とか超がっかりである。閉鎖空間からの脱出という猛烈なアゲからのこの落差は、急転直下などというレベルではない。例えるなら、喜び勇んで開いた懸賞の当選メールが、ワンクリ詐欺のメールだったときくらいのがっかり具合である。
……ん? それだとそこまでがっかりでも無い気がする……
まあ、とにもかくにもまずは体を全て外に出さねば何も始まらない。何しろ今は頭だけが地面から出ているような状態なのだ。
そう、地面である。どうやら私は、地面に埋まっていたらしい。というか、今もまだ絶賛埋没中である。仮に自分が8等身であったなら、残り7等身分は地面の下なのだから。 もぞもぞと体を動かし、周囲の土を崩しながらまずは両の腕を外に出す。この辺は頭を外に出した時に崩れた土が被っただけなので、特に苦労することもない。
「よっこい……しょっ! ぬーん……ふぬっ!」
しっかりと両手を大地に突き、腰をひねって引き抜こうと試みる。完全に埋まっていた時と違ってだいぶ体に自由が効くようになったので、思ったよりも良いペースで体が地上へと露出していく。これなら、もう少しで……
「良し……良し、良し……これで……トゥアッ!」
スポンッ! という音がしそうなくらいの勢いで、下半身が地面から抜ける。
「あー、抜けた。抜けたなぁ……」
久しぶりに感じる開放感。そのまま地面に寝転がり、手足をバタバタさせてみる。遮る物が何も無い、自由というのは実に素晴らしい。そうしてひとしきり天井?を見上げてぼーっとしてから、今度は体の動きを確かめるように、ゆっくりと立ち上がろうと試みて……特に何の問題もなく立ち上がる。
まあ、地面の下では動きを阻まれていただけで動かなかったわけではないし、そもそも完全に埋まった土の下から這い出せるくらいなのだから、立って歩く程度のことができないとは思えなかったのだが、それでも一応、腕や膝を曲げたり伸ばしたりして、動作を確かめる。
「うん。問題ないな。となると後は……」
頭を回して、周囲を見る。さっきは「やっと外に出た」という思いと現実の落差のあまりに暗いとしか思わなかったが、そのまま後ろまで頭を回したところで、視界の先に僅かに差し込む光を見つける。極めて微弱とはいえ風もそちらの方から吹いてきているようだし、予想としては、ここは暗黒の閉鎖空間ではなく、洞窟的な場所の、光の入らない奥の方という感じなのだろう。
ならば、行かねばなるまい。どう考えても、こんな真っ暗なところに一人でじっとしていることにメリットなど感じない。目指すは光だ。輝ける明日への希望だ。
私は歩みを進める。光を認識した影響なのか、真っ暗なのは変わらないはずなのに、周囲の地形がはっきりと理解できる。足下のでこぼこに躓かないように気をつけて、光の方へと歩いて行く。感覚的なものではあるが、距離にして、およそ50メートル。たどり着いた先には、光が溢れていた。