赤いワンピース
その日私は煙草を吸いながら街を歩いていて補導されました。交番から親に連れられて家へ帰る途中、
「あんたみたいな子、産まなければ良かったよ。」
と一言だけ会話を交わしました。
自分の部屋に戻り、メタモルフォーゼタンドゥフィーユの赤いドレスを脱いだとき、私は私で無い錯覚に襲われました。裸の私は本当に醜く鏡に映り、傷だらけの左腕だけが鮮やかで、瞳からは海がぼろぼろと零れ落ちました。
窓を閉め切っていたからでしょうか。6月の湿気がじわじわと気持ち悪く、大嫌いな夏が近い事を悟りました。
深夜3時。時間を持て余していた私は、特別用事も無いコンビニへと向かいました。自宅からコンビ二までの短い5分程の距離、あと数歩先になにか黒いものがもぞもぞと動いているような気がして足を止めました。
その黒いものは心なしか私に近づいて来る様で、なんだか気持ちが悪く、一歩後ずさりをした瞬間。
「・・・けて。・・・たす・・けて。」
きっと行き倒れの人だ!
私は急いでその人の傍まで駆け寄りました。大きなマントのようなものを頭からかぶったその人は、やはり助けを求めているようでした。
勇気を振り絞って、いや、不思議な好奇心が混ざり合って、私はその物体を抱き上げようと手を差し伸べました。するとあちらからも手が。
私はその腕を握り締め、その人を抱きかかえました。大きなトラックが車道を走りぬけ、そのヘッドライトが私たちを照らした一瞬、綺麗なエメラルド色の瞳が私の目を奪いました。
外国人・・・??日本語は通じるのかしら。
「あの・・・大丈夫ですか?」
そっと声をかけると、小さくその人はうなずき、フードのようにかぶっていた大きなマントを脱ぎ顔を見せました。
「ありがとう。」
「・・・!?」
外国人かと思っていたその人はすでに人ですらなく・・・。
「驚いた?」
半透明に透けるような肌、こんな暗い道でもはっきりと光ったエメラルド色の瞳。そして思わず息を呑むような美しく整った顔立ち。