表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

マジックミラー

作者: half bloom

ある男には、自分だけの秘密がありました。


魔法使いのおばあさんからもらって、いつも肌身離さず持っているそれ、は、

銀で縁取られ、銀の取っ手のついた小さなハンドミラーでした。



これは、好みの女性に同じ鏡をプレゼントすると、その後でこの鏡に自分を映すと、自分の姿が、その女性の姿になって鏡の中に現れるというものでした。



彼は毎日毎日、自分をその女性の姿を持ったものとして鏡に映し、それはそれは楽しそうに話をしました。

なにしろ、返ってくる言葉のすべてが分かりきっていたもので自分を必ず気持ち良くしてくれるものだったから。


これは、彼にとって非常に好都合なことでした。

会えない悲しみも、意見の食い違いに悩む必要性も、二人の関係がどう社会に位置するかという煩わしい議題もないのだから。そして彼が背負わずに済んでいるものを彼女がすべて背負っているというわけなのです。



しかし、鏡の向こうの本物の女性は、好きな人が映るはずなのに映らないハンドミラーを手にして、悲しみと寂しさを必死にこらえているのでした。

なにしろ、仮に事故にあって死にそうになっていたとしても、その間でさえ彼は自分の姿をした彼自身に見惚れているのだから。




ついに耐えきれなくなった彼女は、ハンドミラーを真っ二つに割り、取っ手のある方を、自分を寂しさから助けてくれる別の男性に手渡しました。


すると、稀に、お互いのことがぼやけて見えるようになりました。時にお互いの話し声がします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ