「隠された力」
第7話「隠された力」
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## プロローグ
ダリウスの罠。
ノエルたちは、囲まれていた。
だが、ノエルの瞳が――
赤く光り始めた。
隠された力が、目覚める。
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## 第一章 ダリウスの罠
「逃げる?どこへかな?」
ダリウスが、嘲笑う。
部屋の扉が開き、複数の兵士が入ってきた。
「!」
アリシア、ナナ、ノエルは、完全に囲まれた。
「さあ、どうする?ノエル・フロストベール」
ダリウスの目は、邪悪に光っていた。
「お前がここに来ることは、予想していたよ」
「…」
ノエルは、冷静に状況を見た。
兵士は20名以上。
そして、ダリウス本人も、かなりの実力者だ。
「アリシア様、ナナ、僕の後ろに」
ノエルが、二人を庇うように立った。
「でも、ノエル様…!」
アリシアが心配そうに言った。
「大丈夫。必ず、二人とも守る」
ノエルの声は、力強かった。
「ふふ、勇ましいね。でも…」
ダリウスが指を鳴らした。
「魔法封じの結界を、この部屋全体に張ってある。お前の氷魔法も、転移能力も使えないよ」
「…!」
アリシアとナナが、顔色を変えた。
「さあ、大人しく捕まるんだな」
ダリウスが、兵士たちに合図した。
兵士たちが、一斉にノエルたちに迫る。
ノエルは、剣を抜いた。
「来い」
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## 第二章 剣技での応戦
シャキン!
ノエルの剣が、兵士の剣を弾いた。
魔法が使えない状況でも、彼の剣技は一流だった。
「はあっ!」
ノエルは、次々と兵士を薙ぎ払った。
だが、数が多すぎる。
「くっ…!」
ノエルの腕に、兵士の剣が掠った。
「ノエルさん!」
ナナが叫んだ。
「大丈夫…!」
ノエルは、必死に戦い続けた。
アリシアも、炎魔法を使おうとしたが――
「無駄だ。この結界内では、魔法は使えない」
ダリウスが、余裕の表情で言った。
「くっ…!」
アリシアは、悔しそうに拳を握った。
ナナも、水魔法を使えず、ただ見守ることしかできない。
ノエルは、徐々に追い詰められていった。
「ノエル様…!」
「ノエルさん…!」
二人の声が、ノエルの耳に届く。
*このままじゃ…二人を守れない*
の心に、焦りが生まれた。
そして――
「そこまでだ、ノエル・フロストベール」
ダリウスが、自ら剣を抜いた。
「おまえたちノエルを引きつけていなさい…」
ダリウスの剣が、アリシアに向けられた。
「アリシアには、少し痛い目を見てもらおうか」
「やめろ…!」
ノエルが叫んだ。
だが、ダリウスの剣が――
アリシアに向かって振り下ろされる。
「アリシア様…!」
ナナが、アリシアを庇うように前に立った。
「ナナ!」
アリシアが叫ぶ。
剣が、ナナに迫る。
その瞬間――
ノエルの中で、何かが弾けた。
*絶対に…二人を傷つけさせない!*
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## 第三章 ベクトル魔法の覚醒
「やめろおおおおっ!!」
ノエルの叫びと共に――
彼の瞳が、青から赤に変わった。
「!!」
全員が、驚いた。
次の瞬間――
「リフレクション!」
ダリウスの剣が、不自然に逸れた。
いや、逸れたのではない。
剣の進行方向のベクトルが、変わったのだ。
「な…何だと…!?」
ダリウスが驚愕した。
「これは…!」
ノエルの周りに、不可視の力場が展開されていた。
赤い瞳が、強烈な光を放っている。
「オールリフレクト」
ノエルが、静かに言った。
次の瞬間――
兵士たちが放った攻撃が、全て反射された。
剣が弾かれ、兵士たちが吹き飛ばされる。
「あ…ありえない…!」
ダリウスが後ずさった。
「魔法封じの結界が…効いていない…!」
「これは、魔法じゃない」
ノエルは、赤い瞳でダリウスを見据えた。
「ベクトルを操る能力だ」
「ベクトル…?」
「全ての力には、向きと大きさがある」
ノエルの声は、冷たかった。
「僕は、それを操ることができる」
ノエルが手をかざすと――
「グラビティリバース」
ダリウスの身体が、宙に浮いた。
「な、何だこれは…!!」
ダリウスが、空中でもがいた。
重力のベクトルが逆転し、彼は天井に向かって引っ張られている。
「アリシア、ナナ」
ノエルが振り向いた。
赤い瞳が、二人を見る。
「目を閉じて」
「え…?」
「今から、少し派手にやる」
ノエルの声には、圧倒的な自信があった。
二人は、本能的にノエルの言葉に従った。
そして――
「カオスフィールド」
ノエルが宣言した。
次の瞬間――
部屋全体が、歪んだ。
兵士たちが、次々と倒れていく。
彼らの動き、バランス、あらゆるベクトルが狂わされ、立っていることすらできなくなった。
「ぐあああああ!!」
兵士たちの悲鳴が響く。
数十秒後――
静寂が訪れた。
全ての兵士が、床に倒れている。
ダリウスも、壁に叩きつけられて気絶していた。
「…終わった」
ノエルの瞳が、赤から青に戻った。
彼は、その場に倒れたこんだ。
「はあ…はあ…」
ベクトル魔法は、膨大なエネルギーを消費する。
「ノエル様!」
「ノエルさん!」
アリシアとナナが、駆け寄った。
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## 第四章 ナナの衝撃
「ノエルさん…大丈夫ですか…!」
ナナが、ノエルを支えた。
「ああ…大丈夫だよ」
ノエルは、疲れた笑みを浮かべた。
「でも、ノエルさん…今の力は…」
ナナの目は、驚きに満ちていた。
「あれは、僕の隠し能力だ」
ノエルは、二人を見た。
「ベクトル操作…重力や運動、あらゆる力の向きと大きさを操る能力」
「そんな力が…」
ナナは、呆然とした。
*ノエルさんは…こんなに強かったんだ*
彼女が知っていたノエルは、優しくて穏やかな青年だった。
確かに強いとは思っていたが――
今見せた力は、それを遥かに超えていた。
「あの…これは、他の人には秘密にしてほしいんだ」
ノエルが、二人に頼んだ。
「マリア様、アーサー様、ジークフリート、セレスティンは知っている。でも、それ以外の人には…」
「わかりました」
ナナは、即答した。
「秘密にします。ノエルさんの力を、誰にも話しません」
「ありがとう、ナナ」
ナナは、ノエルを見つめた。
*こんなに強いのに…いつも穏やかで優しい*
*こんなに力があるのに…決して威張らない*
*そして今日…私たちを守るために、本気を出してくれた*
ナナの胸が、熱くなった。
「ノエルさん…」
「ん?」
「私…もっと、あなたのことが好きになりました」
ナナは、頬を赤らめながら言った。
「隠してた強さも…私たちを守ってくれる優しさも…全部」
「ナナ…」
ノエルは、少し照れくさそうに微笑んだ。
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## 第五章 アリシアの衝撃
「ノエル様…」
アリシアも、ノエルの手を握った。
「あなたは…こんなにお強かったのですのね」
アリシアの目には、涙が浮かんでいた。
「わたくし…あなたのことを、少しみくびっておりましたわ」
「そんなことは…」
「いいえ」
アリシアは、首を横に振った。
「あなたは、わたくしが思っていた以上に…素晴らしい方ですわ」
アリシアは、ノエルを見つめた。
「お強くて…お優しくて…わたくしたちのために、本気で戦ってくださった」
彼女の声が、震えている。
「わたくし、決めましたわ」
「…何を?」
「絶対に…あなたの妻になります」
アリシアの目は、真剣だった。
「どんな困難がございましても、あなたと一緒にいますわ」
「アリシア様…」
「それに…」
アリシアは、少し微笑んだ。
「こんなにお強いあなたを、他の誰にもお渡ししたくありませんの」
アリシアの頬が、赤く染まった。
「あなたの隠された力も…全部、わたくしだけのものにしたいですわ」
「アリシア様…」
ノエルは、少し困ったように笑った。
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## 第六章 二人の想い
三人は、しばらく部屋に座っていた。
ダリウスと兵士たちは、気絶したままだ。
「ねえ、ノエル様」
アリシアが言った。
「はい」
「その力…いつからお持ちだったのですか?」
「17歳の時に、目覚めた」
ノエルは、少し遠い目をした。
「マリア様が襲われた時…僕は、必死に守ろうとした」
「…」
「その時、この力が覚醒したんだ」
ノエルの目が、優しくなった。
「大切な人を守りたい…その想いが、この力を目覚めさせた」
「大切な人を…」
ナナとアリシアは、顔を見合わせた。
「今回は、二人を守りたくて…本気を出した」
しあゆんは、二人を見た。
「二人は、僕にとって…とても大切な人だから」
「ノエルさん…」
「ノエル様…」
二人の目から、涙が溢れた。
「あなたって方は…」
ナナが、泣き笑いをした。
「本当に…ずるいです」
「え…?」
「そんなこと言われたら…もう、誰のことも好きになれません」
ナナは、ノエルの胸に顔を埋めた。
「一生…あなたのそばにいます」
「ナナ…」
「わたくしもですわ」
アリシアも、ノエルに寄り添った。
「あなたがわたくしを守ってくださったように…わたくしも、あなたをお支えいたします」
「ずっと…ご一緒ですわ」
二人は、ノエルを挟んで座った。
ノエルは、二人の頭を優しく撫でた。
「ありがとう…二人とも」
三人は、静かに寄り添っていた。
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## 第七章 脱出
*やっぱりこの力の反動はすごい。少し使っただけでここまで体力を奪われるなんて*
数十分後。
「もう大丈夫。少し動けそうだよ」
ノエルがふらりと立ち上がった。
「さあ、帰ろう」
「はい」
ナナとアリシアに支えられてノエルは、部屋を出た。
廊下も、既にノエルのベクトル魔法で兵士たちが無力化されていた。
歩きながらノエルが呟く
「ふたりを守れて本当に良かった」
「あ…」
ナナとアリシアは、照れた。
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そして――
ノエルたちがきた転移魔法陣はジークフリートが守ってくれていた。
「無事だったか!」
「はい」
ノエルは頷いた。
「アリシア様も、無事です」
「よかった…」
その後、マリアも現れた。
「お帰りなさい。よく頑張ったわね」
「ありがとうございます、マリア様」
ノエルは、深く頭を下げた。
マリアは、三人を見て微笑んだ。
「さあ、帰りましょう」
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## 第八章 その夜
その夜。
ノエルの部屋。
ナナとアリシアが、一緒にいた。
よほど体力を消耗したのだろう。ベッドでノエルは眠っている。
「ねえ、ナナ」
「はい?」
「ノエル様の力…すごかったですわね」
「はい…」
ナナは、頬を赤らめた。
「あんなに強いなんて…思わなかったです」
「わたくしもですわ」
アリシアも、頬を染めた。
「あのような力をお隠しになっていたなんて…」
二人は、少し黙った。
そして――
「ねえ、ナナ」
「はい?」
「わたくしたち…同じ方をお慕いしてしまいましたわね」
「…はい」
ナナは、静かに頷いた。
「私も、アリシア様も…ノエルさんが好き」
「…そうですわね」
アリシアは、少し笑った。
「なら…」
「…?」
「ご一緒に、あの方をお支えいたしましょう」
アリシアは、ナナの手を取った。
「え…?」
「わたくしたち、ライバルですけれど…」
アリシアは、優しく微笑んだ。
「ノエル様のことを想う気持ちは、同じでしょう?」
「…はい」
「なら、協力いたしましょう」
アリシアの目は、真剣だった。
「二人で、あの方を幸せにするのですわ」
「…アリシア様」
ナナの目から、涙が溢れた。
「そうですね…よろしくお願いします...」
「こちらこそですわ」
アリシアは、ナナを抱きしめた。
「これから、よろしくお願いいたしますわ。ナナ」
「はい…アリシア様」
二人は、固く抱き合った。
恋敵から――
仲間へ。
そして、これから家族になる人たちへ。
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## エピローグ
翌日。
ヴァーミリオン王国では、大騒ぎになっていた。
ダリウスが、謎の力で倒された。
兵士たちも、全員無力化されていた。
レオン王は、激怒した。
「ダリウス!お前は何をやったんだ!」
「も、申し訳ございません…」
ダリウスは、震えていた。
あの赤い瞳が、忘れられない。
*ノエル・フロストベール…あいつは、化け物だ…*
そして――
レオン王は、決断した。
「アリシアとダリウスの婚約は、破棄する」
「!」
「我が娘を、こんな男には任せられん」
レオン王の声は、厳しかった。
こうして、アリシアの婚約問題は――
解決した。
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**第7話「隠された力」 完**
**次回、第8話「ナナの想い」 お楽しみに!**
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## 登場人物(第7話)
- **ノエル・フロストベール**: ベクトル魔法を解放。ナナとアリシアを守るため本気を出す。
- **ナナ**: ノエルの隠された力を目撃。さらに惚れ直す。アリシアと協力を誓う。
- **アリシア・ヴァーミリオン**: ノエルの真の強さに衝撃。絶対に妻になると決意。ナナと協力関係に。
- **ダリウス・ヴァンフリート**: ノエルのベクトル魔法に敗北。婚約破棄される。
- **マリア・K・アレクサンドリア**: 守護聖、三人の無事を喜ぶ。
- **ジークフリート・レオンハート**: 剣聖、三人の帰還を確認。
- **レオン王**: ダリウスとの婚約を破棄。
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## 次回予告
アリシアの婚約問題が解決。
ノエルは、二人にプロポーズを決意する。
そして、運命の夜が訪れる――
第8話「ナナの想い」、お楽しみに!




