「決断の時」
第6話「決断の時」
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## プロローグ
ダリウスの陰謀が、動き出した。
アリシアの婚約発表が、来月に迫っている。
そして、ノエルは――
二人の女性から想いを告げられ、揺れ動いていた。
運命の時が、近づいていた。
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## 第一章 マリアの元で
聖堂。
ノエルは、マリアと二人きりだった。
「ノエル、最近元気がないわね」
マリアが、優しく言った。
「…すみません」
「謝らなくていいのよ。何か、悩みがあるの?」
マリアの声は、いつも通り温かかった。
ノエルは、少し躊躇したが――
「…実は」
彼は、ナナとアリシアのことを話した。
二人から告白されたこと。
どう答えるべきか悩んでいること。
マリアは、静かに聞いていた。
「…そう。二人とも、あなたを想っているのね」
「はい…」
「ノエル、あなたは二人のことをどう思っているの?」
マリアの質問に、しあゆんは答えた。
「…ナナは、優しくて…いつも僕を支えてくれます」
「ええ」
「アリシアは、情熱的で…一緒にいると元気になれます」
「それで?」
「…僕は、二人とも…大切だと思っています」
ノエルの声は、真剣だった。
マリアは、優しく微笑んだ。
「なら、答えは出ているじゃない」
「え…?」
「あなたは、二人とも愛しているのよ」
マリアの言葉に、ノエルは驚いた。
「でも…二人とも、なんて…」
「この世界では、複数の妻を持つことは珍しくないわ」
マリアは、ノエルの手を取った。
「特に、あなたのような立場の人間なら」
「…」
「大切なのは、二人を平等に愛すること」
マリアの目は、真剣だった。
「どちらか一方だけを選ぶ必要はない。二人とも幸せにできるなら、それが一番よ」
「マリア様…」
「ただし」
マリアは、ノエルを見つめた。
「覚悟が必要よ。二人を妻にするということは、二人の人生を背負うということ」
「…はい」
「あなたなら、できるわ」
マリアは、優しく微笑んだ。
「私が保証するわ。あなたは、二人を幸せにできる」
「…ありがとうございます」
ノエルは、深く頷いた。
彼の心に、決意が芽生え始めていた。
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## 第二章 アリシアからの手紙
その日の夕方。
ノエルの元に、一通の手紙が届いた。
差出人は、アリシア。
手紙を開くと――
『ノエル様
お元気でしょうか。
実は、父上から正式な連絡がありました。
婚約の発表式が、来月15日に決定したと。
ダリウスが、強引に父上を説得したようです。
もう、時間がありません。
どうか…助けてください。
私は、あなた以外の人と結婚したくありません。
お願いします。
アリシア・ヴァーミリオン』
手紙を読み終えたノエルは、拳を握りしめた。
*もう、迷っている時間はない*
彼は、決断した。
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## 第三章 ナナへの答え
その夜。
ノエルは、ナナを呼び出した。
聖堂の庭。
月明かりが、二人を照らしている。
「ノエルさん…」
ナナは、緊張した面持ちだった。
「ナナ、この前の告白のこと…」
「…はい」
ナナの心臓が、高鳴る。
「僕の答えを、聞いてくれるかな」
「…はい」
ノエルは、ナナの目を見つめた。
「ナナ、僕は…君のことが好きだ」
「…!」
ナナの目が、大きく見開かれた。
「君の優しさに、何度も救われた」
「ノエルさん…」
「君がいてくれたから、僕は今ここにいる」
ノエルは、ナナの手を取った。
「だから…僕の奥さんになってくれないか」
「…!」
ナナの目から、涙が溢れた。
「本当…ですか…?」
「ああ、本当だ」
「私…私…!」
ナナは、ノエルに抱きついた。
「嬉しい…嬉しいです…!」
ナナは、ノエルの胸で泣いた。
ノエルは、優しくナナを抱きしめた。
「ナナ、でも…一つ、伝えなければならないことがある」
「…何ですか?」
ナナが顔を上げた。
「僕は…アリシアのことも、愛している」
「…!」
ナナは、驚いた。
「彼女も、僕に想いを伝えてくれた」
「…そう、ですか」
「だから…僕は、アリシアにも同じことを伝えるつもりだ」
ノエルは、真剣な目でナナを見つめた。
「わがままだけど、二人とも、僕の奥さんになって欲しい」
「…」
ナナは、少し考えた。
そして――
「…わかりました」
ナナは、微笑んだ。
「アリシア様も、大切な人ですから」
「ナナ…」
「それに…」
ナナは、ノエルの頬に手を当てた。
「ノエルさんを独り占めするより、アリシア様と一緒の方が…楽しそうです」
ナナの笑顔は、本物だった。
「ありがとう、ナナ」
「いえ…私こそ、ありがとうございます」
二人は、抱き合った。
月明かりの下で、幸せな時間が流れた。
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## 第四章 ダリウスの襲撃
翌日。
ヴァーミリオン王国。
アリシアは、自室で一人考え込んでいた。
*ノエル様…どうか…*
その時――
ドアが、乱暴に開いた。
「!」
アリシアが振り向くと――
そこには、ダリウスが立っていた。
「やあ、アリシア。久しぶりだね」
ダリウスの笑みは、邪悪だった。
「ダリウス…!何故ここに…!」
「何故って、君に会いに来たんだよ。僕の婚約者に」
ダリウスは、アリシアに近づいた。
「近寄らないで!」
アリシアは、剣を抜いた。
「おやおや、怖いなぁ。でも…」
ダリウスは、指を鳴らした。
すると、複数の兵士が部屋に入ってきた。
「!」
「レオン王の命令でね。君を”保護”することになったんだ」
「嘘…!お父様がそんなことを…!」
「本当さ。君が逃げないように、発表式まで監視するってね」
ダリウスの目が、アリシアの身体を舐めるように見た。
*まぁ、嘘なんだがね…*
「それに…もう少し仲良くなっておきたいからね」
「…!」
アリシアは、剣を構えた。
だが――
「アリシア様、抵抗しないでください」
兵士たちが、アリシアを取り囲んだ。
「くっ…!」
アリシアは、魔法を使おうとしたが――
「魔法封じの結界を張ってあるよ。無駄さ」
ダリウスは、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「さあ、大人しくしてくれるかな?」
「…」
アリシアは、歯を食いしばった。
*ノエル様…助けて…*
彼女の心は、ノエルを呼んでいた。
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## 第五章 ノエルの決意
帝国アレクサンドライト。
は、アリシアから手紙が来ないことを不審に思っていた。
「おかしい…いつもなら返事が来るのに…」
その時――
マリアが駆けつけてきた。
「ノエル!大変よ!」
「マリア様…?」
「アリシア様が、ヴァーミリオン王国で軟禁されたらしいわ!」
「何…!」
ノエルの表情が、険しくなった。
「ダリウスが、レオン王を説得して…アリシア様を監視下に置いたそうよ」
「…そんな」
「このままでは、婚約が強制的に進められてしまうわ」
マリアの目は、真剣だった。
「ノエル、あなたはどうするの?」
「…」
ノエルは、拳を握りしめた。
「僕は…アリシアを助けに行きます」
「そう…」
マリアは、優しく微笑んだ。
「なら、行きなさい。私が許可するわ」
「ありがとうございます」
「でも、一人では危険よ。ジークフリートとセレスティンに協力を頼みましょう」
「はい」
ノエルは、決意を固めた。
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## 第六章 仲間たちの協力
深夜。
王城の会議室。
ノエル、ジークフリート、セレスティン、そしてマリアが集まっていた。
「状況は理解した」
ジークフリートが、腕を組んで言った。
「アリシアを助けに行く、ということだな」
「はい」
ノエルは頷いた。
「だが、相手はヴァーミリオン王国だ」
セレスティンが、冷静に分析した。
「下手に動けば、外交問題になる」
「…」
「だから、こっそり行くしかない」
ジークフリートが、ニヤリと笑った。
「極秘任務、ってやつだな」
「ノエル、あなた一人で行きなさい」
マリアが言った。
「え…?」
「セレスティン、転移魔法陣でノエルを送れる?」
「問題ない!」
セレスティンはすぐに転送魔法陣の準備をはじめた。
「こっそり侵入して、アリシアを連れ出す。それが最善よ」
マリアの判断は、的確だった。
「でも、もし戦闘になったら…」
「その時は、私たちが後方支援する」
ジークフリートが、剣を叩いた。
「お前を信じてるぞ、ノエル」
「…はい」
ノエルは、決意を新たにした。
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## 第七章 ナナの申し出
その夜。
ノエルの部屋を、ナナが訪れた。
コンコン。
「ノエルさん…」
「ナナ?どうしたの?」
ノエルが扉を開けた。
ナナは、少し緊張した面持ちだった。
「…アリシア様を、助けに行くんですよね」
「…ああ」
ノエルは頷いた。
「私も、連れて行ってください」
「え…?」
ノエルは驚いた。
「でも、ナナ…危険な任務になる」
「わかっています」
ナナは、ノエルを真っ直ぐ見つめた。
「アリシア様は…恋敵かもしれません。でも…」
ナナの目には、決意が宿っていた。
「ノエルさんが大切に思っている人です。だから、私も一緒に助けに行きたいんです」
「ナナ…」
「それに…」
ナナは、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「ノエルさんが一人で危険な場所に行くのは、心配ですから」
「…」
ノエルは、ナナの優しさに心を打たれた。
「ありがとう、ナナ。じゃあ…一緒に行こう」
「はい!」
ナナは、嬉しそうに微笑んだ。
翌朝、マリアにナナも同行することを報告した。
マリアは、優しく微笑んで頷いた。
「わかったわ。二人とも、気をつけて」
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## 第八章 ナナとの出発
翌日、夜明け前。
ノエルとナナは、聖堂の前に立っていた。
「ナナ、準備はいい?」
「はい」
ナナは、剣を腰に差していた。
「危険な任務になるかもしれない」
「わかっています」
ナナは、ノエルを見つめた。
「アリシア様を助けるためなら、私は何でもします」
「…ありがとう」
ノエルは、ナナの手を取った。
「じゃあ、行こう」
「はい」
セレスティンは、転移魔法を発動させた。
「転移!」
二人の姿が、光に包まれた。
そして――
次の瞬間、二人はヴァーミリオン王国の郊外に到着した。
「着いたよ」
「…ここが、ヴァーミリオン王国…」
ナナは、周りを見回した。
炎の国らしい、赤い建物が並んでいる。
「城は、あっちだ」
ノエルが指差した。
遠くに、巨大な城が見える。
「行こう、ナナ」
「はい」
二人は、城に向かって走り出した。
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## 第九章 侵入
ヴァーミリオン王国の城。
ノエルとナナは、城壁の外に潜んでいた。
「警備が厳しいな…」
「私に任せてください」
「ウォール オブ ウォーター」
ナナは見張の警備兵を1人ずつ水の塊で包んだ。
気絶させるだけの緻密な魔法操作。
ノエルはアリシアの魔力を探る。
*…いた*
「見つけた。アリシアは、城の北棟にいる」
「わかりました」
「行こうナナ」
ノエルが力強く言った
「ミスト シールド」
ナナが霧を発生させ2人の姿を隠す
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そして――
城内、北棟の廊下。
「静かに…」
ノエルが囁いた。
二人は、廊下を進んだ。
そして、ある部屋の前で止まった。
「この中だ」
ノエルは、ドアに手をかけた。
*鍵がかかってる…*
「氷結」
ノエルは、鍵を凍らせて砕いた。
ガチャリ。
ドアが開く。
部屋の中には――
アリシアが、椅子に座っていた。
「…!」
アリシアが、驚いて立ち上がった。
「ノエル様…!ナナ…!」
「アリシア!」
ノエルが駆け寄る。
「どうして…!」
「君を助けに来たんだ」
「…!」
アリシアの目から、涙が溢れた。
「ありがとう…ありがとうございます…!」
アリシアは、ノエルに抱きついた。
「アリシア様…」
ナナも、優しく微笑んだ。
「ナナ...?」
「さあ、早く逃げよう」
ノエルが言った。
だが――
「逃げる?どこへかな?」
扉が開き、ダリウスが現れた。
「!」
「待っていたよ、ノエル・フロストベール」
ダリウスの笑みは、邪悪だった。
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## エピローグ
ダリウスの罠。
ノエルたちは、囲まれていた。
「さあ、どうする?」
ダリウスが、嘲笑う。
ノエルは、アリシアとナナを守るように前に出た。
「…覚悟はできてる」
彼の瞳が、赤く光った。
ベクトル操作の能力を 解放する。
戦いが、始まろうとしていた。
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**第6話「決断の時」 完**
**次回、第7話「隠された力」 お楽しみに!**
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## 登場人物(第6話)
- **ノエル・フロストベール**: ナナとアリシアへの想いを自覚。二人を救うため立ち上がる。
- **ナナ**: ノエルからプロポーズされる。アリシアを助けるため同行。ナンバー7。
- **アリシア・ヴァーミリオン**: ダリウスに軟禁される。ノエルに助けられる。
- **マリア・K・アレクサンドリア**:守護聖 、ノエルに助言。救出作戦を許可する。
- **ジークフリート・レオンハート**: 剣聖、協力を約束。後方支援。
- **セレスティン・セレスティア**: 聖霊、冷静に状況分析。作戦立案。
- **ダリウス・ヴァンフリート**: アリシアを軟禁。ノエルの到来を待ち構えていた。
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## 次回予告
ノエルvs ダリウス!
ベクトル操作の能力が解放される。
そして、アリシアへの告白が――
第7話「隠された力」、お楽しみに!




