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トリニティ△ファミリィ  作者: XIA YUN


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「三人の想い」

第4話「三人の想い」


-----


## プロローグ


アリシアがヴァーミリオンに戻って、一週間が経った。


王都ペンドラゴンでは、日常が戻っていた。


ノエルとナナは、毎日訓練を重ねていた。


「もう一本!」


ナナが剣を振るう。


ノエルは、それを受け止めた。


「ナナ、良くなってるよ。剣の軌道が読みづらくなってきた」


「本当ですか!」


ナナの顔が輝いた。


「ああ。でも、無理はしないで」


「はい!」


訓練を終えた二人は、並んで座った。


「ノエルさん」


「ん?」


「あの…アリシア様のこと、どう思いますか?」


ナナが恐る恐る尋ねた。


「アリシア様…?」


ノエルは少し考えた。


「強くて、美しい人だと思う。それに、気品もある」


「…そうですか」


ナナは、少し寂しそうな顔をした。


「でも」


ノエルが続けた。


「ナナも、とても魅力的だよ」


「え…!」


ナナの顔が真っ赤になった。


「優しくて、一生懸命で。一緒にいると、安心する」


「ノ、ノエルさん…」


ナナの心臓が、激しく高鳴った。


*…嬉しい…*


そして、同じ頃――


ヴァーミリオン王国では、アリシアが頭を抱えていた。


-----


## 第一章 嫌な許嫁


ヴァーミリオン王国、王城。


アリシアの私室に、一人の男が訪れていた。


「アリシア、久しぶりだね」


男は、にやりと笑った。


金髪に緑の瞳。貴族らしい服装だが、その目つきは下卑ていた。


ダリウス・ヴァンフリート――ヴァーミリオン王国の大貴族の息子。


そして、アリシアの許嫁だった。


「…ダリウス様」


アリシアの声は、冷たかった。


「そう冷たくしないでくれよ。僕たちは、婚約者同士じゃないか」


ダリウスは、アリシアに近づいた。


その目は、アリシアの身体を舐めるように見ていた。


豊かな胸、くびれた腰、長い脚。


「君は本当に美しい…早く結婚式を挙げたいものだね」


「…私は、この婚約を認めていませんわ」


アリシアは、きっぱりと言った。


「おやおや、また同じことを。でも、これは君の父上と僕の父が決めたことだよ」


「それでも、私は認めません」


「ふふ…強情だね。でも、それもいい。征服しがいがある」


ダリウスは、アリシアの手を掴もうとした。


「触らないでください」


アリシアは、ダリウスの手を振り払った。


炎の魔法が、一瞬手に宿る。


「おっと、怖いね」


ダリウスは笑ったが、その目は冷たかった。


「まあいい。いずれ、君は僕のものになる。その美しい身体も、その地位も…全てね」


「…出て行ってください」


「ああ、失礼するよ。また来るからね、アリシア」


ダリウスは、嫌らしい笑みを浮かべて去っていった。


部屋に一人残されたアリシアは、深く息をついた。


「…最低」


彼女は、窓の外を見た。


帝国アレクサンドライトの方角を。


「ノエル様…」


アリシアの心には、ノエルの姿があった。


優しい目、穏やかな笑顔。


ダリウスとは、真逆の存在。


*…早く、会いに行きたい*


-----


## 第二章 マリアの悪戯


帝国アレクサンドライト、聖堂。


ノエルは、マリアと二人で聖堂の清掃をしていた。


「ふう…これで終わりですね」


マリアが額の汗を拭った。


「お疲れ様です、マリア様」


「あら、ノエルも汗をかいていますよ」


マリアは、ハンカチでノエルの額を拭った。


「あ、ありがとうございます」


二人の距離が、とても近い。


マリアの顔が、ノエルの顔の間近にある。


ノエルは、少しドキドキした。


マリアの美しい顔、優しい微笑み、そして――


白い法衣の胸元から、豊かな谷間が少し見えた。


「…っ」


ノエルは、思わず目を逸らした。


「あら、どうしましたの?」


マリアが首を傾げる。


その動きで、胸元がさらに揺れた。


「い、いえ…何でもありません」


「ふふ、もしかして…見えちゃいましたか?」


マリアは、いたずらっぽく微笑んだ。


「え…!」


「冗談ですわ。でも、ノエルの反応、可愛いですね」


マリアは、くすくすと笑った。


ノエルの顔が真っ赤になる。


「マリア様…からかわないでください」


「ふふ、ごめんなさい。でも、あなたがそんな風に慌てるの、珍しいから」


マリアは優しく微笑んだ。


「…マリア様は、意地悪です」


「あら、ひどいですね。でも…」


マリアは、ノエルの目を見つめた。


「あなたのそういうところ、好きですわよ」


「…マリア様」


「冗談ですよ♡」


マリアは笑った。


だが、その目には――


確かに、ノエルへの深い信頼と愛情があった。


恋愛ではない。


もっと深い、かけがえのない絆。


二人は、お互いにとって最高のパートナーだった。


-----


## 第三章 ナナの想い


その夜。


ナナは、自室でベッドに寝転んでいた。


「はぁ…」


大きなため息。


*ノエルさん…*


ナナは、天井を見つめた。


*私、本当に好きなんだな…*


彼女は、自分の想いを噛み締めた。


一緒に任務に行った時のこと。


洞窟で二人きりになった時のこと。


訓練で褒められた時のこと。


頭を撫でられた時のこと。


全てが、宝物のような思い出だった。


*でも…*


ナナは、アリシアのことを思った。


*アリシア様は、美しくて、強くて、積極的で…*


*私なんかより、ずっと…*


ナナは、自分の無力さを感じた。


*でも…諦めない*


彼女は、拳を握った。


*私も、もっと強くなる*


*そして、ノエルさんに…想いを伝える*


ナナは、決意を新たにした。


-----


## 第四章 アリシアの訪問


それから数日後。


王城に、緊急の伝令が入った。


「何…!?」


アーサー王が驚いた。


「アリシア・ヴァーミリオン様が、再び使節として来訪されるとのことです」


「また…?前回から、まだ一週間ほどしか経っていないぞ」


「はい。ですが、緊急の用件があるとのことで…」


「…わかった。受け入れよう」


そして、その日の夕方――


アリシアが、王城に到着した。


だが、今回は少し様子が違った。


護衛は最小限。そして、どこか急いでいる様子。


「アリシア様、どうされました?」


マリアが尋ねた。


「マリア様…実は、お話ししたいことがありまして」


「まあ、それは…」


「ノエル様にも、一緒に聞いていただきたいのです」


「ノエルに…?」


マリアは、ノエルを見た。


ノエルは、少し戸惑っていた。


「わかりました。では、私の部屋へどうぞ」


三人は、マリアの執務室へと向かった。


-----


## 第五章 アリシアの告白


執務室に入ると、アリシアは深く息をついた。


「アリシア様、落ち着いてお話しください」


マリアが優しく声をかける。


「はい…ありがとうございます」


アリシアは、ノエルを見た。


「ノエル様…実は、私…」


「はい」


「私には、許嫁がいます」


「…許嫁?」


ノエルが驚いた。


「ええ。ダリウス・ヴァンフリートという、大貴族の息子です」


「…」


「でも、私…その人のことが、大嫌いなんです」


アリシアの目に、嫌悪の色が浮かんだ。


「彼は、私の身体と地位しか見ていません。いつも、下卑た目で私を見るんです」


「…」


「父上は、国のために婚約を続けるべきだと言います。でも…私は、認めたくありません」


アリシアは、拳を握った。


「そして…」


彼女は、ノエルをまっすぐ見つめた。


「私…ノエル様のことが、好きです」


「…!」


ノエルの目が見開かれた。


マリアも、少し驚いた表情を浮かべた。


「初めて会った時から…ずっと、考えていました」


アリシアの頬が、少し赤く染まる。


「ノエル様の優しい目、穏やかな笑顔、そして強さ…全てが、私を惹きつけます」


「アリシア様…」


「だから…この婚約を、破棄したいんです」


アリシアは、涙を堪えながら言った。


「でも、父上は聞き入れてくれません。国のため、家のためだと…」


「…」


「ノエル様…私、どうすれば…」


アリシアは、涙を流した。


普段の気高い焔姫ではない。


一人の、恋に悩む女性だった。


ノエルは、少し考えた。


そして――


「アリシア様」


彼は、優しく声をかけた。


「僕は…あなたの想いを、嬉しく思います」


「…!」


アリシアの目が輝いた。


「でも、婚約のことは…簡単には解決できません」


「…そうですわね」


「だから、一緒に考えましょう。必ず、道はあるはずです」


ノエルは、優しく微笑んだ。


「僕も…アリシア様のことを、見捨てたりしません」


「ノエル様…!」


アリシアは、ノエルの手を握った。


「ありがとうございます…本当に…」


マリアは、二人の様子を優しく見守っていた。


*ノエル…あなたは、本当に優しいのですね*


-----


## 第六章 ナナの動揺


その頃、ナナは聖堂の廊下を歩いていた。


マリアの執務室に書類を届けに来たのだ。


だが、扉の前で――


中から、声が聞こえた。


「私…ノエル様のことが、好きです」


アリシアの声だ。


「…!」


ナナの顔が青ざめた。


*アリシア様…告白したの…?*


ナナは、扉の前で立ち尽くした。


そして、ノエルの声が聞こえた。


「僕は…あなたの想いを、嬉しく思います」


「…っ」


ナナの胸が、痛んだ。


*ノエルさん…嬉しいって…*


ナナは、その場から走り去った。


涙が、頬を伝う。


*…やっぱり*


*アリシア様の方が…*


*私なんて…*


ナナは、自室に戻った。


そして、ベッドに倒れ込んだ。


涙が止まらなかった。


-----


## 第七章 ノエルの気づき


翌日。


ノエルは、ナナの様子がおかしいことに気づいた。


「ナナ、どうしたの?元気がないね」


「…いえ、何でもありません」


ナナは、無理に笑顔を作った。


「本当に?顔色も悪いけど…」


「大丈夫です。ちょっと寝不足なだけですから」


「…そう」


ノエルは、納得していなかったが、それ以上追及しなかった。


訓練が始まった。


だが、ナナの動きは鈍かった。


「ナナ!」


ノエルが叫んだ。


ナナの剣が、大きく逸れていた。


「あ…」


「今日は、休もう。無理は良くない」


「…はい」


ナナは、剣を下ろした。


二人は、並んで座った。


「ナナ」


「…はい」


「何か、悩み事があるなら…聞くよ」


ノエルの優しい言葉に、ナナの心が揺れた。


*…言いたい*


*でも…*


「…大丈夫です」


ナナは、無理に笑った。


「そう…」


ノエルは、ナナの頭を優しく撫でた。


「無理しないでね」


「…はい」


ナナの目に、涙が浮かんだ。


*ノエルさん…*


*私…本当は…*


*本当は、あなたのことが…*


だが、ナナはその言葉を、飲み込んだ。


-----


## 第八章 マリアの助言


その夜。


マリアは、ナナを呼んだ。


「ナナ、少しお話ししましょう」


「…はい」


ナナは、マリアの部屋に入った。


二人は、向かい合って座った。


「ナナ、あなた…ノエルのことが好きなのね」


「…!」


ナナの顔が真っ赤になった。


「な、何を…」


「隠さなくてもいいのよ。私にはわかりますわ」


マリアは優しく微笑んだ。


「…はい」


ナナは、観念して頷いた。


「昨日、アリシア様がノエルに告白したこと…聞いてしまったのね」


「…はい」


ナナの目に、涙が浮かんだ。


「私…どうすればいいのか…」


「ナナ」


マリアは、ナナの手を握った。


「あなたの想いは、とても純粋で美しいですよ」


「でも…アリシア様には敵わないです…」


「そんなことないですよ」


マリアは、きっぱりと言った。


「恋に、勝ち負けなんてありません。大切なのは、あなたの想いをちゃんと伝えること」


「…」


「アリシア様は、勇気を出して想いを伝えました。あなたも、伝えるべきです」


「でも…怖いです…」


「怖いのは当然です。でも、後悔するのはもっと怖いことですよ」


マリアの言葉に、ナナの心が動いた。


「…私、伝えてもいいんでしょうか」


「ええ。あなたには、その権利があります」


マリアは、優しく微笑んだ。


「ノエルは、きっとあなたの想いを受け止めてくれますわ」


「…ありがとうございます、マリア様」


ナナは、涙を拭った。


そして、決意した。


*私も…想いを伝える*


-----


## 第九章 二人の告白


翌日の夕方。


ノエルは、聖堂の庭で一人佇んでいた。


「ノエル様」


声がした。


振り向くと、アリシアが立っていた。


「アリシア様…」


「少し、お時間よろしいですか?」


「はい」


二人は、庭のベンチに座った。


「昨日は…ありがとうございました」


アリシアが言った。


「いえ、当然のことです」


「いいえ…ノエル様は、私の想いを受け止めてくださいました」


アリシアは、ノエルの目を見つめた。


「だから、私…もっと伝えたいことがあります」


「…」


「私は、ノエル様のことが本当に好きです。この想いは、嘘じゃありません」


アリシアの目は、真剣だった。


「だから…もし、私の婚約が破棄できたら…」


「アリシア様」


ノエルが口を挟んだ。


「まずは、婚約のことを解決しましょう。その後で、ゆっくり考えればいいんです」


「…はい」


アリシアは微笑んだ。


そして――


「ノエルさん」


別の声がした。


振り向くと、ナナが立っていた。


「ナナ…」


「少し…お話ししてもいいですか」


ナナの目は、覚悟を決めたような目だった。


「…もちろん」


アリシアは立ち上がった。


「では、私は失礼しますわ。ナナさん、頑張ってくださいね」


アリシアは、意味深に微笑んで去っていった。


ナナとノエルが、二人きりになった。


「ナナ、どうしたの?」


「あの…私…」


ナナは深呼吸をした。


「私、ノエルさんのことが…好きです」


「…!」


ノエルの目が見開かれた。


「初めて会った時から…ずっと好きでした」


ナナの頬が、真っ赤になる。


「一緒に任務に行った時も、訓練している時も、ずっと…ノエルさんのことを考えていました」


「ナナ…」


「アリシア様は、綺麗で強くて…私なんかより、ずっと素敵です」


ナナの目に、涙が浮かんだ。


「でも…私の想いも、本物なんです」


「…」


「だから…伝えたかったんです」


ナナは、涙を流しながら微笑んだ。


「返事は…いりません。ただ、知ってほしかっただけです」


ノエルは、しばらく沈黙していた。


そして――


「ナナ」


彼は、ナナの涙を拭った。


「ありがとう。君の想い、ちゃんと受け取ったよ」


「…ノエルさん」


「でも…今は、返事ができない」


「…わかっています」


ナナは微笑んだ。


「だから、待っててくれるかな」


「…はい」


ナナは頷いた。


二人は、静かに見つめ合った。


月明かりが、二人を照らしていた。


-----


## エピローグ


その夜。


ノエルは、自室で一人考え込んでいた。


*アリシア様と、ナナ…*


*二人とも…僕に想いを寄せてくれている*


彼は、天井を見つめた。


*僕は…どうすればいいんだ*


ノエルの心は、揺れ動いていた。


アリシアの情熱的な想い。


ナナの純粋な想い。


どちらも、本物だった。


*…もう少し、時間をくれ*


ノエルは、そう心の中で呟いた。


そして――


遠くヴァーミリオン王国では――


ダリウスが、邪悪な笑みを浮かべていた。


「アリシア…逃がさないよ」


嵐の予感が、近づいていた。


-----


**第4話「三人の想い」 完**


**次回、第5話「嵐の予兆」 お楽しみに!**


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## 登場人物(第4話)


- **ノエル・フロストベール**: 主人公。二人の告白を受ける。

- **ナナ**: ノエルに告白する。

- **アリシア・ヴァーミリオン**: ノエルに告白する。許嫁問題を抱える。

- **マリア・K・アレクサンドリア**: ナナを励ます。ノエルと特別な信頼関係。

- **ダリウス・ヴァンフリート**: アリシアの許嫁。下劣な男。


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## 次回予告


ダリウスの陰謀が動き出す。


アリシアの危機。


そして、ノエルが動く――


第5話「嵐の予兆」、お楽しみに!

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