「炎と氷の邂逅」
第3話「炎と氷の邂逅」
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## プロローグ
アリシアは、決意していた。
あの白髪の騎士――ノエル・フロストベールのことが、頭から離れない。
「もっと…知りたい」
彼女は父、レオン国王に頼んだ。
「父上、帝国アレクサンドライトに使節として行かせてください」
「アリシア…お前、本気か?」
「はい。両国の和平のためにも、直接対話が必要だと思います」
アリシアの目は、真剣だった。
レオン国王は、娘の決意を感じ取った。
「…わかった。だが、くれぐれも気をつけろ」
「ありがとうございます、父上」
アリシアは微笑んだ。
*ノエル様…待っていてくださいな*
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## 第一章 炎の姫、来訪
「何…!?」
アーサー王が驚いた。
「ヴァーミリオン王国の第一王女、アリシア・ヴァーミリオンが使節として来訪されるとのことです」
伝令が報告する。
「焔姫が…なぜ?」
ジークフリートも驚きを隠せない。
「和平の交渉をしたい、と」
「…」
アーサーは考え込んだ。
「マリア、セレスティン、ジークフリート。お前たちはどう思う?」
「…私は、話を聞く価値はあると思います」
セレスティンが答えた。
「戦争は避けたいですからね」
「私も同意見です」
マリアも頷いた。
「ただ…警戒は必要ですわ」
「そうだな…」
アーサーは決断した。
「よし。使節を受け入れる。ただし、警備は厳重にしろ」
「はっ」
そして、三日後――
ヴァーミリオン王国の使節団が、王都に到着した。
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## 第二章 再会
王城の謁見の間。
アーサー王が玉座に座り、三聖が脇に控えている。
ナイト・オブ・ラウンズの主要メンバーも、列を成して立っている。
そして――
扉が開いた。
その瞬間――
謁見の間の空気が変わった。
真紅の髪をなびかせた、美しい女性が入ってきた。
炎のように輝く赤い瞳、整った顔立ち、凛とした表情。まるで炎の女神が降臨したかのような、圧倒的な存在感。
赤と金を基調とした、ヴァーミリオン王国の正装を纏っている。露出は控えめだが、その曲線美は服の上からでもはっきりとわかる。豊かな胸、くびれた腰、長い脚。腰には、炎を象った装飾が施された剣が下げられている。
そして、その後ろには数名の護衛騎士が続く。
アリシア・ヴァーミリオン――焔姫の登場だ。
「…綺麗だな」
謁見の間にいた騎士の一人が、思わず小声で呟いた。
周囲の者たちも、アリシアの美しさと気品に見惚れていた。息を呑む者、目を見開く者、固まる者。
フェリクスも、その美貌に一瞬目を奪われた。
*さすが、焔姫と呼ばれるだけはある…美しいだけでなく、風格がある*
セレスティンは冷静に観察していた。
*外見だけでなく、内に秘めた力…相当なものだ*
ジークフリートは、アリシアの剣に目を向けた。
*あの剣…戦場で見た、炎の剣か。美しいが、油断はできない*
マリアは、優しく微笑んだ。
*美しい方ですわ…そして、強い意志を感じます*
そして、ノエルも――
アリシアを見て、息を呑んだ。
*…綺麗だ*
戦場で見た時よりも、さらに美しく見えた。
アリシアは優雅に歩み、アーサー王の前で立ち止まった。
そして、気品ある仕草で一礼した。
「帝国アレクサンドライトの王、アーサー・ペンドラゴン陛下。お初にお目にかかります。ヴァーミリオン王国第一王女、アリシア・ヴァーミリオンと申します」
その声は、凛としていて、それでいて美しかった。
謁見の間が、静まり返る。
アーサーは、穏やかに微笑んだ。
「ようこそ、焔姫アリシア殿。遠路はるばる、ご苦労であった」
アーサーが穏やかに応じる。
「早速ですが、和平の件について話し合いたいと存じます」
「承知した。後ほど、正式な会議を設けよう」
「ありがとうございます」
アリシアは微笑んだ。
そして――
彼女の視線が、マリアの隣に立つ人物に向けられた。
白い髪、青い瞳。
ノエル・フロストベール。
*…!*
アリシアの心臓が高鳴った。
*いた…!*
ノエルも、アリシアに気づいた。
二人の視線が交わる。
アリシアは、嬉しそうに微笑んだ。
ノエルは、少し戸惑った表情を浮かべた。
その様子を、ナナが見ていた。
マリアの後ろに控えていたナナは――
アリシアがノエルを見つめているのに気づいた。
*…あの人…*
ナナの胸に、嫌な予感が広がった。
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## 第三章 積極的なアプローチ
謁見が終わり、アリシアは王城の客室に案内された。
そして、その日の夕方――
アリシアは、聖堂を訪れた。
「あの…守護聖マリア様にお会いしたいのですが」
「はい、少々お待ちください」
聖職者が、マリアを呼びに行った。
しばらくして、マリアが現れた。
「アリシア様、ようこそいらっしゃいました」
「マリア様、お時間をいただきありがとうございます」
「いえ、どうされましたか?」
「実は…聖堂を見学させていただきたいと思いまして」
「まあ、それは光栄ですわ。ご案内いたしますね」
マリアは快く承諾した。
そして――
「ノエル、アリシア様をご案内してくれますか?私は少し用事がありますので」
「え…私がですか?」
ノエルが戸惑った。
「ええ、お願いしますわ」
マリアは微笑んだ。
「…承知しました」
ノエルは頷いた。
アリシアは、心の中でガッツポーズをした。
*やった…!*
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## 第四章 二人きりの時間
ノエルとアリシアは、聖堂の中を歩いた。
「ここが、祈りの間です」
「まあ…美しいですわね」
アリシアは、聖堂の美しさに感嘆した。
だが、彼女の視線は――
ノエルに向けられていた。
「ノエル様」
「はい?」
「あの…戦場では、失礼いたしました」
「いえ、お互い様です」
「ふふ、優しいのですね」
アリシアは微笑んだ。
そして――
「あの…ノエル様は、恋人とか…いらっしゃるのですか?」
突然の質問に、ノエルは驚いた。
「え…?」
「あ、すみません。突然すぎましたわね」
アリシアは少し恥ずかしそうに笑った。
「いえ…恋人は、いません」
「そう…ですか」
アリシアの顔が、パッと明るくなった。
「では…私にも、チャンスがあるということですわね」
「え…?」
「ふふ、冗談ですわ」
アリシアはそう言ったが――
その目は、本気だった。
ノエルは、少しドキドキした。
*この人…積極的だな*
二人は、さらに聖堂の中を歩いた。
「ここが、マリア様の執務室です」
「まあ…」
アリシアは部屋を覗き込んだ。
そして――
「きゃっ!」
アリシアが足を滑らせた。
「危ない!」
ノエルが咄嗟にアリシアを抱き止めた。
二人は、密着した。
アリシアの柔らかい身体が、ノエルに押し付けられる。
豊かな胸が、ノエルの胸に当たった。
「あ…」
ノエルの顔が赤くなる。
アリシアは、ノエルの腕の中で微笑んだ。
「ありがとうございます…ノエル様」
彼女の顔が、ノエルの顔に近い。
赤い瞳が、ノエルを見つめている。
「あ、あの…もう大丈夫ですか?」
「ええ…でも、もう少しこのままで…」
アリシアは、ノエルの腕の中から離れようとしなかった。
「あ、アリシア様…」
「ふふ、ノエル様の腕…強いですのね」
アリシアは、ノエルの腕を撫でた。
「っ…!」
ノエルは、ドキドキが止まらなかった。
そして――
「あら、お二人とも何をされているのですか?」
声が響いた。
振り向くと――
ナナが立っていた。
彼女の表情は、少し険しい。
「ナナ…」
ノエルは慌ててアリシアから離れた。
「あら、あなたは…?」
アリシアがナナを見た。
「私は、ナイト・オブ・ラウンズのナンバー7、ナナです」
ナナは、きっぱりと名乗った。
「ナンバー7…まあ、お若いのにすごいですわね」
「…ありがとうございます」
ナナの声は、少し冷たかった。
アリシアは、ナナの様子に気づいた。
*…もしかして、この子…*
「ナナさん、もしかして…ノエル様と親しいのですか?」
「…私は、ノエルさんと一緒に任務をしています」
「まあ、そうなんですの」
アリシアは、ナナをじっと見た。
ナナも、アリシアを見返した。
二人の間に、火花が散った。
ノエルは、その空気に気づいた。
*…何だろう、この雰囲気…*
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## 第五章 ライバル宣言
その夜。
ナナは、自室で考え込んでいた。
*あの人…アリシア様*
*ノエルさんを見る目が…私と同じ…*
ナナは、気づいていた。
アリシアが、ノエルに好意を持っていることに。
*…負けない*
ナナは、決意した。
一方、アリシアも――
客室で、ノエルのことを考えていた。
「ノエル様…」
彼女は、枕に顔を埋めた。
「もっと…もっと近づきたい」
そして、次の日――
アリシアは、訓練場を訪れた。
そこには、ノエルが一人で剣の訓練をしていた。
「ノエル様」
「アリシア様…どうされました?」
「あの…もしよろしければ、手合わせをお願いできませんか?」
「手合わせ…ですか?」
「ええ。戦場では中途半端に終わってしまいましたから」
アリシアは微笑んだ。
「…わかりました」
ノエルは剣を構えた。
アリシアも、炎の剣を構える。
二人の間に、緊張感が走った。
「では…行きますわ!」
アリシアが突撃してきた。
炎の剣が、ノエルに迫る。
ノエルは、氷の剣で防いだ。
キィン!
激しい火花が散る。
「やはり…強いですわね」
「そちらこそ」
二人は、激しく剣を交えた。
その様子を、遠くから見ている人物がいた。
ナナだ。
彼女は、二人の戦いを見て――
胸が痛くなった。
*二人…息がぴったり…*
アリシアとノエルは、まるで踊るように戦っている。
炎と氷が、美しく交わる。
*…悔しい…*
ナナは、自分の無力さを感じた。
戦いが終わった。
「お見事ですわ、ノエル様」
「こちらこそ」
二人は、剣を収めた。
アリシアは、汗を拭った。
「あの…ノエル様」
「はい?」
「また…手合わせしてくださいますか?」
「…ええ、喜んで」
アリシアは嬉しそうに微笑んだ。
その様子を見て――
ナナは、決意した。
*私も…もっと強くならなきゃ*
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## 第六章 ナナの決意
その日の夕方。
ナナは、ノエルに話しかけた。
「ノエルさん」
「ん?どうしたの、ナナ」
「あの…私にも、訓練を手伝ってもらえませんか?」
「訓練?」
「はい…もっと強くなりたいんです」
ナナの目は、真剣だった。
「…わかった。じゃあ、明日から一緒に訓練しよう」
「本当ですか!ありがとうございます!」
ナナは嬉しそうに笑った。
ノエルは、ナナの頭を優しく撫でた。
「ナナは頑張り屋だね」
「え…」
ナナの顔が真っ赤になった。
*…頭…撫でられた…*
ナナの心臓が、激しく高鳴った。
「じゃあ、明日の朝、訓練場で」
「は、はい!」
ノエルが去っていく。
ナナは、その背中を見つめた。
*…私も、ノエルさんに認めてもらいたい*
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## 第七章 和平会議
数日後、正式な和平会議が開かれた。
アーサー王、三聖、そしてアリシアが円卓に座る。
「では、会議を始める」
アーサーが口を開いた。
「アリシア殿、和平についてのご提案を」
「はい」
アリシアが立ち上がった。
「我がヴァーミリオン王国は、帝国アレクサンドライトとの戦争を望んでおりません」
「…」
「これまでの小競り合いは、双方の誤解から生じたものです。我々は、対話によって解決したいと考えております」
「なるほど…」
セレスティンが頷いた。
「具体的には?」
「まず、国境の管理を厳格化します。そして、定期的な外交使節の交換を提案いたします」
「…良い提案だ」
アーサーは満足そうに頷いた。
「ジークフリート、セレスティン、マリア。お前たちの意見は?」
「私は賛成です」
セレスティンが答えた。
「戦争は、双方に損失をもたらすだけですから」
「私も賛成ですわ」
マリアも頷いた。
「ジークフリートは?」
「…私も賛成です。だが、警戒は緩めてはなりません」
「もちろんだ」
アーサーは、アリシアを見た。
「では、和平条約を結ぼう」
「ありがとうございます、陛下」
アリシアは深々と頭を下げた。
こうして、帝国アレクサンドライトとヴァーミリオン王国は、和平条約を結んだ。
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## 第八章 告白の予感
和平条約が結ばれた夜。
アリシアは、ノエルを呼び出した。
「ノエル様、少しお時間よろしいですか?」
「はい、どうされました?」
二人は、王城の庭園に立っていた。
月明かりが、二人を照らしている。
「あの…」
アリシアが口を開いた。
「私、明日ヴァーミリオンに帰ります」
「そうですか…」
「でも…」
アリシアは、ノエルを見つめた。
「また、来ますわ」
「え…?」
「私…ノエル様のことが…」
アリシアが言いかけた時――
「ノエルさん!」
ナナの声が響いた。
「ナナ…?」
ナナが駆けてきた。
「マリア様が、ノエルさんを呼んでいます」
「わかった」
ノエルは、アリシアを見た。
「すみません、アリシア様。また後で」
「あ…はい…」
アリシアは、残念そうな顔をした。
ノエルが去った後――
アリシアとナナが、二人きりになった。
「…」
「…」
二人は、お互いを見つめた。
そして――
「あなた…ノエル様のことが好きなのね」
アリシアが言った。
「…!」
ナナの顔が真っ赤になった。
「私も…ノエル様が好きよ」
アリシアは、はっきりと宣言した。
「だから…諦めないわ」
「…私も、負けません」
ナナも、負けじと応えた。
二人の間に、激しい火花が散った。
だが――
その目には、互いへの尊敬も見えた。
「ふふ…良いライバルになれそうですわね」
アリシアが微笑む。
「…はい」
ナナも、小さく微笑んだ。
二人は、お互いを認め合った。
そして――
ノエルを巡る、静かな戦いが始まった。
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## 第九章 別れと約束
翌日、アリシアはヴァーミリオンへと旅立った。
見送りに来たのは、アーサー王、三聖、そして――
ノエルとナナだった。
「アリシア様、お気をつけて」
マリアが言った。
「ありがとうございます。また必ず参りますわ」
アリシアは微笑んだ。
そして、ノエルを見た。
「ノエル様」
「はい」
「また…お会いしましょう」
「…はい」
アリシアは、馬車に乗り込んだ。
馬車が動き出す。
アリシアは、窓から手を振った。
ノエルも、手を振り返した。
ナナは、その様子を複雑な表情で見ていた。
*…アリシア様…*
*強くて、綺麗で、積極的で…*
*…でも、私も負けない*
ナナは、改めて決意した。
馬車が遠ざかっていく。
ノエルは、その背を見送った。
*アリシア様か…*
*不思議な人だな*
ノエルの心には――
アリシアの姿が、焼き付いていた。
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## エピローグ
数日後。
ノエルとナナは、いつものように訓練をしていた。
「もう一回!」
ナナが必死に剣を振るう。
ノエルは、それを受け止めた。
「ナナ、無理しないで」
「大丈夫です!もっと強くなりたいんです!」
ナナの目は、真剣だった。
ノエルは、ナナの成長を感じた。
*ナナ…頑張ってるな*
訓練が終わり、二人は並んで座った。
「お疲れ様、ナナ」
「お疲れ様です、ノエルさん」
ナナは、ノエルを見つめた。
「あの…」
「ん?」
「これからも…一緒に訓練してくれますか?」
「もちろん」
ノエルは微笑んだ。
「ナナは、大切な仲間だから」
「…仲間」
ナナの胸が、キュンとした。
*今は、仲間…*
*でも、いつか…*
ナナは、自分の想いを胸に秘めた。
一方、ヴァーミリオン王国では――
アリシアが、ノエルのことを考えていた。
「ノエル様…」
彼女は、窓の外を見つめた。
「必ず…また会いに行きますわ」
アリシアの心には、熱い想いが燃えていた。
そして――
運命の歯車は、さらに回り続ける。
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**第3話「炎と氷の邂逅」 完**
**次回、第4話「三人の想い」 お楽しみに!**
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## 登場人物(第3話)
- **ノエル・フロストベール**: 主人公。二人の女性に想いを寄せられる。
- **ナナ**: ノエルに恋心を抱く。アリシアをライバル視。
- **アリシア・ヴァーミリオン**: ノエルに一目惚れ。積極的にアプローチ。
- **マリア・K・アレクサンドリア**: 守護聖。優しく見守る。
- **アーサー・ペンドラゴン**: 光の王。和平条約を結ぶ。
- **ジークフリート・レオンハート**: 剣聖。警戒を怠らない。
- **セレスティン・セレスティア**: 聖霊。外交を重視。
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## 次回予告
ナナとアリシアの想い。
そして、ノエルの心が揺れ動く。
マリアの秘めた想いも明らかに――?
第4話「三人の想い」、お楽しみに!




