「氷と水の絆」
第2話「氷と水の絆」
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## プロローグ
ナナがマリア陣営に配属されてから、1ヶ月が経った。
彼女は毎日、聖堂での仕事を真面目にこなし、マリアからも「優秀な子ね」と褒められていた。
そして、ノエルとの距離も少しずつ縮まっていた。
「おはようございます、ノエルさん」
「おはよう、ナナ」
朝の挨拶を交わすたびに、ナナの心臓は高鳴る。
*今日も…綺麗だな*
ナナは、ノエルを見るたびにそう思った。
そして、この日――
運命が動き出す。
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## 第一章 初めての任務
「ナナ、ノエル」
マリアが二人を呼んだ。
「はい、マリア様」
二人が揃って返事をする。
「今日、あなたたちに初めての任務をお願いしたいの」
「任務…ですか?」
ナナの目が輝いた。
「ええ。王都から北にある『翠緑の森』で、魔物の目撃情報が相次いでいるの。民が怖がっているわ」
「翠緑の森…」
ノエルは地図を思い浮かべた。
王都から馬で2時間ほどの距離にある、豊かな森だ。
「そこで、魔物の調査と、もし遭遇したら退治をお願いしたいの」
「承知しました」
ノエルが頷く。
「ナナにとって初めての実戦任務ね。ノエル、ナナをよろしくお願いしますわ」
「はい、お任せください」
「ナナ、緊張しなくても大丈夫よ。ノエルが一緒なら、心配ないわ」
マリアの優しい言葉に、ナナは頷いた。
「はい!頑張ります!」
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## 第二章 森への道
ノエルとナナは、馬に乗って王都を出発した。
ナナは初めての任務に緊張しているのか、少し表情が硬い。
「ナナ、大丈夫?」
ノエルが声をかける。
「あ、はい…少し緊張してます」
「無理もないね。でも、大丈夫。僕がついてるから」
「…はい」
ナナは、ノエルの優しい言葉に安心した。
二人は並んで馬を進める。
街道沿いには、美しい景色が広がっていた。
緑豊かな草原、遠くに見える山々、青い空。
「綺麗ですね」
ナナが呟く。
「ああ、この国は本当に美しい」
ノエルも同意した。
「でも…その美しさを守るために、僕たちがいるんだ」
「…はい」
ナナは、改めて自分の使命を感じた。
しばらく進むと、翠緑の森が見えてきた。
深い緑に覆われた、広大な森。
「あれが、翠緑の森ですね」
「ああ。ここからは、慎重に行こう」
二人は馬を降り、徒歩で森に入った。
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## 第三章 森の中で
森の中は、静かだった。
木々の間から差し込む光が、幻想的な雰囲気を作り出している。
「魔物の気配は…」
ノエルが周囲を警戒する。
「まだ感じませんね」
ナナも同じように警戒していた。
二人は慎重に森の奥へと進んだ。
すると――
ガサガサッ!
茂みが揺れた。
「!」
二人は即座に剣を構える。
茂みから飛び出してきたのは――
「うさぎ…?」
小さな白いうさぎだった。
「…驚かせないでよ」
ナナが苦笑する。
ノエルも笑った。
「でも、警戒心は大事だよ」
「はい」
二人は再び歩き出した。
しばらく進むと、小さな川が見えてきた。
「少し休憩しようか」
「はい」
二人は川のほとりで休憩することにした。
ナナは川の水を手で掬い、飲んだ。
「冷たくて…美味しい」
「この森の水は、とても綺麗だからね」
ノエルも水を飲んだ。
その時――
「ノエルさん、あれ…」
ナナが川の向こうを指差した。
そこには、巨大な足跡があった。
「これは…魔物の足跡だ」
ノエルの表情が真剣になった。
「かなり大きい…オーガークラスかもしれない」
「オーガー…!」
オーガーは、人間の三倍ほどの大きさを持つ、凶暴な魔物だ。
「気をつけよう。近くにいるかもしれない」
「はい」
二人は警戒しながら、足跡を追った。
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## 第四章 魔物との遭遇
足跡は、森の奥へと続いていた。
そして――
ドシン、ドシン、ドシン。
重い足音が聞こえてきた。
「来る…!」
ノエルが剣を構える。
ナナも剣を抜いた。
茂みから現れたのは――
巨大な、灰色の肌を持つ魔物。
オーガーだ。
「グオオオオォォォ!!」
オーガーが咆哮した。
「ナナ、僕が前衛を務める。君は後方から魔法で援護して」
「はい!」
ノエルが前に出た。
オーガーが巨大な棍棒を振り下ろす。
ノエルは素早く回避した。
「遅い」
彼は氷の剣を構え、オーガーの脚を斬りつけた。
「グオッ!」
オーガーが怯む。
「今だ、ナナ!」
「はい!ウォーターランス!」
ナナが魔法を放つ。
鋭い水の槍が、オーガーの胸に突き刺さった。
「グオオオッ!」
オーガーが激しく暴れる。
「もう一発!アイス・ブレイド!」
ノエルの剣が氷を纏い、オーガーの腕を斬り飛ばした。
「グオオオ…」
オーガーが膝をついた。
「トドメだ!フリーズ・バインド!」
ノエルの魔法が、オーガーの足元を凍らせた。
動けなくなったオーガーに、ノエルが最後の一撃を放つ。
「終わりだ」
氷の剣が、オーガーの心臓を貫いた。
「グオ…」
オーガーは、そのまま倒れた。
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## 第五章 予期せぬアクシデント
「やった…!」
ナナが喜びの声を上げた。
「ナナ、よくやった。君の魔法、とても正確だったよ」
「ありがとうございます!」
ナナの顔が嬉しさで輝いた。
「でも、まだ油断は禁物だ。他にも魔物がいるかもしれない」
「はい」
二人は警戒しながら、森の奥へと進んだ。
しかし、その時――
「きゃっ!」
ナナが足を滑らせた。
「ナナ!」
ノエルが手を伸ばすが、間に合わない。
ナナは川に落ちてしまった。
ザブン!
「ナナ!大丈夫か!」
ノエルが川に飛び込んだ。
幸い、川はそれほど深くない。
ノエルはナナを抱き上げた。
「大丈夫…?」
「は、はい…すみません…」
ナナは恥ずかしそうに俯いた。
ノエルは、ナナを岸に運んだ。
そして――
ノエルは気づいた。
ナナの服が、びしょ濡れになっている。
そして、白い服が肌に張り付いて――
透けている。
ナナの身体のラインが、はっきりと見える。
豊かな胸の形、くびれた腰、柔らかそうな太もも。
「あ…」
ノエルは思わず目を逸らした。
ナナも気づいた。
「きゃっ!」
彼女は慌てて腕で胸を隠した。
顔が真っ赤になる。
「ご、ごめん!見るつもりは…!」
ノエルも顔を赤らめた。
「い、いえ…私が悪いんです…」
二人は気まずい空気に包まれた。
「と、とにかく…服を乾かさないと」
「は、はい…」
ノエルは周囲を見回した。
幸い、近くに小さな洞窟があった。
「あそこで休もう。火を起こして、服を乾かす」
「はい…」
ナナは恥ずかしそうについていった。
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## 第六章 洞窟の中で
洞窟の中は、外よりも暖かかった。
ノエルは手際よく火を起こした。
「ナナ、服を脱いで火で乾かそう」
「え…!」
ナナの顔がさらに赤くなった。
「ぬ、脱ぐんですか…?」
「そのままだと風邪を引くよ。僕は外を見てるから」
「あ…はい…」
ノエルは洞窟の入り口に背を向けた。
ナナは恥ずかしそうに服を脱ぎ始めた。
びしょ濡れの服を脱ぐと、白い肌が露わになる。
ナナは慌てて毛布を身体に巻いた。
「ノ、ノエルさん…脱ぎました…」
「そう。じゃあ、服を火の近くに干そう」
ノエルは目を逸らしたまま、ナナの服を受け取った。
そして、火の近くに干した。
「しばらく時間がかかりそうだね」
「はい…すみません、私のせいで…」
「いや、気にしないで。こういうことは任務ではよくあることだから」
ノエルは優しく笑った。
ナナは、毛布を身体に巻いたまま、火の近くに座った。
ノエルも隣に座る。
火の光が、二人を照らす。
静かな時間が流れた。
「…ノエルさん」
ナナが口を開いた。
「ん?」
「今日、ありがとうございました。私を助けてくれて…」
「当たり前のことをしただけだよ」
「でも…嬉しかったです」
ナナは恥ずかしそうに笑った。
「ノエルさんがいてくれて、安心しました」
「…ナナ」
ノエルは、ナナを見つめた。
火の光に照らされたナナの顔は、とても美しかった。
青い髪が濡れて、頬には赤みが差している。
翡翠色の瞳が、ノエルを見つめている。
*…綺麗だな*
ノエルは思わずそう思った。
そして、ナナも――
ノエルの顔を見つめていた。
白い髪、青い瞳、優しい表情。
*…こんなに近くで…*
ナナの心臓が高鳴る。
二人の距離が、少しずつ近づいていく。
火のパチパチという音だけが、洞窟に響く。
そして――
「服、乾いたかな」
ノエルが急に立ち上がった。
「あ…はい…」
ナナは、少し残念そうな顔をした。
ノエルは服を確認した。
「まだ少し湿ってるけど…大丈夫そうだね」
「はい…着ます」
ナナは毛布を脱いで――
その瞬間、ノエルは目を逸らした。
だが、一瞬だけ――
ナナの白い背中と、柔らかな曲線が視界に入った。
ノエルの顔が熱くなる。
*…いけない、何を考えてるんだ*
彼は自分を落ち着かせた。
「着ました…」
ナナの声が聞こえる。
ノエルが振り向くと、ナナは服を着ていた。
少し湿った服が、まだ身体のラインを強調している。
「じゃあ、戻ろうか」
「はい」
二人は洞窟を出た。
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## 第七章 帰路
任務を終え、二人は王都への帰路についていた。
夕日が、二人を照らしている。
「今日は、お疲れ様でした」
ナナが言った。
「お疲れ様。ナナは初めての任務、よく頑張ったね」
「ありがとうございます…でも、川に落ちたりして…」
「それも経験だよ。次からは気をつければいい」
「はい…」
ナナは少し恥ずかしそうに笑った。
そして――
「ノエルさん」
「ん?」
「また…一緒に任務に行けますか?」
ナナの目が、ノエルを見つめる。
「もちろん。マリア様が許可してくれればね」
「…嬉しいです」
ナナは笑顔になった。
その笑顔を見て、ノエルも微笑んだ。
「僕も…ナナと一緒だと、楽しいよ」
「え…!」
ナナの顔が真っ赤になった。
「そ、そんな…私なんて…」
「いや、本当だよ。ナナは優秀だし、一緒にいて安心する」
「ノ、ノエルさん…」
ナナの心臓が、激しく高鳴った。
*…もう…好き…*
ナナは、自分の気持ちを確信した。
ノエルのことが、好きだと。
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## 第八章 国境の緊張
王都に戻った二人は、マリアに報告した。
「お疲れ様でした。二人とも、よくやってくれましたわ」
「ありがとうございます、マリア様」
「特に、ナナ。初めての任務、立派でしたわよ」
「あ、ありがとうございます!」
ナナは嬉しそうに頭を下げた。
「でも…」
マリアの表情が少し曇った。
「どうされました?」
ノエルが尋ねる。
「実は…ヴァーミリオン王国との国境で、また衝突があったそうなの」
「また…ですか」
「ええ。今回は、かなり大規模だったとか。ジークフリート様たちが対応されていますが…」
「…」
ノエルは険しい表情になった。
「もしかしたら、ノエル。あなたにも出動要請が来るかもしれませんわ」
「承知しました」
「ナナも、心の準備をしておいてくださいね」
「はい」
二人は頷いた。
そして、その夜――
ノエルの元に、緊急の伝令が来た。
「ガーディアン・ノエル様!」
「どうした?」
「国境で大規模な戦闘が発生しました!ジークフリート様が、ノエル様の援軍を要請されています!」
「マリア様の許可も得ております。」
「わかった。すぐに向かう」
ノエルは即座に準備を整えた。
そして、馬に乗って国境へと向かった。
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## 第九章 炎の姫
国境の戦場。
剣と剣がぶつかり合い、魔法が飛び交っている。
帝国の騎士たちと、ヴァーミリオンの兵士たちが激しく戦っていた。
「ノエル!」
ジークフリートが叫んだ。
「来てくれたか!」
「状況は?」
「ヴァーミリオン側が、かなりの戦力を投入してきた!その中に…厄介なのがいる!」
「厄介?」
「ああ…『焔姫』と呼ばれる女だ!」
その瞬間――
轟音が響いた。
炎の柱が、戦場に立ち上る。
「何だ…!」
ノエルが驚く。
炎の中から、一人の女性が現れた。
真紅の髪をなびかせ、赤い瞳を輝かせた美しい女性。
炎の剣を手にしている。
「あれが…焔姫、アリシア・ヴァーミリオン!」
ジークフリートが叫ぶ。
アリシアは、優雅に剣を構えた。
「バーミリオンの焔姫、アリシア・ヴァーミリオン。参りますわ」
彼女の声は、凛としていた。
そして、彼女は帝国の騎士たちに向かって突撃した。
「うわああ!」
騎士たちが次々と吹き飛ばされる。
「強い…!」
ノエルは、彼女の実力を認めた。
「ノエル、お前が相手をしてくれ!お前なら、互角に戦える!」
「…わかった」
ノエルは、アリシアの前に立ちはだかった。
アリシアは、ノエルを見た。
「あら…?」
彼女の目が、少し驚いたように見開かれた。
白い髪、青い瞳。
凛とした立ち姿。
*…誰?*
アリシアは、ノエルに興味を持った。
「あなた…名は?」
「ノエル・フロストベール。マリア様のガーディアンだ」
「ガーディアン…!」
アリシアの目が輝いた。
「なるほど…噂には聞いていましたわ。では、お手並み拝見といきましょうか」
アリシアが炎の剣を構えた。
ノエルも、剣を抜いた。
そして――
「行きますわよ!」
アリシアが突撃してきた。
炎の剣が、ノエルに迫る。
ノエルは、剣で防いだ。
キィン!
激しい火花が散る。
「速い…!」
ノエルは驚いた。
アリシアの剣技は、ジークフリートに匹敵するほどだ。
「でも…こちらも負けない!」
ノエルの剣が、氷を纏った。
「アイス・ブレイド!」
氷の剣が、炎の剣とぶつかり合う。
炎と氷。
二つの力が、激しくせめぎ合った。
「まあ…氷ですの?」
アリシアが驚く。
「炎と氷…まるで運命のようですわね」
彼女は嬉しそうに笑った。
「もっと…もっと見せてくださいな!」
アリシアの攻撃が、さらに激しくなる。
ノエルも、全力で応戦した。
二人の戦いは、戦場の誰もが目を奪われるほどの激しさだった。
そして――
アリシアは、ノエルの目を見た。
青い瞳。
冷静で、でも優しさが垣間見える。
*…なんて…美しい人…*
その瞬間、アリシアの心に何かが芽生えた。
熱い、燃えるような感情。
「あなた…名前は、ノエル様でしたわね」
「ああ」
「覚えましたわ。また…お会いしましょう」
アリシアはそう言って、戦場から離脱した。
炎の魔法で煙幕を張り、姿を消した。
「…逃げたか」
ノエルは剣を収めた。
だが、彼の心には――
アリシアの姿が、強く焼き付いていた。
真紅の髪、赤い瞳、優雅で強い戦い方。
*…強い女性だ*
ノエルは、そう思った。
そして、アリシアも――
ノエルのことを、忘れることができなかった。
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## エピローグ
戦いが終わり、ノエルは王都へと戻った。
聖堂に戻ると、ナナが心配そうに待っていた。
「ノエルさん!無事でしたか!」
「ああ、大丈夫だよ」
「良かった…心配しました…」
ナナは安堵の表情を浮かべた。
「ありがとう、ナナ」
ノエルは優しく微笑んだ。
その笑顔を見て、ナナの心が温かくなった。
*…やっぱり、好き*
ナナは、改めて思った。
一方、ヴァーミリオン王国。
アリシアは、自室で一人考え込んでいた。
「ノエル様…」
彼女は、ノエルの名前を呟いた。
「なんて…素敵な人…」
アリシアの頬が、少し赤く染まる。
「もっと…知りたいわ」
彼女の心に、恋の炎が灯った。
そして――
運命の歯車が、回り始めた。
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**第2話「氷と水の絆」 完**
**次回、第3話「炎と氷の邂逅」 お楽しみに!**
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## 登場人物(第2話)
- **ノエル・フロストベール**: 主人公。マリアのガーディアン。
- **ナナ**: マリア陣営の新人。ノエルに恋心を抱く。
- **マリア・K・アレクサンドリア**: 守護聖。優しい聖女。
- **ジークフリート・レオンハート**: 剣聖。国境の戦いで指揮を執る。
- **アリシア・ヴァーミリオン**: ヴァーミリオン王国の第一王女。焔姫。ノエルに一目惚れ。
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## 次回予告
アリシアの積極的なアプローチが始まる。
ナナとアリシアの間に、火花が散る。
そして、ノエルの心は揺れ動く――
第3話「炎と氷の邂逅」、お楽しみに!




