「ヴァーミリオン王国へ(前編)」
第11話「ヴァーミリオン王国へ(前編)」
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## プロローグ
三人の絆が、深まった。
そして、ノエルは決意した。
ナナとアリシアに、正式にプロポーズをすると。
だが、その前に――
アリシアの両親に、挨拶をしなければならない。
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## 第一章 出発前
朝、聖堂。
ノエルは、マリアに報告していた。
「アリシア様の実家…ヴァーミリオン王国に行くのですね」
マリアは、優しく微笑んだ。
「ええ」
ノエルは、頷いた。
「アリシア様のご両親に、正式に挨拶をしたいんです」
「ふふ、ついにその時が来たのですね」
マリアは、嬉しそうだった。
「ノエルなら、きっと認めていただけますよ」
「ありがとうございます、マリア様」
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その後、騎士団本部。
ジークフリートとセレスティンにも報告した。
「ヴァーミリオン王国か」
ジークフリートは、ニヤリと笑った。
「レオン王は厳しいぞ。頑張れよ、ノエル」
「ああ、頑張る」
「王族への挨拶…緊張するだろうな」
セレスティンも、微笑んだ。
「だが、お前なら大丈夫だ」
「ありがとう、二人とも」
ノエルは、二人の言葉に勇気をもらった。
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## 第二章 ヴァーミリオン王国到着
昼過ぎ。
ノエル、ナナ、アリシアの三人は、転移魔法でヴァーミリオン王国に到着した。
目の前には、巨大な王城が聳え立っていた。
赤と金に彩られた、美しく威厳ある城。
「わあ…すごい…」
ナナは、目を輝かせた。
「ヴァーミリオン王国へようこそ」
アリシアは、誇らしげに微笑んだ。
「わたくしの故郷ですわ」
城門では、多くの騎士や侍女が出迎えていた。
「アリシア様、お帰りなさいませ!」
「お待ちしておりました!」
皆が、アリシアを歓迎する。
侍女たちは、ノエルを見て――
「まあ…」
「素敵な方…」
頬を赤らめていた。
白い髪に青い瞳。
整った顔立ち。
優しい雰囲気。
侍女たちの視線が、ノエルに集中した。
「…」
アリシアは、それに気づいた。
彼女は、さりげなくノエルの腕を取った。
「皆さん」
アリシアは、優雅に微笑んだ。
「ノエル様は、わたくしのものですわよ」
「あげませんことよ」
侍女たちは、慌てて視線を逸らした。
「も、申し訳ございません…!」
ノエルは、少し苦笑した。
ナナは、クスクスと笑っていた。
「ただいま、皆さん」
アリシアは、優雅に微笑んだ。
「こちらは、ノエル様とナナ様」
「わたくしの…大切な方々ですわ」
アリシアの頬が、少し赤く染まった。
騎士たちは、ノエルとナナに礼をした。
「ようこそ、ノエル様、ナナ様」
三人は、城の中へと案内された。
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## 第三章 レオン王との謁見
王城の謁見の間。
玉座には、レオン・ヴァーミリオン王が座っていた。
真紅の髪、燃えるような赤い瞳。
威厳に満ちた体格。
まさに、炎の王。
その隣には、フレイア王妃が座っていた。
オレンジがかった赤髪、優しい赤い瞳。
気品ある美貌。
「お父様、お母様」
アリシアが、一歩前に出た。
「ただいま戻りました」
「アリシア…」
フレイアは、優しく微笑んだ。
「お帰りなさい」
「…」
レオンは、ノエルをじっと見つめた。
その視線は、厳しかった。
「…ノエル殿」
レオンが、口を開いた。
「よく来てくれた」
「はい」
ノエルは、一歩前に出た。
「お招きいただき、ありがとうございます」
レオンは、立ち上がった。
そして、ゆっくりと階段を降りてくる。
ノエルの前に立った。
「…まず、礼を言わせてくれ」
レオンは、深く頭を下げた。
「え…?」
ノエルは、驚いた。
「ダリウスのことだ」
レオンは、顔を上げた。
「あのような下劣な男を、娘の許嫁にしてしまったこと…」
「父として、恥ずかしい」
レオンの目には、後悔の色が浮かんでいた。
「そして…娘を救ってくれたこと…」
「心から感謝している」
「レオン王…」
ノエルは、首を横に振った。
「いえ、アリシア様を救えて良かったです」
「…そうか」
レオンは、少し微笑んだ。
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## 第四章 婚約破棄の報告
レオンは、玉座に戻った。
そして、厳かに宣言した。
「ダリウスとアリシアの婚約は、正式に破棄した」
「あの男の家は大貴族だったが…」
「娘の幸せには代えられん」
レオンの声は、力強かった。
「ダリウスは現在、投獄されている」
「娘を傷つけようとした罪は重い」
「お父様…」
アリシアの目から、涙が溢れた。
「ありがとうございます…」
「アリシア」
フレイアが、優しく言った。
「あなたは、もう自由よ」
「お母様…」
アリシアは、涙を拭った。
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## 第五章 正室・側室の問題
レオンは、ノエルを見た。
「それで…ノエル殿」
「改めて聞きたい」
レオンの目が、真剣になった。
「娘を…アリシアを、妻に迎えたいと」
「はい」
ノエルは、頷いた。
「アリシア様を、妻に迎えたいです」
「…そうか」
レオンは、少し考えた。
そして――
「だが、一つ問題がある」
「…?」
「ノエル殿は、ナナ殿も妻に迎えるのであろう?」
「はい」
ノエルは、正直に答えた。
「ナナも、アリシア様も、どちらも大切な人です」
「…そうか」
レオンは、厳しい表情になった。
「ならば、聞こう」
「正室は、どちらだ?」
「…!」
三人は、固まった。
「正室…ですか…」
「そうだ」
レオンは、きっぱりと言った。
「アリシアは、ヴァーミリオン王国の第一王女だ」
「王女が、側室になることは許されん」
「…」
ノエルは、黙った。
「お父様…」
アリシアが、口を開こうとした。
だが――
「待て、アリシア」
レオンは、手を上げた。
「これは、ノエル殿が答えるべきことだ」
レオンは、ノエルを見つめた。
「ノエル殿、答えてくれ」
「アリシアを、正室にできるか?」
ノエルは、考えた。
ナナのこと。
アリシアのこと。
二人とも、同じように大切だ。
正室…側室…
そんな区別をつけたくない。
でも――
アリシアは王女だ。
レオン王の気持ちも、わかる。
「…レオン王」
ノエルは、顔を上げた。
「申し訳ございません」
「今、すぐには…答えられません」
「…」
レオンは、黙っていた。
「私にとって、ナナもアリシア様も、同じように大切な人です」
ノエルは、正直に言った。
「どちらが正室で、どちらが側室…そのような区別は、したくありません」
「ですが…アリシア様が王女であること、その重みも理解しています」
「…」
「少し…時間をいただけませんか?」
ノエルは、深く頭を下げた。
「二人と…よく話し合いたいのです」
レオンは、しばらく黙っていた。
そして――
「…わかった」
レオンは、頷いた。
「今夜までに、答えを出してくれ」
「ありがとうございます」
ノエルは、頭を上げた。
「必ず…答えを出します」
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## 第六章 三人の語らい
夕方。
三人は、用意された客室に案内された。
広く、豪華な部屋。
赤を基調とした、美しい調度品。
ナナとアリシアは、ノエルの答えを待っていた。
ノエルは、ベッドに座った。
ナナとアリシアも、その両隣に座る。
しばらく、沈黙が続いた。
「…ごめん、二人とも」
ノエルが、口を開いた。
「さっき、正室の話…すぐに答えられなくて」
「いえ」
ナナが、首を横に振った。
「ノエルさんは、悪くありません」
「そうですわ」
アリシアも、微笑んだ。
「わたくしこそ…お父様があのようなことを…」
「アリシア様…」
三人は、また沈黙した。
ノエルは、考えていた。
*どうすればいいんだ…*
*二人とも、同じように大切なのに…*
そして――
「ねえ、ノエルさん」
ナナが、口を開いた。
「はい」
「わたし…思うんです」
ナナは、ノエルを見た。
「正室とか、側室とか…そういうのは…」
「形だけのものだって」
「…」
「大切なのは…」
ナナは、優しく微笑んだ。
「ノエルさんが、わたしたちをどう思ってくれるか…ですよね?」
「ナナ…」
ノエルは、感動した。
「わたくしも…同じ考えですわ」
アリシアが、言った。
「ノエル様」
アリシアは、ノエルを見た。
「あなたは…わたくしたちに、順番をつけるような方ではありませんわ」
「平等に…愛してくださるはずですわ」
「…!」
ノエルは、二人を見た。
二人とも、優しく微笑んでいた。
「だから…」
アリシアが、ナナに向き直った。
「ナナ」
「はい…?」
「あなたが、正室でいいですわ」
「え…!」
ナナは、驚いた。
「わたくしは、構いませんわ」
アリシアは、きっぱりと言った。
「でも…アリシア様は王女様なのに…」
「それは…形だけのことですわ」
アリシアは、ナナの手を取った。
「わたくしにとって、大切なのは…」
アリシアは、ノエルを見た。
「ノエル様と、ナナと…三人で幸せになることですわ」
「肩書きなど…どうでもよろしいのです」
「アリシア様…」
ナナの目から、涙が溢れた。
「でも…本当にいいんですか…?」
「ええ」
アリシアは、頷いた。
「それに…」
アリシアは、優しく微笑んだ。
「わたくし、あなたのこと…とても尊敬していますのよ」
「え…?」
「あなたは、優しくて、献身的で…」
アリシアは、真剣に言った。
「ノエル様を、心から愛している」
「わたくしも負ける気はありませんが...あなたこそ…正室に相応しいですわ」
「そんな…!」
ナナは、涙を流した。
「わたしなんて…ただの孤児で…」
「何も持ってなくて…」
「ナナ」
アリシアは、ナナの両肩を掴んだ。
「もう、そんなこと言わないでくださいな」
「…?」
「あなたは、もう孤児ではありませんわ」
アリシアは、きっぱりと言った。
「あなたは…わたくしの家族ですわ」
「大切な…かけがえのない家族」
「アリシア様…」
ナナは、声を上げて泣いた。
アリシアは、ナナを抱きしめた。
「これからは…一緒に、ノエル様を支えていきましょうね」
「一緒に…幸せな家庭を作りましょうね」
「…はい」
ナナは、涙を拭いて頷いた。
「一緒に…頑張ります」
ノエルは、二人の姿を見て、胸が熱くなった。
*この二人は…*
*本当に、素晴らしい…*
彼は、二人を抱きしめた。
「ありがとう…二人とも」
三人は、しばらく抱き合っていた。
そして――
「ねえ、ナナ」
アリシアが、ナナを見た。
「はい…?」
「これから…わたくしのこと、『アリシア』と呼んでくださいませんか?」
「え…?」
ナナは、驚いた。
「『アリシア様』ではなく、『アリシア』と」
アリシアは、微笑んだ。
「わたくしたちは、対等ですわ」
「同じ夫を支える…家族ですから」
「…!」
ナナの目から、また涙が溢れた。
「本当に…いいんですか…?」
「ええ」
アリシアは、頷いた。
「むしろ…お願いしますわ、ナナ」
「…はい」
ナナは、涙を拭って微笑んだ。
「これから…よろしくお願いします…アリシア」
「ふふ、こちらこそ」
アリシアも、嬉しそうに微笑んだ。
二人は、手を繋いだ。
「ナナ」
アリシアが、真剣な顔で言った。
「わたくしたち…これから、ずっと一緒ですわ」
「はい」
「喧嘩もするかもしれませんわ」
「…はい」
「でも…」
アリシアは、優しく微笑んだ。
「どんな時も…家族であることを、忘れないでくださいね」
「…はい」
ナナは、涙を浮かべて頷いた。
「アリシア…ありがとう」
「こちらこそ…ありがとう、ナナ」
二人は、抱き合った。
ノエルは、二人の姿を見て、深く感動した。
*この二人となら…きっと、幸せな家族を築ける*
彼は、そう確信した。
「ノエル様」
アリシアが、ノエルを見た。
「お父様に…伝えてきてください」
「ナナが正室で、わたくしが側室だと」
「でも…」
アリシアは、優しく微笑んだ。
「わたくしたちの心の中では…二人とも、対等ですから」
「…ありがとう、アリシア」
ノエルは、アリシアを抱きしめた。
「ナナも…ありがとう」
ノエルは、ナナも抱きしめた。
「いえ」
アリシアは、微笑んだ。
「これが…わたくしたちの答えですわ」
三人は、しばらく抱き合っていた。
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## 第七章 レオン王への報告
その夜。
ノエルは、謁見の間に向かった。
レオン王とフレイア王妃が、待っていた。
「ノエル殿」
レオンが、口を開いた。
「答えは、出たか?」
「はい」
ノエルは、頷いた。
「ナナを、正室にいたします」
「…」
レオンは、黙っていた。
「そして、アリシア様を…側室に」
「…そうか」
レオンは、少し寂しそうに微笑んだ。
「だが、レオン王」
ノエルは、続けた。
「それは、形式上のことです」
「私の心の中では、二人は平等です」
「どちらも、私の大切な妻です」
ノエルは、レオンを真っ直ぐ見た。
「必ず、二人とも幸せにします」
「…」
レオンは、しばらく黙っていた。
そして――
「…わかった」
レオンは、頷いた。
「お前の気持ちは、伝わった」
「だが、アリシアは…それで納得しているのか?」
「はい」
ノエルは、頷いた。
「わたしには決める事ができませんでした」
ですが
「アリシア様ご自身が…そう提案してくださいました」
「ナナと…家族になりたいと」
「…そうか」
レオンは、少し目を潤ませた。
「あの子は…本当に成長したな…」
「レオン…」
フレイアも、涙を浮かべていた。
「ノエル殿」
レオンは、玉座から降りた。
そして、ノエルの前に立った。
「娘を…よろしく頼む」
レオンは、ノエルの肩に手を置いた。
「ナナ殿も…アリシアも…」
「二人とも、幸せにしてやってくれ」
「はい」
ノエルは、深く頭を下げた。
「必ず、幸せにします」
「…信じているぞ」
レオンは、優しく微笑んだ。
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## 第八章 決意
その後。
ノエルは、一人で城の廊下を歩いていた。
*明日は、レオン王との模擬戦だ*
彼は、決意を固めた。
*必ず、認めてもらう*
*アリシアを…そして、ナナを…*
*幸せにするために*
ノエルの目は、真剣だった。
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**第11話「ヴァーミリオン王国へ(前編)」 完**
**次回、第12話「ヴァーミリオン王国へ(後編)」 お楽しみに!**
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## 登場人物(第11話)
- **ノエル・フロストベール**: ヴァーミリオン王国を訪問。レオン王に正直に想いを伝える。
- **ナナ**: アリシアと深い絆を築く。「アリシア」と呼ぶように。
- **アリシア・ヴァーミリオン**: 正室・側室に固執せず、三人の幸せを優先。ナナを家族として対等に扱う。
- **レオン・ヴァーミリオン**: ダリウス事件を謝罪。正室問題を提起するが、最終的に認める。
- **フレイア・ヴァーミリオン**: 優しく見守る王妃。
- **マリア、ジークフリート、セレスティン**: 出発前に応援。
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## 次回予告
レオン王との模擬戦。
炎の王の力は、いかほどか――
そして、アリシアの弟、アレン王子も登場!
第12話「ヴァーミリオン王国へ(後編)」、お楽しみに!




