chapter2 赤ん坊の体
生まれてから一週間が経った。
けど、まだ言葉はまったくわからない。
目もぼんやりしていて、形の輪郭しか見えない。
どうやらベッドじゃなく、布団の上に寝かされているらしい。
至近距離のものだけがかろうじて見えるけど、家の形状まではさっぱりだ。
そういえば、神様が"平民の家に生まれさせてやる"って言ってたっけ。
声がいくつか聞こえる。オレと、母親、父親……それにあと三人。
家族は六人っぽいな。まぁ、見えてないから確証はないけど。
何もしないのも暇なので、手足を動かす練習をしている。
あと、魔法の練習も。
胸のあたりに“何か”があるのは感じる。それが身体を巡っているのもわかる。
ただ、それを外に出す方法がわからない。
水道の蛇口をひねるイメージでやってみるが――成果ゼロだ。
■ ■ ■
転生一ヶ月目
生まれてから一ヶ月。
少しずつ言葉の意味がわかるようになってきた。
けど、食事――つまり授乳の時間が、どうにも慣れない。
赤ん坊だからミルクなのは理解してる。
だが、母親の胸から直で飲むというのは……精神的にきつい。
それでも飲まないと、母さんがひどく不安そうな顔をする。
……わかったよ。そんな顔しないでくれ。
オレが口をつけると、母さんは安心したように微笑んだ。
……哺乳瓶って偉大だったんだな。
仮に作れても、粉ミルクなんてこの世界にないだろうし。
諦めよう。
柔らかい感触をなるべく意識しないようにして、オレはミルクを飲みながら思考を放棄した。
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