chapter14 フィアナの報告
「フィアナ姉さん、そろそろ帰ろうよ」
空が赤く染まっていく中、オレは声をかける。
「んー、あともう少し」
フィアナ姉さんは目をつぶり、体内の魔力を操作しようと頑張っている。
「魔力操作の練習なら、どこでもできるよ?」
オレがそう言うと、
「え? そうなの!?」
フィアナ姉さんは驚いたように聞いてくる。
魔法を放つ練習なら――家ではできないけど、“魔力を操作”するだけだからね。
筋トレみたいなもんだし。
オレはフィアナ姉さんの手を引き、家へと帰ったのだった。
■ ■ ■
家に着くと、母上が夕飯の準備をしていた。
「ただいまー」
オレは日本にいたときの名残で反射的にその言葉を口にした。
「あら、遅かったわね。
いつものように、外で遊んできたの?」
母上が声をかけてきた。
「そうなの!!
フィルがね、魔法を教えてくれてね」
その言葉に視線が集まる。
「フィル――もう魔法が使えるのか!?」
「フィアナたちは、5歳になったときに、教会に行って教えてもらったのにね」
父上と母上が驚いたように言ってきた。
(まぁ、オレが“普通”ではないのは理解してるが…)
オレがそう思っていると、
「どの魔法が使えるの?」
母上が興味本意で聞いてきた。
「ん?」
オレは、左手を上に上げ、火球、水球、風刃、石弾の魔法を発動させた。
それぞれの魔法を“同時”に出す。
どれも大きさは2センチくらいだ。
4つの属性を一度に発動にさせるのはかなり難しいが、ウォータードールを操作する方が高度だ。
「今は、この4つだよ」
そう返すも――母上と父上は驚きの表情に染まり、固まっていた。
(あれ? まずったか?
試してみたかったから、やっただけなんだけどな)
オレは自分自身に感心しながら、口元を歪ませた。
■ ■ ■
「驚いたわ。
本当に魔法が使えるなんて」
母上は目を丸くしながら、そう言った。
父上は口を開いたまま、オレを無言で見つていた。
「ねぇ、フィル。 それ危なくない?」
母上は心配そうに聞いてきた。
「大丈夫だよ。 少しだけだから」
オレはそう返事し、全ての魔法を消した。
(水人形の遊んでいたときの集中力は“異常”に必要だったからなぁ。
水人形を使いながら、別のことをできれば、もっと上のステップに行ける気がする)
オレがそう思ったとき、フィアナ姉さんが声をかけてきた。
「フィル、もっと見せてほしい」
目を輝かせて、そう言ってくる。
「また今度ね、フィアナ姉さんは先に“やること”あるでしょ?」
そう言うと、フィアナ姉さんはさっきのことを思い出したかのように、「あ」と声を出した。
「やることって?」
母上が尋ねてきた。
「体内で魔力を動かす練習だよ」
オレは素直に答える。
「フィアナは魔法って難しいって、いつも言ってたわね。
でも、フィルに教えてもらってるなら安心だわ。
さぁ、ふたりとも、手を洗ってらっしゃい」
母上は笑いながら、そう言うと、オレたちは手洗い場に向かう。
夕日の差し込むダイニングで、家族みんなが集まる。
今日はちょっと特別な一日になった――
魔法を覚えることに熱心なフィアナ姉さんを微笑ましく見守る家族。
オレは小さく胸を張る。
今日の成長を、家族がそっと祝ってくれている気がした。
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