chapter9 魔法が成功した理由
sideフィル
オレはフィア姉さんに見られていることに気づかず、裏庭で魔法の練習をしていた。
……なんで成功しないんだ?
今のところ成功したのは、土魔法・光魔法・空間魔法の三種類だけ。
なにか法則があるはずだ。なにが――なにが違う?
オレは必死に考える。
そして、ふと、あることを思い出した。
「……詠唱か? 詠唱なのか?
魔法の発動条件は“呪文を唱えること”……?
なら──試してみるか」
物は試しだ。
オレは目の前の木に手をかざした。
「風の精よ、その力の一端を我に貸し与え、目の前の樹木を伐採せよ──《ウィンドカッター》!!」
次の瞬間、透明な刃が放たれ、木の幹を斬り裂いた。
刹那の静寂のあと、〖ミシッ〗と不穏な音が響く。
「よし、成功した!!」
成功したことに喜ぶもつかの間――。
木がゆっくりと傾き、倒れ始めた。
「……やべぇっ! 《テレポート》──!」
オレは瞬時に木の下へ転移し、そのまま手を当てる。
「《ストア》!!」
光が溢れ、木はアイテムボックスに吸い込まれて消えた。
直後、地面がわずかに揺れたが、倒れる前に収納できたようだ。
「ふぅ……危ない危ない。倒したままだとバレるところだった。
収納できてよかった。ほんと便利だな、アイテムボックス」
あのまま倒れてたら、音と地鳴りで大騒ぎになってただろう。
「よっしゃ!! 魔法成功!!
やっぱり詠唱か。
土魔法や光魔法、空間魔法が無詠唱で使えたのは“慣れ”だったのかもな。
家族の目を盗んで練習してたかいがあった」
オレは満足げに笑みを浮かべ、次の魔法を試す。
「水の精よ、我に力の一端を貸し与え、その力の一部を顕現せよ──《ウォーターボール》!!」
両手の間に、水の球がふわりと浮かび上がった。
「よし、こっちも成功したな」
なるほど……。
今までは赤ん坊で声が出せなかったから、心の中で詠唱していたのか。
だから、気づけなかったんだな。
オレはようやく見つけた“成功の鍵”に、胸の奥が熱くなるのを感じた。
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