Quiet talk フィアナの観察
※番外編です
※フィアナ視点です
side:フィアナ
「お母さーん、フィル知らない?」
私はもう数時間、フィルを探していた。
まだ三歳の弟は、少し目を離すとすぐどこかに行ってしまう。
「あらあら、フィアナはフィルのことが大好きなのね」
「だって、心配だもん。
お母さんは心配じゃないの?」
「ふふ、もちろん心配よ?
でも、あなたが面倒を見てくれてるから助かってるわ」
「えへへ」
その言葉が嬉しくて、私はつい笑っくてしまう。
──と、そのとき。
「~~~」
……なにか聞こえた?
「お母さん、今なにか言った?」
「言ってないわよ?」
「~~~」
まただ。今度ははっきり聞こえた。
「これは……フィルの声ね。なにをしてるのかしら?」
お母さんがそう言い、私は裏庭の方を思い浮かべた。
「裏庭かも」
「そうね、ありえるわ」
「私、探してくる!」
そう言って私は駆け出した。
■ ■ ■
裏庭に着くと、案の定フィルがいた。
彼は真剣な表情で、ひとり考え込んでいた。
「詠唱か? 詠唱なのか?
……魔法の発動条件は“呪文を唱えること”……?
なら──試してみるか」
私は物陰に隠れ、息を殺して見守る。
魔法。それは生活に欠かせない神秘の力。
けれど私もまだ、一度も成功したことがない。
フィルは木の方へ手を突き出した。
「風の精よ、その力の一端を我に貸し与え、目の前の樹木を伐採せよ──《ウィンドカッター》!!」
その瞬間、透明な刃が現れ、木をスパッと切り倒した。
(なに、あれ……? 透明なのに見える! あれが……魔法!?)
私が呆然とする間に、フィルが焦った声をあげた。
「あ、やべ……テレポート!」
「ストア!」
一瞬、フィルの姿が消え──気づけば、倒れる木のそばに立っていた。
しかも次の瞬間、木が消えた。
(あれも魔法……? どれだけ使えるの?)
「ふぅ、危ない危ない。倒したままだとバレるし。
収納できてよかった。アイテムボックス便利だな」
フィルは戻ってきて、胸を張るように言った。
「よっしゃ! 魔法成功!!
……ってことは、やっぱり詠唱か。
土魔法や光魔法、空間魔法が無詠唱で使えたのは“慣れ”だったのかもな。
家族の目を盗んで練習してたかいがあった!」
そう言って、今度は両手を重ねる。
「水の精よ、我に力の一端を貸し与え、その力の一部を顕現せよ──《ウォーターボール》!!」
瞬間、水の球がフィルの手のひらに浮かび上がった。
(……すごい)
私はただ、息を呑んでその光景を見つめることしかできなかった。
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