表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
閉ざされた唇  作者: 変汁
4/18

私の言葉は、三太の彼女を煽る意味での気持ちと三太と付き合っても良いと言う気持ちが半分半分だった。


けど、と思った。


最近の三太からは、女の影や匂いが全く感じられなかった事だ。


それは恐らく私自身が三太への想いが薄れ、大好きだった頃には感じ取れたものが、感じられ無くなったせいかも知れない。


正直、三太の今カノを前にしてもヤキモチや嫉妬心はなかった。普段通りの私が、そこにいた。


「いや、それは出来ない」


半ば、その場のノリで告白じみた真似をしてみたが、こうもハッキリ断られると意外にショックだった。


もしこれが数年前であれば、きっと私は何日も泣き崩れ悲嘆に暮れていただろう。


けれど何故か指先をまち針でツンと突かれたような痛みが鳩尾辺りで疼いた。


その痛みは三太と彼女が話し合いをしている最中もずっと続いていた。


まるで惚気だ。


それを見せられ続け続けている私は何なんだ?


無償に腹が立った。


私は両手でテーブル叩き席から立ち上がった。


音に驚いた2人は口をあんぐりと開けたまま風子を見上げた。


私はそんな2人に見下すような冷めた目を送った。


三太から彼女へ。そして再び三太へ。


「元と言えば、三太が映画の誘いにほいほいついて来るからでしょ?私が誘った時、彼女がいるから行けないとか、彼女が許してくれるか確認してからでいい?とか、言えたじゃん?」


「ごめん」


「彼女さんの気持ち分かるし、可哀想だよ」


風子はいい、今度は優しく微笑みを浮かべた目で、彼女を見やった。


「こんな可愛い彼女に沢山愛情もらってる事、忘れるなよ」


風子はいい、


「ここは三太の奢りだからね」


私はそう言って1人店から出て行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ