フラグイベント?
最初に魔物に遭遇してから半日後、無事何事もなく大きく整備された道に辿り着いた葉月とミラーラは、ひとまず宿を探すことにした。
王都へ向かう道と言うだけあり、周囲にはまばらだが沢山の人が居た。
「私がこの世界に来たあの場所って所謂田舎な場所なんでしょ?なんでこんな人が沢山居るの?」
「別に田舎だから人が居ないなんて事はないわ。ただ王都から遠いから田舎と言うだけで、実際王都に集まっている人口はそこまでないもの。」
この世界にある街には格差はなく、王都もただ政治や商いを司る機関が集まっているだけで働き口もそんなに多くない。むしろその他の所謂田舎の方が農業や手工業など仕事がある。
「それにしても、やっぱりみんな小さいよね・・・」
「確かに日本人よりみんなの平均身長は低いわ。けれど、此方ではこれが普通なのよ?」
「うん、分かってはいるんだけどなんだか落ち着かないなぁって思ってさ。」
ミラーラの身長よりも30cmは大きい葉月(といっても168cmなのだが)は、周りより頭1つほど高い。すると自然と目立ってしまう。
「あとさ・・・」
「どうしたの?」
「いや、なんでみんなして髪の色が銀だったり金だったりするのかな?」
「さぁ・・・そんな事聞かれてもそういうものだからとしか答えられないわ。」
「まぁそれもそっか。」
そう、葉月は髪を染めているわけでも無いので普通に黒い髪だ。長さもほぼ腰までで、前髪は目より少し上の方でぱっつん切り(本人談)している。つまり、お嬢様なイメージの髪型である。
それにくらべて、この世界の人々は金か銀の髪で大体がショートカットなので、葉月はより一層目立っていた。
しばらく歩くと、一際明るい建物が現れた。どうやら、ここがその宿らしい。『休憩所』という看板が立っていた。
「まぁ取り敢えず今日は日が暮れる前に宿に入りましょう。」
「え、でも私お金無いよ?」
「私を誰だと思ってるの?」
迷う事無くスタスタと宿の入り口に入っていくミラーラに、少し戸惑いながらもついて行く。
すると、既に話を付けたらしいミラーラが、鍵を持って待っていた。
「全く、なんでこんなとこに限って混んでいるのかしら。」
「あれ、宿取れたんでしょ?」
「ええ。但し相部屋に限る。」
「なん…だと!?」
(つまり、そう。これはフラグ!?やべぇ・・・こんなに早く美少女と同衾とは・・・)
「ねぇ、葉月。貴女今キャラ崩壊してるわよ?」
「気にしないで。私は気にしないから。」
「一緒に居る私が気になるのだからやめてって。」
なんだかんだ言いつつもミラーラは楽しそうに笑っていた。
「ねぇ、一緒の部屋ってさ・・・ベッドは?」
「一つね。」
(ktkrww)
「貴女本当に葉月かしら?」
「なにをおっしゃいますかミラーラさん。いくら私が美少女スキーでも、一緒のベッドで寝るなんて最高ですとも!」
「・・・本当に大丈夫かしら?言ってる意味がバラバラすぎるわ。」
呆れ口調のミラーラは、そのまま階段を登って宿の二階に移動する。葉月もガチガチ緊張気味に後に続いた。
宿の中は日本のホテルと大差ない程に綺麗で広く、落ち着いた雰囲気だ。そして、部屋に入ると、やはり普通のビジネスホテルの様な設備が充実していて、葉月は感嘆していた。
「インフラ整ってるっていっても、まさかここまでするとはね。凄い技術ねぇ・・・」
「あら、曲がりなりにも日本の様子を見られる世界よ?この位参考にするのは普通じゃない。もっとも、だからこそ車とかは無いのだけれどね。」
言いつつミラーラは服を脱ぎ始める。その様子を見た瞬間にビクッとして真っ赤になった葉月。
「あのー・・・お姉さま。なんでお召し物を御脱ぎになられてるの?」
「シャワー浴びようかと思って。」
「宿に入った瞬間にもうヤるの!?」
「貴女はさっきから何か勘違いしているわよね・・・汗かいちゃったから汗流すだけよ。」
流石にミラーラも白い眼で葉月を見る。だが、葉月にとってはむしろ最高だ。そして遂にミラーラが服を脱ぎ終わった瞬間に、鼻から愛を垂れ流して倒れた。
「ちょっと、本当に大丈夫?」
しかし葉月は満足げに微笑んだまま、ミラーラを見る。
「ねぇお姉さま。」
「何よ?」
「やっぱり私お姉さまの事好きかも。」
葉月までキャラ崩壊が…