寝取られ?
「初めまして、炎の巫女、ファラと言います。」
「どうも・・・」
あの後、取り敢えずロープを切って助け出してくれたファラと呼ばれた女の子と挨拶をしたわけだが、どうしてかミラーラは少しファラを避けているようだった。
「ところでミラーラ、さっき大丈夫って言ってたのはファラが来ることが分かってたからなの?」
「・・・ええ、そうとも言えるし、違うとも言えるわ。」
「え?」
「兎に角寝ましょう?なんだか疲れたわ・・・」
「うん・・・?」
なにやら不吉な事を言うミラーラを、不思議そうな目で見つめる葉月だった。
-------------
side葉月
もぞもぞと動く感じがする。一体何が起きているのか分からないが、寝る前にも嫌なことがあったばかりだし、嫌な予感しかしない。そう、まるで・・・何か大切なものでも無くしそうなほどの。
「何なのよ全く・・・」
しばらく我慢していたけど、やっぱり無理!気持ち悪いし!
「おねぇさまぁ・・・」
「!?!?」
今変な声聞こえた!・・・ってあれ?・・・ファラ?
・・・そういうことか。
「ふっ・・・私の処女を奪うのは100年早いわ!」
バサッ!と一気に掛け布団をはがす。果たしてそこには、やはりファラがいた。
「・・・」
全裸で。
sideout
ファラは、葉月とミラーラの前で土下座している。
・・・あの後、取り敢えずファラの腹に蹴りを入れて起こした葉月は、ついでにミラーラを普通に起こして"どうするか"を話し合った。その時のミラーラの表情は、やっぱりと言う感じで、怒りつつも苦笑していた。
----------------
ファラは、私が好きだ。それも、病的な程に(勿論二人とも女だが、この国では同性婚は普通だ)。
幼い頃から一国の巫女と成るべく育てられた私達だし、数回巫女としての仕事で会っただけで、すぐに仲良くなったわ。似たような立場同士で気が合ったのでしょうね。
それからは何度も一緒に仕事をし、私としては友情を深めたつもりだったのだけれど、ファラは昔からデートと言っていた。だが、少なくとも私は、悪さをする賊狩りや、魔物討伐はデートとは言わない。
何を間違って私なんか好きになったのやら・・・
----------------
ミラーラの独白を聞いていると、隣のファラは驚いたり泣いたり嬉しがったりと表情をコロコロと変えて、それがボーイッシュな髪とよく似合う・・・いや、髪が似合うのか、と結構どうでも良いことを考えていた。
----------------
次の日の朝に荷物を纏めていると、ファラが毛布でぐるぐる巻きにされた状態にも関わらず、ピョコピョコとバランスを取りながら部屋に入ってきた(昨日の罰は、ミラーラと葉月二人がかりで毛布にぐるぐる巻きにしてロープで縛って廊下に放置というものだった)。
「おっはよー!」
「うん、おはよ。」「あー、おはよー。」
結構みんな軽いものである。
「今日はもうここを出て王都に向かうんでしょ?」
「ええ、そのつもりよ?」
するとファラは、人懐っこい笑みを浮かべて元気に言い放った。
「よっし、ならアタシもついてってあげる!」
「いや、別にいいわ。」
「ひどっ!?」
「だってファラ、ずっと私の寝込みを襲おうとするんだもの。」
「うう・・・昨日間違って葉月のベッドに潜り込まなければ今頃はお姉様は私のものなのに・・・」
「お姉様って・・・」
展開が目まぐるしくてついていけてない葉月だったが、どんどん会話が酷い方へ流れているのは感じた。
「その呼び方やめてよ。ハズカシイでしょ?」
「うう・・・つれてってくれなきゃ次の巫女会議の時もお姉様って呼ぶもん!」
「・・・」
するとミラーラはゆっくりとした動作で自分のカバン(四角い革製)を、スッ…とファラの足の小指に落とした。
「っっっ!?!?」
「いったぁー」
見てるだけで足に痛みが移りそうだ。ファラはぴょんぴょんと跳ねながら「イタイイタイ!」と言っていたが、ミラーラはそれを意に介さず荷物を纏め上げ葉月を向いた。
「取り敢えず、行きましょうか。」
「・・・・・・いいの、これ?」
勿論、これとはファラの事だ。
「いいんじゃない?これでも喜んでるし。」
・・・確かに、ファラは「いたいー!」と言いながらも楽しそうに笑っていた。
「・・・Mだ。真のMだ。」