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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
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第38話〔叔父さんは若者の強さを知る〕再開50日目[夜]

 なんとか無事に一日目を終えた、夜。


 適当な岩の上に座って星空を見上げる。


 きっとこの空の下、何処か違う場所で二人も無事でありますように。と。


 なんて年甲斐もなく耽っていたところに、草木の音を立てて現れたのはハイプリーストのラニさん。


「おや、何故こちらに?」


「ぇ……ぁ、その……星空が綺麗だなーと、思いまして……」


 なるほど。


「――よかったら、一緒に見ますか?」


 勿論強制ではなく任意でね。




  …




 ――勇者大合同、その任に女勇者である姪っ子と参加させられる事となった。


 しかし想像以上の規模、その実態に流されて……簡潔に言えばだ、人の波に攫われた挙句に本来乗るべき馬車には乗れず、偶然居合わせた別の勇者パーティーに事情を話した結果知人のよしみで同行させてもらう事となった訳です。


 そして意外と居心地は悪くない。ただ……。


「お仲間の事を心配されていますか?」


「……そうですね」


「たしか、以前聞いた話だと血縁関係があると……」


「ハイ姪です」


「それは……、――珍しい組み合わせですね」


「かもしれません」


「通常であればリターンと思いますが……、姪御さんは異世界の勇者様ですので……」


「はい、こっちに来てから再会しました」


「……ではご一緒ではなかったのですか?」


「別ルートですね、後から偶然合流しました」


「それはまた奇跡的ですね……」


「かもしれません」


 よく分かってはいないけども。


「しかし勇者パーティーに二人の勇者様が居るというのは稀事です」


 ぁ、そうか。外部からの目ではそう見える事もあるのか……。


「そう評価していただけて大変恐縮ではございますが、私は勇者ではありません」


「ェ……?」


 ふム。――ま、話したところで特に支障はない――だろう。






「……そんな経緯が」


 今となっては奴隷に成り掛けたのも、懐かしい話です。


「しかしそれでは、タケモト様は何故こちらに……?」


「と言いますと」


「本来異世界召喚は勇者となる者を呼び出す様式、勇者となる素質が無い者を呼び寄せる理由、そんな術式でもありませんし……」


 ふム。


「もし、そんなコトを実現できるとすれば、それは文字通り神との直接交渉をする他は」


「まあいいじゃないですか」


「ェ?」


「人間色々です。今に至る経緯も、生き方も、人それぞれにドラマがある」


「……ドラマ?」


「ところで、一つ聞いてもヨロシ?」


「――はい何ですか……?」


「やっぱり冒険とかしてると強敵と出くわした時に“俺に任せて先へ行け”的な事って起こったりします?」


「ぇ。……それは何故」


「その場合、盾役が担う? それとも状況次第で」


「おちっ落ち着いてくださいっ」


 ハイ。――特に興奮はしていなかったつもりだが。


「……ワタシは主にヒーラーとして務めています、ので――そういう状況にならないのが最優先と思っています」


 仰る通りです。


「ですが、……もしそんな状況になったとしたら、ワタシは皆を護る為に率先して適切な判断をします。きっと、他の者も同じで、皆の為に正しいと思う決断をするのではないでしょうか」


 ――お見逸れしました。平に――。


「ぇ? な、ななっ、何故頭を下げますかっ」


 ――その上で、失礼がなければだが。


「もし宜しければ、回復魔法というものを見せてはいただけませんでしょうか?」


 実戦だとゆっくりと見る機会がないのだ。


「ェですが、ヒーラーならタケモト様のパーティーにも……?」


「お気になさらず、ささ」


 丁度小さな擦り傷位なら日中の戦いで。


「ェ、ぇ?」


 ――ホイっとお願いしますね。――ぉお……!








  叔父さんは若者の強さを知る/了

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