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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
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第37話〔叔父さんは若者に混じって何をする?〕再開50日目[午後]

 迷宮の中でも最上位、魔王級と呼ばれるものが世界には幾つか存在する。


 その内の一つが今居る国の保有領域に在り、毎年迷宮から魔物が一斉に進行を開始する時期に合わせて勇者大合同の任が王より通告される。


 その指令は強制的で強力な縛りがあり、余程の理由がなければ拒否は出来ず逃亡をすれば死罪となる。例え勇者でも。


 去年の参加者は総勢二百、内半分は一般の冒険者で残りは勇者パーティーに属する者達。


 ――勇者の称号を持っていたのは十二名。


 当然その内の一人に、私は含まれていた。


「勇者殿、周囲の魔物は一掃できました。どうしますか?」


「次の波に備えて、警戒も継続……」


「分かりましたっ」


 報告に来た冒険者が律儀に一礼し去って行く。


 周辺の状況は知らせに違わず一旦は落ち着いている。


 けれどもまだ、魔物の襲撃は始まったばかりだ。


 風の所為かザワつく木々、空気は尚も緊張して皆の様子も強張っている。


 一言、声を掛けるべきか? イヤ。


 きっとそういうやり方は私には似合わない。


 ただもしこの場に叔父が居たのなら、如何だろう。何気なく考えてみる。と。


 少しだけ気が緩んでしまった。そしてややイラっともする。けれど。


 ――さすがにこの状況で食事をすすめるなんてコトはしないだろう。


 途端に。


「勇者様っ魔物です!」


「……――可能な限りで隊列を維持、戦線に復帰できない負傷者は後方へ、少し独りで時間を稼ぎます」


「了解しましたっ!」


 さて、数も質も特に支障はない。


 この場は一人でも問題なく維持ができる。


 なので心配なのは――、どちらかと言うと……。――どっちも……、だ。



  *



 クシャミが出た。所謂例の噂話だろうかと思うや否や。


「おい汚ねえぞオッサン!」


「ぁ、ゴメンゴメン」


「――ちょっとアキラ、年長者に対する口の利き方を知らないのッ?」


「ハァ? 引っ込んでろ、ババアは」


「引き下がるのはそっちの方でしょー!」


「バーカ勇者が逃げてどうすんだよ!」


 てな感じで一日に何回喧嘩するのだろうかと思いつつの傍目。


 ちなみに自称最強の勇者をいつも相手するのはパーティーで魔法使いを担う、ロザリーさんです。


「――……スミマセン」


 申し訳なさそうに謝るのはいつもハイプリーストのラニさん。


 まだ短い間柄でも、さすがにこの展開に慣れが生じる程、彼女は常にお困りです。


 そして袖丈部分が引かれると、――それはミアさんだ。


「新手……」


「分かりました」


 次いでラニさんに目配せを。


「……ハイ。――二人とも喧嘩は終了ですよ! 敵が来ました……ッ!」


「ああッ? おらっ終わりだとよ、ババア!」


「――先に終わらせてやるわッ」


 ぉぉ……。高密度の熱源が発生した。


「バカっ味方全員殺す気かよ――!」


「だったら魔物の方へ突っ込みなさいっ!」


「クソババアーッ!」


「――ブッ殺」


 さすがは異世界人、喧嘩するにしても派手だ……アディオス、アキラ。


「ワタシ達も続きましょう」


 ――了解。


 クールタイムは既に終わっている。


「ミアは正面の二人が取りこぼしたのを優先的に確保、マ――タケモッ様は、ソレ等を協力し順次撃破でお願いします!」


「……了解」


「タケモも了解」


 それでは若者達に混じり、オジサンまた頑張っちゃいますよ。


「“身体強化(フィジカル・ブースト)”――!」


 身体能力を向上させる言わばドーピング的な魔法の効果が初老の身体に染み渡る。


 あぁ、意外と肩にも効能があるんだよなーコレ。――にしても。


 温泉入りたいわぁー。








  叔父さんは若者に混じって何をする?/了

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