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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
33/42

第31話〔叔父と囮と前髪と〕再開38日目[日中]

「レイナっちって、どうなの?」


 本人は場に居合わせていない、が視界の向こうに姿は見えているので問うてみる。


「正直に言って、微妙かな……」


 顔も発言通りの、そんな顔をしている。


「でも能力値は良いんでしょ?」


「能力値……、まぁヒーラーとしては上級職だけど」


「習得したモノが、やっぱ悪いのか」


「だね。ここでは戦闘で得た経験が数値化されて一定数でスキルや技の習得に使える得点になるから、利用価値に直結する」


「後戻りはできないのか? 振り直しとか」


「難しいかな……」


 しかし否定はしていない。


「じゃあ転職は?」


「……転職?」


「――現在の職業、もしくは所属する」


「そうじゃなくて具体的な案件」


「今の職から別の職に変わるコトで一からやり直せないか、という」


「どうやって変えるの?」


「それは〇ーマ神殿的な所でだな」


「何処それ……」


 ぇ、まさか。


「……無いの?」


「聞いたことない」


 ノット、ハ〇ーワーク。


「逆に聞くが、どうやって……?」


「才能だね、個々の。一部の例外を除けばね」


「ほう、一部の例外とは」


「……勇者とか、ね」


 なるほど。照れなさんな。


 てか、そうなるとだ。


「あっしは何なの?」


「……オジさんは拳闘士だよ、ギルドカードにも載ってるでしょ」


「見たコトないな」


 ――何故そんな驚いた顔をするぅ。


「ェじゃぁ……どうやってスキルとかを、覚えたの……?」


「ギルドの窓口に行って申請してる」


「何で……」


「それは窓口でいろいろと質問もできるし……」


「迷惑じゃん」


 ぇ、そうなの。


「ギルドカードを使えば出来るのに、わざわざ窓口でって……」


「駄目だったのか」


「ダメではないけど……、時間を取られるでしょ」


「――案内は窓口の仕事ではないのか?」


「そぅだけど……、というか窓口でカードの話にはならなかったの?」


「なった。けど、またいつでもお越しくださいと言われるから問題ないのかと……」


「……業務上は断れないからね」


 なんてコッタイ。


「ご安心ください、実を言うと自分も窓口の常連です」


 なぬ。というか何で――。


「――レイナっち、囮は……?」


 てかその手に有る物はもしや。


「いくら呼んでも来てくれなかったので……」


 振り切ったのか、スゲェ。


 そして疑問が。


「……怒ってないの?」


「見捨てられた訳ではなかったので……」


 まあ人に囮を頼んでおいて気付いてあげられない程、話し込んではいたけどね。


「それにほら、自分単独で逃げるのは得意なので」


 これくらいの物なら持っても行けますし。と誇らしげに、依頼品となる卵を片手に胸も張る。とすれば何故かソレをじとっとした様子で見詰める姪っ子の視線は、その胸に。


 言っちゃ悪いので、言葉は発しない。


 発育とは人それぞれにです。


「……勇者様? ハッ、もしや最近また太ったコトにお気づきをっ」


 ェそう――あ、っと。


 姪っ子の肩口ら辺に手を押し当てる。


「ゆ、勇者様……?」


 何が起きたのかは理解せず、されども異様な雰囲気を察し声を掛ける。


「……次の、囮役をお願いします」


 告げて場を離れる姪っ子の背に、首を傾げ見送るレイナっち――の前髪がパツンと揃って風に舞い散る。


「ひィッ?」


 またつまらぬモノを……、フッ。








  叔父と囮と前髪と/了

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