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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
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第26話〔叔父さんはいささかズレている〕再開29日目[お昼時]

「クソっ、完全に囲まれてるわ」


 自称最強の勇者が外の様子を窺った後に告げる。


「……やはり全員が揃ってから始めるべきでした」


 嘆く最強の身内、建物全体に魔物の侵入を拒む結界を張ってくれた方である。


「いまさら何言ったって変わんねぇだろッ」


 それは、そうと思う。


「しかしアナタが言い出した事で……」


「関係ねぇだろ! 俺の責任じゃねぇよッ」


 それもそう。彼が原因で現状こうなった訳ではない。


「あの喧嘩は止めましょうよ、私たち仲間内で」


 二人の間に入るは気遣い上手な彼女、もまた別の勇者である。


 ちなみに仲間とは途中で逸れてしまったらしく心配している感じが見て取れる程。


「仲間ァ? テメェの仲間はどっか行っちまって居ねぇんだろ、もう鞍替えかよッ」


「ち違いますっ! 私はただ争ってる場合ではないと! ――アナタも、そう思いますよねっ?」


「……、――そぅですね」


 ちなみに今返事したのは我が姪っ子。


 姪もまた女勇者である。


「へっ! こんな状況になっても自分は関係ねぇってツラしやがって! て言うか、さっきからそのオッサンは何やってんだよッ?」


 オッサン? ああ、わたくしのコトですね。


 ただ今は手が離せず振り返ることもできないのです。


 ――若者よ、スマヌ。


 しかし気になるのは我が身内も同じだった様で。


「……何してるの?」


 ようやっと、こんな感じかな。


 てな訳で先ずは姪の方へと向き。


「いやァお昼時だろ? 食事の準備をしなきゃと思ってな」


 幸いにも建物は外観を含め全てが石造り。


「ハァッッ? フザケてんのかオッサン! こんな状況で飯なんか食えるかよッッ」


 言いたい事は分かる。


 周りの反応も口にはしていないが大体同じ様な事を思ったのだろう。


「まあ落ち着きなさい。腹が減ってはなんとやら、先ずは戦力を蓄える事が重要だ」


「戦力ッ? こっちにはロクでもないオッサンと足手纏いが居るだけだっつーの!」


 まあ当然ご自分は度外視ですな。


 ――どうとでもいいが。


 現時点で最も重要な事は、だ。


「何方か魔法とやらで火を出せる方は、――居ないだろうか?」


 勇者の御三方はよく分からないが最強さんのお仲間は見た目やこれまでの行動からも僧侶的な役割だと、予想するので。


「……ロザリーなら、彼女が居れば出来たとは思います」


 お気遣いさんの仲間――。


「はっ! 死んだ仲間の事なんて口にすんじゃねぇよ、辛気臭ぇ!」


「な、死んだなんてっ! まだ決まった訳じゃ」


「ふんッ現実見ろよ、この状況で、どうやって逃げたって言えるッ?」


「そんなのは……!」


 ハイハイそこまで。


 若いって、若いねェ。と建物の隙間から見える外の様子を指差す。


「そのロザリーと言うのは、彼女のコトだろうか?」


 刹那一同唖然とする中、真っ先に動き出したのは他でもない同士。


 ――若干オッサンを押し退ける勢いで指し示す視界を確保した、後。


「ロザリーっ、生きて……でも、何で」


「たぶん、これから公開処刑されると思うよ」


 再び皆が呆気に取られる様子。


 だが唯一身近な関係者である彼女だけは他とは違う瞳をして。


「助けます」


 まあ言うと思ってた。


「待ちなされ」


「嫌です、止めないで」


 あらあら自分は先ほど他人の感情を止めようとしたのにね。若い若い。


「本気で助けたいのなら、待ちなさい」


「……どういうコトですか」


「アナタもお腹は空いてるでしょ?」


「まだそんなコトを……!」


 明らかな嫌悪感が口元を絞る様にして(あらわ)になる。


 途端に憤慨な気持ちを勢いに任せて動き出そうとする若者を推し量り、腕を掴んだ。


「放してくださいっ! アナタみたいな人には何も……ッ!」


「――静かに、よく聞いて」


 エっとなる少女の若い憤りが僅かに弱まると同時に始まる予測していた事態。


 建物周辺を囲む物達からの演説という手段を用いた――警告だ。


『廃墟にたてこもる勇者達よ、この者達の命が惜しければ武器を捨てて出てこい。猶予は一時間、一時間が経てば一人ずつコロス』


 ファンタジー、イヤこれこそ集団戦闘の醍醐味――伝統!


 さあ如何するッ勇者達よ! 次回につづく……!








  叔父さんはいささかズレている/了

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