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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
23/42

第21話〔叔父の悩み続・魚介編その⑤〕再開25日目[日中]

 ――翌日、ハロアから馬車で程無くして着く高原での依頼を遂行する。


 仕事の内容は単純で中型の魔物を数体退治するというものなのだが。


 どうにも今日は落ち着かない。


 自分が、というより状況――場の雰囲気が騒がしいのだ。


「来ましたッ来ました! ギャー! 助けてくださいッオジサンさん!」


 サンさんて何だ、可笑しいだろ。


 あと二匹イマは無理。


「ギャー!」


 と叫んでいるのか唱えているのか判別し辛いながらも。


「“ホーリーベールッッ!”イヤァー!」


 そして眩い光が少女の身体を包み、全体を薄い光の膜で覆う。


 ――途端に。


 今の今まで逃げ惑う少女を標的にしていた魔物の様子が変わる。


 まるで忽然と消えた相手を捜し始める様な、それでいて新たな獲物を見付けた様子で。


 ぁ、マズい。


「スミマセンっ!」


 魔物の直ぐ近くで少女が声を上げる。


 しかしその矛先は目前の対象ではなく――。


「うわッ」


 ――まだ二体目を倒しきれてなかった自分の方へと。


 同時はキツイ!


 体勢を立て直すべく、すぐさま今居る場からは退避。


「本当にスミマセーんっ!」


 うわああ。




  …




「ハァ、ハァ……」


 肩で息をする、隣では何故か無意味に走り回っていた気がする少女もが苦しそうに。


 ――その傍らで。


「依頼の数は十分に超えてる、もう終わりにしよぅ」


 汗一つ、なんなら着衣には目立った汚れすらない。


 我が姪よ本当に凄いな。


 声に出して褒めてやりたい、ところだが現状ムリ。


「はあ……!」


 人一倍大きな息を吐く。


「……オジさん、大丈夫?」


「ぅ? ぁぁ、問題ないよ」


 ちょいと年なもので。


「……――本当に、スミマセンでした……」


 おっと、逆にこっちはお若いのだったな。


「気になさるな、勝負は時の運とも言う」


「トキの運……?」


 すると何故か姪が咳払いをし。


「とにかく、アナタの能力は行動を共にしている誰かが犠牲となる可能性が高いので使用するのなら状況を見て使うべき、です」


「ぁ、ハイ……」


 あーあ、ショゲちゃったよ。と目線を送る。


 当然、事実を言ったまで。という反論の表情で返される。


 不満はない。実際そうだ。が。


「貸した分を返していただくまでは雇用します、次回は慎重にお願いします」


 人は誰しも自分なりの優しさがあるものだ。


「ぇ、ぁ、ハイっ。えと、次回と言うのは……?」


「明日別の採取依頼でハロア近くの迷宮に入ります」


「ハロア近くの迷宮……、“死海の祠”ですか……?」


「そうですね、何か問題でも?」


「ィ、イエ!」


 明らかに嫌そうな顔をしているけど、も。


「ガンバリます!」


 やる気があるのは何より。


「それでは今日の仕事は片付いたので、私達は先に馬車で帰ります」


 ん?


「ェ、先に……?」


「アナタはパーティーの一員ではなく私個人の雇用で手伝わせています、先ほどの失敗はその分移動費から差し引きます」


「ぇ、ぇ、ァ」


 なるほど。――そういえば、こういうタイプだったな。

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