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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
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第20話〔叔父の悩み続・魚介編その④〕再開24日目[午後]

 昼食後の一服、その最中に飛び込んできた騒動の流れで保護する事にした一人の少女と思しき人物。


 汚れて傷んでいた衣服等を替え、親身に対応をした結果。


「ありがとうございますッ久しぶりにこんな、普通の食事がッ、ッゴ!」


 食べ物を喉に詰まらせて、死にかけている。


「……ゆっくりと食べて」


「ゴホ! ヒャ、ヒャいッ」


 自分は傍目な感じで茶をズズっと啜る。


 しかし、よく食うな。


 宿で用意が出来る物で直ぐに食せるからとパン主体になったのだが、何個目だ?


 しかも素で。


「……ジャムとかは使わないの?」


 思わず聞いてしまった。


「ンぐ、ツっ使ってもいいんですかッ?」


「イイと思うよ……」


 そもそも注文した物の脇に端から置いてある訳だし。


「ありがとうございますっ!」


「……いえいえ」


 果たして誰の手柄でもない煮詰めた果肉を手に取り、一体いくつのパンがここから消えていくのだろうか。


 などと思いつつ、茶を一口。


 すると隣で同じ様に基本傍観している姪が相手を下手に刺激しない程度の、前かがみな動きを見せる。


「アナタ、名前は?」


「――ェ? ぁ、ンぐぐ……ッ! ――もっもも申し遅れました! ――自分はレイナ、レイナ・ホーリーと言う名ですッ」


 ……レイナ? あれ。


 何処かで聞いたような。


「……アナタ、――カイスの村が出身ですか?」


「ェ、ぁ、ハイ! ――……何故?」


 そうか。――思い出した。


「アナタのお姉さんに、捜索を頼まれたから」


「ェ姉に……?」


 そう、村を出る間際――迷宮での案内を兼ねて護衛を行った村娘から頼まれたのだった。


「もし何処かで妹を見掛けたら早く村に帰って来るよう伝えてほしい、と頼まれました」


 まさかこんなに早く、というか近くに居たとは。


 ――村からここまでは馬車なら数時間で着く距離……。


「……お姉ちゃん」


 ま、言っちゃ悪いが、心配していた理由も状況を見て分かったし――。


「――一度、村に帰ってみては?」


 でないと何れは何処かで野垂れ死にしそうだ。


「それは、できないです……」


 ふむ。


「何故? アナタは罪を犯してまで、何かしたいのですか……?」


 重苦しい空気で食事の手は既に止まっている、中。


「……かしいんです」


 ん。何て?


「何ですか……? 声が」


「ハ、恥ずかしいんですっ」


 恥ずか、――ェ?


「……恥ずかしい? 何が」


「む村っを出る時、姉には大口を叩く様にして出たのでっ、それで……!」


 なるほど。


「それは、事情以前に実力が……」


「わ、……分かってます、と言うか、分かってしまいました……自分には、冒険者としての才能とか覚悟とかが全く足りてなかったんです……」


 若者よ、なんとも“アオハル”だな。


 ――ぶっちゃけ適切な使い方かは知らないが。


「ぇっと、ギルドカードはありますよね?」


「ハイそれは貰いました」


「なら、適性はあると認められた証拠なので能力が未熟な内に適切ではない依頼を受けたなどの失敗と思えば、そこまで……」


「でも、自分は……」


 ふム。――何ぞ歯に物が詰まったような感じだな。


 こういう時は、率直に聞くべし。


「悩みがあるのなら素直に言うべし、うじうじしても良い事は来んよ」


「――ァ、ハイ。えっと……これを、見てください」


 そう言って取り出した、というかは手の平で出現する――。


「……ギルドカード?」


 ――それを相手の空気を察し受け取る姪。


 そして。


「……これって」


 息を呑む程の驚きで、ヒメの瞳孔が見開く。

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