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異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
19/42

第17話〔叔父の悩み続・魚介編その①〕再開24日目[午前中]

 ――RPGの醍醐味とは何たるや。


 この種の話は論争が絶たない。が、そんなコトはどうでもよい。


 先ずは――。


「オジさん? 何処に行くの」


「――武器屋もしくはそれに準ずる店だ」


 初めての村なり街なりに来たら先ずは売ってる物と価格の確認が鉄則だろ。


 それによっては今後の目標値が定まり、伴う結果でレベルも上がる。


 これ冒険の本質よ。


「……前向きなのはいいけど先にギルドで報告とかしないと。冒険者としての基本だよ」


 なるほど。


 自分達には冒険をしている事の前提としての職業なりわいがあるのだった。


「左様だった。スマヌ」


「ぅぅん、べつに良いよ。ほら行こ」


 そう言って先を歩き出す姪っ子の背にほいと返す叔父。


 しかしながら内心、――なんか昨夜から優しい気がする? 主に態度の、その口調が。


 何か自分は失敗したのだろうか、――反って不安を抱く。


 が半面――。


「ほら、早くしないとゆっくり出来ないよ。お店見るんでしょ?」


「――む、直ぐ様」


 やはりこの胸の高鳴りは抑えるに術がないのだ。




  …




 村を出た翌日、事前に確認していた馬車の通過時間に合わせて途中乗車し到着した都。


 そのハロアと呼ばれる大陸随一の行楽地は、訪れる人の数と相まって商売や仕事の依頼も絶え間なく、正に南国のリゾートと言われるに相応しい賑わいで思わず――。


「オジさん? 大丈夫?」


 ――ついつい目移りしてしまう。


「ああ、悪い悪い。――どうなった?」


「ぅん、幾つか依頼を受けた。それを踏まえて滞在期間は一週間程度ってところかな」


「結構短いんだな」


 一か月くらいは居てもいいのだが。


「……生活費的にね。仕事だと必要経費で何とかしてもらえるけど、プライベートになると負担が多いから」


「フム。ちなみに私的だと幾ら?」


 そして浅慮な質問に応じ返ってくる金額は諸々で予想と桁が二つも違うのだった。


「ま、ザッとだけどね」


 応……。


「だから、滞在期間中は仕事をこなしながら暇を見て目的を果たす。これ冒険者稼業のあるあるです」


「なるほどな」


 心にメモし用。


 で、序で――。


「――そうだ。ついでと言ってはなんだが、ライフハック……? あとリターンだったか、以前馬車で出会った相手と話していたろ、アレはどういう意味なんだ?」


「ぁぁ。ぇっと、冒険者が言うライフハックっていうのは仕事で役立つアイデアのコト、リターンは昔冒険者をしていた人とかが若手を育成するのに限定的な範囲で復帰したりするコト、だよ」


「ほう、なるほどな」


 ……だから貫禄か。


「叔父さんくらいの年齢だとたまに見かけるからね、この前はそう思われたんだと思う」


「フむ。で役立つアイデアって言うのは、一言でいうと“今”だな」


「そうだね。冒険者をしていると入り用は物品問わず常だから、その時々に合わせて効率良く無駄無く動く、が心得の一つだね」


「実に現実的だな」


 自分が想い描いていた冒険とは色々異なる。が。


「――リアル志向、これもまた好みの内」


「ぇ?」


「正統派は固い、しかし近年増え続ける派生作品の多くはジャンルの意を介さない物が殆どで寧ろ王道は数が少ない。取り分けターン制やストーリー重視の美麗作品は風格があるものの反って新規ユーザーには近寄り難く逆に自らが築き上げてきた歴史の盤上では窮屈とも言えるクリエイター泣かせの――」


 ぁ、始まった。内心で姪は呟く。


「――とはいえ新しい事への挑戦は常に不安が付き纏う」


「……オジさん、もう行くよ」


「だが失敗を過度に恐れていては歴史が過去と成り、シリーズはついえてしまう」


 行こう。正直謎の人だかりも出来てきた、ので行こう。


「ああナンバリング、外伝、リメイク、リマスター、完全版商法ぉおオーッ!」


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