表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移で勇者になった私は叔父と奇跡的に再開した。  作者: プロト・シン
一章『私は叔父と奇跡的にサイカイした』
17/42

第15話〔叔父の小さな悩み魚介編その⑤〕再開23日目[時刻?]

 


  *



 私が異世界こっちに来て一年以上が経過した。


「――勇者様ッ」


 視界の外で若い女の声が高くひびく。


 それに反応してではなく、最初から察知していた最後の魔物へと瞬時に間合いを詰め斬撃を喰らわす。


 その数は三に対して六撃。


 全てが一瞬で、一蹴の出来事だった。




  …




「――勇者様、こちらです。この先に目的の物が在ります」


 迷宮の外から内部へと流れる水に沿い辿り着いた最奥手前の空間。


 枝分かれするいくつかの水流、その先に在る分かれ道から目的の深部へと続く道が示される。と媛は躊躇することなくその方向へと歩み始める。


「……あの勇者様、ご心配ではないのですか……?」


 敢えて立ち止まらず。


「職業柄、常に覚悟をしてます」


「そうですか……、スゴいと思います。ワタシにはとても……」


 とても――何だ?


 というか今私は平気なのだろうか。


 もし歩みを止めてしまうと、一度でも振り返ってしまったら――私は。


「あの、せめてサインを残しませんか?」


「――……サイン?」


「まだ生死の決まった訳でもありませんし、ご自身で合流をしようとこちらに向かっているかもしれません。なのでサインを」


 ――なるほど。


「ただご存知と思いますが、ゴブリン等の魔物は露骨なものだと逆に悟られてしまうと聞きましたので何か、仲間内で分かるモノが理想的かと」


 仲間内……? 要するに、叔父さんと自分だけが分かる――。


「――それなら」


 きっと、分かる。……かな?



  *



 まあ不注意と言えば不注意なのだが。


 果たして自分が悪いのか? ――うん、たぶん悪い。


 用心なく水辺に近付いたし姪っ子の攻撃範囲に巻き込まれて踏み外したのも言わば短慮軽率の結果だろうから。


 ――しかしながら。


 何だかんだで戻って来れたのはエラいと思わない?


 ただ――。


「……はてさて」


 ――どうしたものか。


 水の流れからして、出口はあっちの方だと思うのだが。


 如何せん選択肢が有る。


 出口方向へと進むか、それとも後を追うつもりで先に行くか。


 まあどの道どれを選んだところで保証は無いのだが。


 当てずっぽうは苦手だし自信もない。


 何より事は既に終わっていて追いかける意味も無かったりしたら、それで――。


「ん?」


 ――……これは。


 いくつか在る選択肢の一つ、その傍らの岩肌に刃物か何かで削り描かれたソレ


 カタカナのコを背中合わせに並べて口角を広げた様な――。


「よし、こっちだな」


 ――とはいえ行く事が正解なのかは分からない。


 ただ少なくとも、この先には今後の為にも渡らなければイケない危ない世間ハシが姪っ子の雄姿と共に待っている。


 保護者として、イヤ叔父としても――見て見ぬふりをする訳にはいくまい。


 だがしかしだ。


「……クールタイムが終わってから、にしよう」


 オジさんはなるべく、危ない所は叩いてから渡りたいのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ