第0話〔叔父さんは時々ズレている〕再開28日目[昼間]
記号等で区切るなどし主観を変えたりもしています。
※作者は文章力が拙いので。予め、ご了承ください。m(_ _)m ヒラニ
この作品はフィクションです。
実在の人物や団体など、現実的体制や根拠仕様とは一切の関係がありません。
ご理解の上、ご覧ください。
これは異世界転移で勇者になった私と、叔父さんの、お話です。
※
「見ろ姪っ子よ、ヤシの実みたいな物が落ちているな」
普段とは少し違う道を選んだ結果、大きな湖のそばを通ることとなった迷宮への行きしなに突然叔父が足を止めて述べる。
「うん、内容もほぼ同じ物だよ。あと時々姪っ子って言い方するのは何故?」
「なにヒメはそんなコトも分かるのか、凄いな」
「鑑定スキルがあるからね。けど急に何で?」
「さっき喉が渇いたって言ってただろ」
ああそういうコトか、と姪は理解する。
「ほぼ同じ物って言うのは中身も飲めるってコトだな」
「うん、飲めるよ。ただ」
「よし待ってろ」
「ぁ、オジ――」
――行ってしまった。
それでは仕方がないとばかりに、岩井媛こと女勇者は自身のパーティに属する唯一のメンバーである仲間の後を追うこととした。
やや街道を離れ湖の近くまで来た叔父はヤシの実、正確にはウノの実を片手に持った状態で顎先を摘まむ独自の仕草で悩んでいる様子だった。
「どうしたの? オジさん」
「ううむ、どうやって割ろうかなと、な」
そういうコトかと姪は小刻みに頷く。
「私の剣の柄で叩けばいいんじゃない?」
言って自らの腰に下げている物を貸そうとする姪を叔父の手の平が制止する。
「いや、それだと上手く割れず中にグズグズが入って口当たりが良くないだろ……。別の方法を考えよう」
「なら斬れば?」
「斬る場所を間違えると中身がこぼれるだろ」
「それは、少しくらい……」
「食べ物を粗末にしてはイケません」
「……できるだけ、上の方を斬るよ」
「失敗して牛乳キャップみたいにならない?」
「ぎゅうにゅうキャップ……?」
何それと言わんばかりに姪が首を傾げる、のを見て時代のギャップを感じる叔父は――。
「――まぁいいか。よし、やってみよう。この辺に、置けばいい?」
「ぁ、うん。ぇ……横?」
「ん? だって楕円形だから縦だと持ってないとイケないし、無理だろ?」
「ぁぁ……ま、そっか」
「それか手を離した隙に切る? パッババッパって」
「んー、それはさすがに無理かも……」
万が一失敗した時の事を考え、遣り切れないなと思う姪っ子だった。
「なら、極力上の方を頼むよ」
「分かった」
そう言って自身の主武器たる剣の柄を右の手で握る少女は、次の瞬間――居合斬りの如く鞘に納めた状態の刃を素早く水平に振るう。
結果、手応えは悪くなかった。が。
「惜しい薄皮が残ったな」
しかしその薄い膜越しに液体特有の音と揺らぎ、が確かに感じ取れる。
「上出来だな、――凄いぞ」
続けて述べる叔父の手が、姪の頭頂を撫でる。
その何気ないであろう行為は振り抜いた剣を持ったままの十代女子が気恥ずかしくなるに十分な内容で――。
「――コ、コドモ扱い、しないで……」
「ん、――なんか言ったか?」
「な、なんでもない……」
「そうか。して、ストローなんて持ってないよな?」
「それは無い」
「そうか……藁でもあれば代わりに使えるんだけどな、この辺には無さそうだしなぁ」
藁? そうなの? と内心では思う姪。
「まあいいか。最後は料理に使ういつものナイフで飲めるようにするから、その辺にでも座って待っててちょ」
「ぁ、うん……」
言われた通りに、ほぼ動く事無く適当な場席を見付けて腰を下ろす。
しかしその心中は――。
水筒の水を飲めば早いのに。
――時々ズレた方向性へと走る叔父に、言いたくなる気持ちを収める胸中であった。
叔父さんは時々ズレている/了
作中の話は基本短いオムニバス的な内容となっております。
投稿を安定させる為、マイペースに公開をしております。
※執筆が遅いです。平常時、月2程度のペースです。
――但し人気や意欲のある時には、より頑張っていると思います。