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翡翠の魂装者  作者: TAKA
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第二話『お家事情と幼馴染』

 目覚めるそこは病室のベットの上だった。辺りを見渡すがどこの病院か分かる情報はない。蒼哉はその後体の調子を確認した、まともに受けたのは一発だけだったがその一発でかなり重症だと考えていたが外傷ももなくどこも痛む様子はなかった。

「あらまぁ!柏根さん起きられたのね、すぐに親御さんに連絡しなきゃ。」

偶然通りがかかった看護師が蒼哉が目覚めていることに気付き保護者の連絡をしに急ぐ。蒼哉は辺りを見回し自分の荷物がないか探すとベッドのすぐ隣にあるテーブルにあの日の持って行った鞄があった。スマホホを見るとあの日から3日経過も経過していたことが分かる。

(おいおい、俺3日も寝てたのかよ。あの子達は!無事なのかあいつら以外に追手がいたら。)

蒼哉が少女達の安否を心配していると鞄の中に手紙が入っていることに気付いた。中身を見るとにはこのように書かれていた。

 『お兄さん、先日は助けていただきありがとうございました。お兄さんはあの後力を使い果たして倒れてしまいました。お兄さんが倒れた後名前は言えないのですが国が運営しているという組織の方達が現れてその人達が私達を保護してくれました。最初は警戒していたのですが、お兄さんのことを能力で治療したり、壊れた駅の修復をしていることから信用できると思ってついていくことを決めました。お兄さんも安心してください。本当にありがとうございました。空目愛鳥(そらめまお)

手紙には笑顔の二人の写真が写っている。写真を見て蒼哉は安堵した、写真を見る限り脅されているそぶりもない、何より2人の笑顔があまりに自然であったことから安心できる組織に保護されたのだろうと判断した。どこにいるか分からない以上はこの手紙を信じるしかないというのも蒼哉の中にはあった。

 蒼哉は自分が起こした騒動がどのように広がっているかスマホで検索するが何も出てこない。Xを見ても特に名古屋駅で何かあったという投稿は見つからない。

(あんなに暴れ回ったのに全く記事になってないどころかつぶやきすらない、よっぽど異能力について一般人バレをさけてるってことか。)

しばらくボーっとしていると病室に和服の女性が入ってくる。

「蒼哉、大丈夫なの!」

「母さん、そんな慌てなくてもいいだろ。」

「息子が事故にあって慌てない親なんていないでしょうが!」

「事故?俺事故にあったってことになってるのか。」

「なってるのかって他人事みたいな言い方して、お母さん蒼哉が事故にあったて聞いた瞬間気絶しそうになったのよ!」

「ごめんごめんでもそんな傷追ってなかったから大丈夫でしょ。」

「てか道場のほうは大丈夫なのかよ、母さん居ないと親父が滅茶苦茶厳しいって門下生みんな絶望してるぞ。」

「大丈夫よ、あの人今日は茜ちゃんの付き添いで大会のほう言ってるから。道場は師範代の子たちに任せてるわ。」

蒼哉の家は道場を経営している。ボクシングにレスリング、空手や柔道合気道挙句の果てにはムエタイ、コマンドサンボとありとあらゆる格闘技を教えている。蒼哉の両親は父は空手の全日本選手大会を優勝争いを45歳でありながら未だに続けている天才、母は現在は選手としては活躍はしていないが合気道、柔道の達人である。天才2人からの指導を指導を受けたい人間は少なくなく道場は田舎にあるのにもかかわらず多くの門下生を抱えている。

「いいのかようちの看板が″3人″がいなくて。」

「うちは私達がいなくても優秀な子達がたくさんいるから大丈夫よ。」

「俺はもう大丈夫だから戻ってやれよ。」

「素直じゃないんだから、じゃあもう戻るけどお父さんと茜ちゃんも大会終わったら向かうって言ってたわよ。」

「まじかよ、親父来るのかよ。」

「そんな言い方しないの!お父さんだって心配してるんだから、じゃあまた明日ね。」

そう言うと蒼哉の母は病室を後にした。蒼哉はやることがなくボーっとテレビを見ていると蒼哉が戦った大男ぐらいの身長の男が入ってくる。

「蒼哉、やっと起きたのか遅かったな。」

「いや俺車に轢かれたんですけど、普通生きていたことを褒めるべきじゃないんですかね親父殿?」

「俺と母さんの息子なら車ぐらい壊すか受け流すくらいしてもらわなきゃ困る。」

「いやあんた息子を化け物か何かかと思ってます?無理に決まってるでしょうが!」

「ふっ、まだまだ鍛え方が足りん。お前も道場に来い、そうすれば強くなれるぞ。」

「いいよ俺は親父達みたいな才能がないの、分かってるでしょ。」

「そうか、無理強いはしないが、別に俺や母さんの事を気にする必要なんか  

「俺は格闘技には興味ないんだよ!良いから早く道場に戻れよ。」

蒼哉は父の言葉を遮り激昂する。蒼哉は幼い頃天才二人から生まれたホープとして期待されていた。蒼哉も当時はその期待に応えようとしていた。しかし現実は甘くはなかった。どの格闘技でも蒼哉は結果を残せなかった。その結果蒼哉は格闘技の世界から離れていった。あの戦いの時の動きは幼い頃に学んだ技術であった。

「悪かったな…。退院の日が分かったら連絡してくれ。」

 そう言って父は病室から出ていった。その後すぐ入れ違いの形でサイドテールの少女が病室に入ってきた。

「お兄、また厳牙(げんが)おじさんと喧嘩したの?」

「別に関係ないだろ、お前には。」

「関係あるよ、だって大切な家族なんだもん。」

「いや家族ってお前は居候だろうが、茜。」

「ずっと一緒に暮らしてきて居候はひどくないかな!?」

「いや酷くはないな、それで″紅緋の死神様″の今日の結果はどうだったんですか?」

「その呼び方やめてよ!死神なんて怖い呼ばれ方してこっちも迷惑してるんだから。」

先程から蒼哉と会話している少女は轟茜(とどろきあかね)、蒼哉の家の門下生であり幼馴染である。蒼哉の2つ下で現在18歳、彼女は幼い頃から蒼哉の近所に住んでおりよく遊んでいた。ある時厳牙に才能があると言われ道場に招かれた。そこからの彼女はすごかった。まるでスポンジの如くどんどん技術を吸収していった。現在彼女は空道の選手であり全国大会優勝者、今年は連覇の掛かっている重要な年なのである。ちなみに彼女の両親は現在父の単身赴任に母がついていくということで蒼哉の家に居候している状態である。

「それで大会の結果は?」

「もちろん優勝。得意の上段蹴りで一発よ!」

彼女が紅緋の死神と言われる所以はその上段蹴りにあった。素早いフットワークで死角に回りそこから放たれる上段蹴りそれはまるで命を刈り取る死神の大鎌のごとき一撃、そこから彼女は紅緋の死神と呼ばれるようになった。

「そういえば聞いたぞフルコン※で反則負けしたって。」※フルコンタクト空手

「いやーあれはつい柔道と間違えて一本背負いをしてしまいまして…。」

「それ面白すぎるだろ。もう笑いをこらえるのが、こらえるのが。」

我慢ができなくなったのか蒼哉は大声で笑いだす。

「お兄!そんな笑わなくてもいいじゃん!」

「すまんすまん、でも我慢できなくて。」

「もー別にいいけどさ、お兄いつ退院なんだっけ?」

「後2,3日で退院できるってさ、そんな重傷でもなかったし。」

「じゃあさ退院したらあたしのお疲れ様会とお兄の退院会しよ!未空さんも滅茶苦茶張り切るって言ってたよ。」

「分かったよ楽しみにしてるわ。」

茜はそう言って笑顔で病室を後にした。その後蒼哉はうるさくしすぎと看護師にこっぴどく怒られた。



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