表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翡翠の魂装者  作者: TAKA
3/10

第一話『Fラン大学生と少女-③』

 「あいつと同じ力が使えるようになると言ったら信じますか。」

その一言を聞いて蒼哉は驚くかと思われたが意外にも彼は冷静だった。

「あれ、驚かないんですか?」

「いや、驚いてるんだけどそれ以上に自分も異能力を使える興奮が勝ってて冷静になってる。」

男にとって異能力とはロマンである。そのロマンが現実になると聞いてテンションの上がらない男はいない。

「そうですか、その感じなら能力を使えるようにしていいんですよね?」

「それに関しては全然オッケーよ。それから確認なんだけど君達が狙われているのはその異能力が原因ってことでいいんだよね?」

蒼哉が質問すると少女は少しの間沈黙をするがすぐに話し始める。

「弟には能力はまだ使えません、私が使えるんですけどその能力を狙われた結果両親を殺されました。それで2人でここまで逃げてきたんです。」

「そ、そうなんだ。」

(やばい、聞いちゃいけなかったわ。確かに保護者がいないのはおかしいと思ったが殺されていたとは、つらいはずなのにこの子はすごいな。たった一人で弟を守ろうとした、警察にも駆け込めない状況で。すごいな本当にこの子は俺よりもよっぽどヒーローみたいだな。)

少女の今までの苦労に対して蒼哉は尊敬の念を抱かざるを得なかった。

 「それで力の目覚めさせ方なんですけど。」

「おっおう俺はどうしたらいい。」

「服脱いでください。」

「え?」

「別に変な意味はないです、力を伝えるには素肌のほうがいいってだけです!」

「ごめんごめん、ちょっとびっくりしただけだから。」

そう言って蒼哉が上着を脱ぐと後ろを向くように言われる。後ろを向くと少女が背中に両手を重ねる。

「今から力を流しますから集中して感じてください。」

「分かったそれってどんな感じなの?」

「とにかく感じてください!きっと分かりますから。」

蒼哉が目を閉じ背中に意識を集中させるが何も感じない。

(どうしよ、何も感じない。俺ってまさか才能ないのか?)

蒼哉が自分に失望してあきらめそうになったその時、蒼哉の背中から体全体を温かい何かが駆け巡るのを感じる。

「何か体があったかくなってきた。」

「それがどう流れているかを意識してください。」

流された力は背中から心臓に、心臓から体全体に、流れるのを感じる。

「ありがとう。もう大丈夫、大体わかった。」

「はぁはぁ…そうですか、良かっ た。」

少女は力を使い果たしたのか倒れそうになる。それを蒼哉は支えそのまま抱きかかえる。

 「ごめんなさい、私あまり力の総量が少ないみたいで…。」

「全然大丈夫だよ、もうゆっくりしてて大丈夫。」

「分かりました、後はお願いします…。」

少女は気絶したように眠りに落ちてしまった。眠った彼女を安全な場所に下ろすと特撮によくある変身ポーズをとる。しかし何も起こらない。蒼哉はそそくさとポーズをやめる。

(まずは心臓から力を生み出す、そして全身へと巡らせる。)

生み出したエネルギーが全身を包む。続けて全身を包んでいた力を腕に集中、足へと移動、捜査の練習を行う。

「あんまり時間もないしこれで行くしかないな。」

一通りの練習を終え男のもとへと向かう。蒼哉が男のもとに到着した時そこに広がっていたのは機動隊の山であった。少女が蒼哉を少し離れた運ぼうとしたとき男は2人を追撃しよとしたがタイミング良く機動隊が到着、そのおかげで力を使えるようになるまでの時間が稼がれていたことを蒼哉は知った。

「小僧、今までどこに行っていた?」

「あ?ちょっとトイレ休憩だよ、小便が限界でね。このままじゃお前ぶっ飛ばせそうになかったから。」

蒼哉は冗談を挟みながら男に挑発を行う。

「よく聞こえなかっな、もう一度行ってくれないか?」

「耳元で叫んでやろーか?お前をぶっ飛ばすつってんだよ。」

蒼哉が言い返した途端男は大笑いをし始める。それは今まで一方的に蹂躙してきた羽虫が急に生意気にもぶっ飛ばすと言い出した、それ程滑稽なことはないだろう。

「やってみろ、一発サービスだ。」

男は構えを解き両手を上げる。蒼哉の攻撃など防御する必要などないと言わんばかりの態度に思わず蒼哉はニヤリとしてしまう。

「それじゃあお言葉に甘えましていかせていただきますかぁ。」

蒼哉はゆっくりと男に向かって駆け出す。その速度は徐々に上がっていくかと思われたがその速度は男の予想を大きく上回る。

(この速度はなんだ!?常人に出せる速度じゃない!)

「まずは一発、あの子たちの両親の分だ。」

急いで防御をしようとするがそれよりも早く蒼哉が拳を放つ。その一撃は綺麗に男のみぞおちを捉える。拳が当たった瞬間男は後方に飛ばされ柱に激突する。

「サービスありがとよ、チップはこれからどんどんくれてやるよ。」

蒼哉はそう言って不敵に笑った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ