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25話 200地点のお仕事どころじゃない その2

「さて、クヴェル。元々の依頼をやっている場合じゃないんだよね?」


 クヴェルは私を見るといつもより落ち着いた声で話す。


「ああ、レオ達には200地点、つまりここまで全域のオーバーライセンスのモンスターを殲滅してほしい。他のメンツにも依頼しているが広域過ぎるからな」


「無茶を言うなぁ」


「だが、できるだろう?そちらの青髪の君なら」


「買いかぶり過ぎだ。俺は戦えない」


 表情を変えないクヴェル。


「索敵、判断は君の右に出るものはいないだろう?」


 ユウナは反論しない。そらそうだ。でもクヴェルはどうしてそれに気づいたのだろうか。余程の観察眼が無ければユウナの本当の力に気づくことはない。拠点長という冠は伊達じゃないということか。


「・・・」


「納得いかないか?俺はレオを認めている。彼女が絶大な信頼を君においているのは見てれば分かる。それだけでも十分だ」


 クヴェルと同行したことは無い。接触があるなら去年の600地点で行われた調査の時か・・・


「分かった。でも700を超えるようなのが出てきたら俺等でも対応出来ないぞ」


「十分だよ。その時は急ぎ知らせてくれ。勢力を集めるまでだ」


 頷くユウナ。


「レオ、蓮夏いいか?下がれと言ったら即離脱だ」


「おーけ」


「はい」


 蓮夏の顔が不安に染まる。


「だいじょーぶ。私とユウナだ、危険はないよ」


「はい、大丈夫です」


「なら決まりだ。頼んだよ。ユウナ、君の意思を尊重してやれるほど悠長なことを言ってられなくてな。すまないが助けてくれ」


「ああ、分かってる」


「クヴェル、ちなみにこちらの戦力はどのくらい集めてるの?」


「薪七のところはリデルで待機、リデルの12師団へは声をかけてるが、まだどれだけ集められるかが分からない。今分かってるのはラウルのところがコチラに向かってくれている」


 薪七はリデルのトップレイダーでリデル最大の調査団を率いる団長だ。彼女がリデルを守るのであればまず安全だろう。


 12師団は各都市で所属する調査団のトップ12団。ランクは調査団としてのライセンスで決まる。薪七のところがその中のトップということだ。次点がラウルの調査団。その次がエヌという男の団。


 12師団の中でも彼ら三つの調査団が特別にライセンスが高い。他の9つも上級者だが今の最高到達地点への侵攻は無理だろう。800地点を超えることができる人間なんて四都市あわせても100人も居ない。


「君等とラウル達でまずは対応してほしい。ということで、まずは彼らと合流してほしいのだが良いかな?」


「ああ、構わない」


 ユウナもこの状況を放っておけないのだろう。普段なら絶対に嫌がるのだから。まあ、別に何も私達が強いことを隠したくて隠している訳ではないのだけど。


「ユウナが良いなら、私はいいよ。蓮夏もいいかな?」


「あの、はい。私は良いんですが、足手まといじゃないでしょうか?」


 彼女も12師団の名前くらい知っているだろう。そんな人といきなり会って共闘しろと言われれば不安にもなるだろう。


「大丈夫、むしろ戦力になるよ蓮夏なら」


 悔しいが私の言葉よりもユウナの言葉の方が安心するだろう。何より、私も安心だった。私が蓮夏を引き連れて、結果巻き込んだ形となったのだ。本当にそれが良かったのかと不安が無いわけでは無い。


「はいっ!死ぬ気で働きます!」


 ニコリと笑う蓮夏。


「よし、じゃあ頼んだよ。もうすぐラウルらもここに来るだろう。贅沢な場所ではないが、それまで自由にくつろいでくれ。食事も食堂で取ってくれて構わない、もちろん無料にするさ」


 お、ここのご飯はなかなか旨い。なんたって人類の最奥拠点だから、ここに滞在するレイダーも多い。そういう喜びが無ければレイダーの心も疲れてしまうというものだ。その分割高なのだけど、無料なら食べたいものをタラフク食べてやろう。


「レオさん、ニヤニヤしてどうしたんですか?」


 おっと、まずいまずい。顔に出ていた。


「ああ、いや。ラウルに久々に会えるからな」


「仲良しなんですか?」


「おい、そんな親しくないだろ。ラウルなんて殆ど雲の上の存在じゃねえか」


 ユウナは本当に面倒くさい。これだからデリカシーの無い男は。


「ん?そうなんですか?」


「どうせタダで飯が食えるのを想像してたとかだろ」


 ニヤニヤと笑うユウナ。いつものユウナだ。


「だ、な、違う。違うぞ、濃厚トロトロ地鶏卵プリンが沢山食べれるなんて思ってないぞっ」


 蓮夏のポカンとした顔が徐々にニヤケていく。クソ。本当にクソだ。


「でも私も食べてみたいので、一緒に行きましょう、レオさんっ!私みたいな庶民には本当にタダで食べれるなんて夢のような話なので!」


 蓮夏に手を引かれながら、私の足は抵抗することもなく食堂へと続く通路を進んで行く。

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