1話 未来
目の前は赤く、赤く
真紅に染まる。
あぁ、俺が泣いてるのか。そうだな、こんなクソどうしようもない世界なんて。俺のこの手で、消してやればいいんだ。
なあ
宵月
分かってくれるだろ?
レオ
さあ、始めよう。俺がこの世界を調整してやる。
ゆっくりと瞼を閉じる。体の指先から体の中心へと神経が研ぎ澄まされていく。すべてを感じ取れるような。そして脳へとたどり着く。
熱い。物理的に体が熱量を持つのが分かる。
目を開いた。
すべての視界の情報が一瞬で脳へと焼き付く。時が止まるような錯覚。目が、痛い。
視界に映るのは、ヒト。敵だ。この間違った世界の元凶・・・イヤ、犠牲者なのか。まぁそんな事はどちらでもいい。悪も、正義も、無いんだこの世界には。だから、終わらせよう。
足元に力を入れると、筋肉が増量する。と、一瞬で膨らんだ足が引きしまり筋肉の隆起がはっきりと浮かぶ。はち切れそうになる筋組織がギチギチと音をたてると、青白い電気をまとった。そして、蹴る。
激しく地面は砕かれて、俺の体を稲妻のように射出する。
★
ユウナ。
それでいい。私は、君の味方だ。例え、君が悪になろうとも。憎まれる存在になってしまおうとも。君の信じた世界なら。
そして、君が迷うようなら、いくらでも私が叱ってあげるから。
生きな。ユウナ。
痛む首を冷たい地面からあげる。微かに見えるのは、今までに見たことのない電撃を帯びた彼だった。滲む、そして揺れる世界に焦点が合わない。
終わらせよう。この世界を。私達を苦しめた、この世界を。
視界が、消えていく。
いつも
大切におもっているよ
ユウナ
宵月
今度の世界では
幸せになろう