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〜Runner〜  作者: 黒茶
19/20

男子4×100メートル走リレー

 今井と光が春と佳代と合流した。


 「和美先輩、お疲れ様です!」


 春と佳代が同時に今井に挨拶する。


 「2人ともお疲れ様。ナイスランだったよ!」


 「ありがとうございます!」


 「和美先輩もナイスランでした!」


 「春先輩、佳代先輩、お疲れ様でした!2人ともナイスランでした!」


 「光もお疲れ様。ナイスランだったよ!」


 「うん、お疲れ様。光もナイスラン。」


 互いに挨拶をし、女子4×100メートル走リレーの全組が終わりタイム集計が出るのを待っていた。

 とにかく全力を尽くした。あとは文字通り結果を待つだけだ。


 そして結果が発表された。都立高倉高校女子4×100メートル走リレーはタイム順10着だった。

 これが現実だ。女子4×100メートル走リレーは都大会出場を逃した。


 (足りなかったか。悔しいなぁ、やっぱり。)

 天を見上げながら3年の今井は気持ちの整理ができずにいた。それは1、2年の3人も同じだった。スタンドに一礼しながらも、今の気持ちはまだ付きまとっていた。



 「女子の4×100メートルは都大会逃したか。やっぱり簡単じゃないな。」


 拍手しながら健吾が言う。


 「うん、良いレースできてたと思ったけど。4人ともよく走れたと思うと残念だね。」


 愛衣も同様拍手しながら言う。


 「そうだね、レース前から難しいレースになるのは分かってたけど、実際結果となって出るとなんていうか、少し辛いや。」


 拍手しながら美桜は、今日ここまでスタンドで応援していて都大会進出を逃した種目はこれが初だ。自分が出ない、出れない種目でもやっぱり心に来るものがある。


 「4人には今は時間が必要かもね。結果を受け止めなきゃいけないから。」


 「そうだよな。勝ち残れなかった時はやっぱりどうしても色々考えちゃうもんな。」


しばらく沈黙が続いてから


 「次は男子の100メートルリレーだね。友たち調子いいからこれも期待だよね。」


 愛衣が次のレースの話を始める。


 「そうだね。3人とも100メートルで都大会出場決めてるし、3年の野村先輩も強いもんね。」


 「男子の100メートルリレーは目標南関東だっけ?そう考えるとここはしっかり突破しないとだよな。」




 男子4×100メートルリレーに出場する4人は今日の調子を話し合っていた。バトンパスが短くなったり長くなったりしすぎないように、互いの調子を確認する。


 「3人とも今日のレース見てる限り調子は良さそうだな。あとは俺か。最近は調子悪くないから大丈夫だと思うけど。」


 野村先輩が話す。


 「タイムレースだから一発勝負だし、少し安全にいくか?バトンミスったら目も当てられないもんな。」


甲斐部長が言う。


 「俺は異論ないです。バトンは少し安全にですね。」


 翔が答える。


 「自分もです。このメンバーなら少し余裕あると思いますし。」


 過信ではなく自信。友はこの面子ならそこまで大変なレースにはならないだろうと思っていた。事実3人が都大会進出を決めているのだ。


 「それじゃあバトンパスの確認しようか。」


 甲斐部長が言いバトンパスの確認を再開する。友は甲斐部長からバトンをもらうだけで、渡しはしないがもらう時にミスがあっては一気に敗退だ。

 とにかく正確に且つスピードに乗った状態でバトンを受けれればいいのだ。バトンパスが上手ければタイムを縮めることができるし、バトンミスが起きればタイムどころではないなんてこともあり得る。


 単純な1×4ではなくプラスαを生み出せるのがバトンパスだ。目標である南関東大会進出を近づけるには避けては通れない技術だ。

 バトンを持つ位置、バトンの渡し方、スタートのタイミングなど多くのことが絡み合ってバトンパスの出来となる。

 

 今回のレースでは少し安全にバトンの受け渡しをすることになったが、これまで練習してきたことが身体に染み付いているので思い切っていける。



 バトンの確認をしていたら男子4×100メートル走リレーの時間が迫っていた。


 「よし!それじゃあバトンランしっかりやって勝とうか!」


 部長の甲斐が声をかける。


 「OK!バトンラン、しっかりいこうぜ!」


 野村先輩が続く。


 「はい!バトンラン、決めます!」


 名波と翔が同時に言う。


 円陣を組み、部長の甲斐が言う。


 「都立高倉高校、ナイスバトンラン!」


 「ナイスバトンラン!!」


 都立高倉高校陸上部のリレーでは「ナイスバトンラン」が掛け声になっている。1人では走れない、4人揃ってのレースだからこその掛け声だ。


 都立高倉高校は1組目だ。4人が別れてそれぞれのスタート位置に向かう。第1走者が3年の野村、第2走者が翔、第3走者が部長の甲斐、そして第4走者のアンカーが名波だ。

 それぞれがスタートの合図まで準備をする。1走の野村はスタートを、2、3、4走の3人はバトンを貰うためのスタート位置を確認する。


 いよいよ男子4×100メートル走リレーが始まる。


 「オン・ユア・マークス」


 第1走者の野村はスターティングブロックに足をセットし、スタート位置に手を置く。もちろん左手にはバトンが握られている。


 「セット」


 各1走がスタート態勢をとる。そして号砲と共に一斉にスタート。

 野村のスタートは悪くない。前に繋ぐ3人には勝てずに個人男子100メートル走に出場出来なかったが、その分リレーに賭ける思いは強い。


 良い走りをして第2走者へと近づいていく。翔とのバトンパスになる。

 スピードに乗ってバトンを受ける為に翔がスタートを切る。野村が加速し始めた翔にバトンを渡す。

 少し安全にバトンを受ける為、バトンパスがやや詰まったがそこまで問題ではないだろう。


 「行けー!翔!」


 野村が声を飛ばす。


 バトンを受けた翔は全力でバックストレートを走っていく。次の第3走者の甲斐に近づいていく。ここですでに他校とは距離が開いていた。

 部長の甲斐は翔からのバトンをもらう為スタートを切る。スムーズな受け渡しになった。

 甲斐が加速していきトップスピードに入っていく。アンカーの名波の元へ。


 名波は甲斐からバトンを良い形でもらう為にスタートを切る。少し安全にスタートしたが比較的良いバトンパスになった。


 「友!ラストー!」


 後ろから甲斐部長の声を受け、加速していく名波。他校とはかなり差がついていた。それでも最後まで全力で走り切る。そしてそのままフィニッシュ。1位でのゴールになった。


 先頭でゴールした名波は第3走者の甲斐と合流して両手でハイタッチ。


 「ナイスバトンラン!友!」


 「ナイスバトンランです!甲斐部長」


 同じ頃、野村と翔も同様に


 「ナイスバトンラン!翔!」


 「ナイスバトンランです!野村先輩。すいません、少し詰まっちゃいました。」


 「あれぐらい大丈夫だよ。よくやった!」


 男子4×100メートル走リレー1組目は都立高倉高校の1着で終了した。


 電光掲示板に着順、タイムが出るのを2人で待つ。


男子4×100メートル走リレー1組目


1 都立高倉高校 42.08


 着順1位でタイムも上々だろう。そろそろ2組目がスタートに入る。名波と甲斐は野村と翔に合流しに向かった。


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