女子100メートル走決勝と男子400メートル走決勝
「今日はもう残りの種目は短距離だけだな。みんな勝ち上がれるといいんだけど。」
健吾が残りの種目を確認しながら言う。
「中距離勢だけじゃなく男子100メートル勢がかなり良い結果だったし、きっと続いてくれるよ。」
美桜の言うことももっともだ。同じチームメートが結果を出すと自分もと思ってしまう。
「うん!大丈夫だよ、きっと!私たちは応援するのみだ!」
愛衣は自分のレースも好成績で終えて、応援の力を分かっている感じだ。事実出場しない種目には応援をするのみなのだ。
「まずは女子100メートル走決勝の今井先輩だな。準決勝の出来はどうだった?」
健吾が美桜に尋ねる。
「かなり良い感じに見えたよ。決勝でも同じくらい走れれば次も見えて来るんじゃないかな。」
「そりゃ楽しみだ。都大会の出場枠取れると良いな。」
「本当だよね。3年生になるまで頑張ってきた練習の成果、出して欲しいよね。だからこそ私たちは応援頑張っていこ!」
愛衣は本当に周りへの気遣いや配慮も忘れず、それでいて暖かい。副部長もこなしながら本当に頭が下がる。
まもなく女子100メートル走決勝がはじまろうとしていた。
3年生の今井は準備、調整をしながらレースが始まるのを待っていた。
(準決勝は悪くなかったし、今日の私は多分調子がいい。それに男子100メートルの3人が都大会に揃って出るんだ。私も負けてられない。)
今井の精神状態はかなり良いと言えるだろう。こうという時は良いレースができることが多い。
女子100メートル走決勝が始まる。準決勝を勝ち上がった8名がスタート位置に移動する。
「オン・ユア・マークス」
スターティングブロックに足をセットし、スタートラインに手を置く。
「セット」
スタートの号砲が鳴りスタートを切る。今井は最高のスタートを切れた。
(よし、スタートはかなりいい。加速局面をしっかりしせえすれば!)
その加速局面を今井はしっかりと走れてトップスピードに入る。トップスピードを維持して減速局面に。順位は5〜7番手辺りだ。
そしてゴール。女子100メートル走決勝が終わった。
(うん、良い走りが出来た。良いレースだった。もし都大会に出場できなくても悔いはない。)
今井はそう思いながら、電光掲示板に着順が出るのを待っていた。
女子100メートル走決勝
6 今井 和美 都立高倉高校 12.98
6位だ。今井の女子100メートル走での都大会出場が決まった。
「おぉ!今井先輩6位に入ったぞ!都大会出場だな。」
スタンドで応援してた健吾を皮切りに
「やったね!和美先輩凄い凄い!」
愛衣も続く。
「うん!女子100メートル走からも都大会進出だよ!凄いよ!」
美桜も興奮気味だ。
「短距離勢も本当に凄いよ!今日一日スタンドで見てて本当にそう思う!」
美桜は支部大会1日目の今日は出場しないため、スタンドで応援に専念していた。多くの学校から出場枠を勝ち取った選手が出て来る大会で勝ち残るのがどれだけ大変で凄いか再認識したのだ。
「男女共に100メートル走で都大会出場だもんな。無我夢中だったからあまり考えなかったけど、冷静になってみると本当に凄いよな。」
「うん!みんな凄いよ!良い流れが出来てると思うし。次は男子400メートル走決勝だっけ?」
「えーと、うん。男子400メートル走決勝だな。橋本先輩が出場だっけ?」
「うん、橋本先輩が決勝に残ってる。1年の2人はあとちょっとで惜しかったけど、橋本先輩は余裕がある感じあったよ。」
「なら楽しみだな。橋本先輩も都大会出場してほしいな。」
「大丈夫だよ!きっと橋本先輩も勝てる!信じて応援しよう!」
3人が会話していると、いよいよ男子400メートル走決勝が始まりそうだ。
そろそろ始まる男子400メートル走決勝に向けて準備、調整をしている橋本は冷静だった。
(準決勝の出来を忘れずに。男女100メートルも1500メートルも3年生がしっかり結果を残している。自分も続いてやる!その為にも自分のレースだ。)
やはり同学年のチームメート、特に3年生は良い刺激を与え合っている。1年の頃からで長い付き合いだ。同級生に負けまいと練習に励んできたのだ。
男子400メートル決勝が始まる。選手がそれぞれ自身のレーンにつく。橋本は2レーンへ。
「オン・ユア・マークス」
スターティングブロックに足をセットし、スタート位置に手を。
「セット」
号砲一発一斉スタート。橋本はカーブから始まる。速度を徐々に上げていきカーブを曲がり切る。バックストレートでもスピードに乗ったまま走る。
バックストレートが終わりカーブに入り残り200メートルになる。ここからどれだけ粘れるか。
(悪くない。カーブが終わってからどれだけ粘れるかだ。)
橋本は悪くないレース展開をしていた。そしてカーブが終わりホームストレートに入る。
前を走る選手は3名。1人抜かせれば3着に入れる。しかし前の選手もしっかりと粘る。橋本も同様粘る。膠着状態のまま進み、ゴールへ。
走り終えた橋本は腰に手をつき上がった息を落ち着かせようとする。そうしたまま電光掲示板に結果が出るのを待っていた。
4 橋本 大輝 都立高倉高校 50.32
橋本は4位に入り都大会への出場が決まった。
(良かった。都大会に出場できる、他の皆んなと。)
男子400メートル走決勝が終わった。




