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〜Runner〜  作者: 黒茶
16/20

男子100メートル走決勝

 出場する3人はそれぞれ入念に準備している。都大会出場がかかっている決勝で、その枠を争い合う。部内からの出場枠争いとはまるで違う。


 名波は正直こうなる予感がしていた。自分はもちろん負ける気はなかったし、甲斐部長は昨年新人戦から関東大会まで進んだ実力者。更には大きく成長した翔。

 日々同じ部活で練習をしていて、どれくらいのタイムで走れるかも、最近の調子もよく知っている。だからこうなるんじゃないかと思っていたのだ。


 勿論勝負の相手は2人だけではない。他に出場する5名も準決勝を勝ち抜いてきた選手たちだ。気なんか抜けない。しっかりと自分のレースをしなければ。



 スタンドでは健吾と美桜と合流した愛衣が話をしていた。



 「おめでとう、愛衣!やったね!」


 「本当おめでとう!お疲れ様。」


美桜と健吾の祝福に愛衣はピースしながら応える。


 「ありがとう、2人とも!やったよ〜。都大会出場だよ〜。」


 「余力はまだある感じ?」


 「うん、もう少しあげれると思う。」


 「なら都大会も期待だな、愛衣。」


 「私も今から楽しみだよ、都大会!どんなレースになるのかなって。」



 3人でしばらく話していたら、健吾が言う。


 「そろそろ男子100メートル走決勝だな。友たちどうだろうな。」


 「友は平気でしょ。甲斐部長も勝てそうだし、翔がどうかってところじゃない?」


 「その翔もかなり調子良いんでしょ?3人揃って都大会出場して欲しいなぁ。」


 「友も甲斐部長も関東大会経験者だもんなぁ。勿論油断も慢心もないだろうし。翔は成長具合がすごいからな。2人にもそう簡単に負けないぐらい強くなったみたいだし。」


 「うん。本当に凄いよね。関東大会までいくんだもの。翔は決勝初体験だから緊張とかしてるのかな。」


 「あぁ、翔はそういうのないよ。あってもいい緊張感だ。」


 「いいなぁ、それ。レース前はどうしても考え込んじゃったりするし。羨ましいよ。」


 「私もだよ〜。どうしても考え込んじゃう。」



 「へっくしょん!」

 翔がくしゃみをする。


 (花粉症かなぁ。)

 そんなことを思いながら、準備、調整を続ける。

 (いよいよ来たぞ!決勝だ!早く走りたい!)

 健吾の言う通り緊張感など、どこ吹く風だ。レースをしたい、勝ち残りたいという気持ちで一杯の翔は、初めての決勝とは思えないぐらい良い精神状態だ。


 (きっと友も甲斐部長も都大会に進出する。俺が勝てれば3人揃って都大会だ!)

 俄然やる気が増してきた。見るからに燃えている。翔の周りだけ気温が高くなるくらいに。


 部長の甲斐は落ち着きながらも気合い十分だった。

 (野村と一緒に100メートルで都大会には出れないものの、野村の分も自分が勝ち上がっていこう。)


 準備、調整をしながら1年の時から一緒に練習してきた野村を思う。不甲斐ないレースは見せられない。しっかりと結果を残すんだ。

 頼りになる2年にも負けたくないと言う気持ちもあった。3年の意地。2人とも強いだけに2人に勝つのも密かな目標だった。2人だけじゃなく、決勝で優勝して都大会へ。その為にも2人には負けられない。


 (そろそろかな。ベストを尽くすことだけを考えていこう!)


 男子100メートル走決勝はすぐそこまで近付いていた。



 男子100メートル走決勝出場選手の紹介があり、いよいよレースが始まる。


 「オン・ユア・マークス」


 走者8名がスターティングブロックに足をかけ、手をスタート位置へ置く。

 友の好きな時間だ。この緊張感と高揚感がたまらない。


 「セット」


 走者一同スタート態勢を取る。そして、

号砲一斉にスタート。3人とも良いスタートになった。加速局面からトップスピードに乗るタイミングをできるだけ60〜70メートルへ。

 そしてトップスピードへと入っていく。トップスピードをできるだけ維持して減速局面に。レースも残りわずかになってしまった。11秒前後で終わってしまう短いレースが。

 そしてそのままフィニッシュへ。


 男子100メートル走決勝が終わった。



 「お疲れ様、翔。良いレースできた?」


 「お疲れ、友。レース自体は良かったよ。でも甲斐部長も友も本当早いな。勝てなかったよ。」


 「俺も良いレースできたからな。そんな簡単には勝たせないよ。」


 翔と話しながら電光掲示板に名前やタイムが乗るのを待つ。


 3人が、いや、走った8人だけじゃなく会場中が電光掲示板に注目する。



 男子100メートル走決勝


2 名波 友 都立高倉高校 10.90


3 甲斐 亮介 都立高倉高校 10.94


5 足立 翔 都立高倉高校 11.05



 3人とも着順6位以内に入った。都大会へと進出だ。


 「お疲れ様でした。やりましたね!甲斐部長、友!」


 「お疲れ様!2人ともナイスレース!都大会進出だな!」


 「お疲れ様でした。3人揃って都大会出場枠取れて本当に良かったです!」


 「あぁ、また3人で都大会勝ち抜いて行こうな!」


 「はい!今から楽しみで仕方ないです!」


 「自分もです。都大会勝ち上がってまた3人でレースしたいです!もちろんその先も!」


 今は都大会進出を喜んでるが、名波の目標は都大会を勝ち上がり、南関東大会出場、更には全国大会に駒を進め表彰台に立つことだ。

 目標の3歩目と4歩目が達成できた。次は都大会での5歩目、6歩目、7歩目だ。


 3人揃ってスタンドに一礼をする。友は健吾と愛衣と美桜に拳を向ける。


 男子100メートル走決勝が終わり、3人は男子4×100メートルリレーへと切り替えていくのであった

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