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〜Runner〜  作者: 黒茶
14/20

男子1500メートル走決勝

 入念に準備をしながら、その時を待つ。健吾にとっては今日最後のレースだ。予選は悪くなかった。この決勝では更にタイムを縮めるつもりだ。

 出場者16名のうち上位6名に入れれば支部大会突破で、都大会進出だ。そして更にその先に。


 レースプランは予選と同じでいくつもりだ。ただペースが少し早いだけ。勝ち残った8名からしたらそのペースも慣れたものかもしれないが、普段の練習で1番良い形をとりたい。


 レース展開を想像しながら、その想像通りのレースにならなかったとしても慌てないで走ること。いつも通りだ。

 いざレースになると健吾は冷静そのものになる。焦りも慌てもしない。自分のレースをする事だけに集中する。


 レースには3年の山村先輩も出場する。どういうレースプランでくるかわからないが、山村先輩も決勝で上位に入り、都大会へと思っているだろう。チームメートでありライバル。一歩も引く気はない。



 いよいよ男子1500メートル走決勝が始まる。


 出場する選手たちがスタート位置につく。山村先輩は外へ、健吾は真ん中あたりに構えた。


 「オン・ユア・マークス」

 号砲一発、16名がスタートをした。まずはポジション取りだ。山村先輩も健吾も中団にポジションを取った。まだまだスタートしたばかりだから集団のままレースが進んでいく。最初の200メートルを終えてもほとんど変わりなし。直線に入って少し前に出ようとする選手が出てきた。


 残り3周。まだまだ差は大きくは開かない。このままのペースでレースが展開されていく。山村先輩も健吾も落ち着いてレースについて行っている。

 残り2周半になったところで仕掛ける選手が更に出てきた。ストレートで外から抜きにかかる。

 山村先輩も健吾も2レーンを走っているので、そこまで外に出にくいわけではない。まだ仕掛けないという判断なのだろう。

 

 残り2周。ここからレースが動く。前に出てラスト1周をいい位置で向かえたい。上げ始める選手、まだ様子見の選手に分かれる。

 健吾は前者だ。スパートをかけると言うよりかペースアップを始める。山村先輩は後者。まだ様子見している辺りラスト1周でスパートをかけるのだろうか。

 健吾は自分の思い描いていたレース展開ができていた。カーブを終えバックストレートに入る。あくまでペースアップ。スパートはまだ先だ。


 トップから4番目辺りに位置している健吾は順調そのものだった。ここからどこまで着いていくか。

 山村先輩はトップから10番目辺りについていた。スパート次第では充分上位を狙える位置だ。山村先輩も自分のレースプラン通り走れているかもしれない。

 残り1周半。かなり縦長になり始めた。

だが、上位集団、中団、後方集団といった形た。

 カーブを抜けホームストレートへ。皆ラスト1周まで力を蓄えているようにすら見える。

大きな順位の変動もなく走っていく。


 ラスト1周の鐘が鳴る。あくまでペースアップに努める健吾。飛び出す他の選手たち。

山村先輩もスパートに入った。

 カーブを曲がり終えバックストレートでスパートをかけてる選手たちが前へ前と進んでいく。健吾はまだ4番目辺り。山村先輩は上げてきて、6番目辺りになっていた。

 残り200メートル。健吾がペースアップを図る。前との距離を詰めていく。山村先輩もスパートを続けている。


 「いけー!健吾ー!山村先輩!」

 スタンドから美桜の声が飛ぶ。レースも最終盤だ。


 カーブを曲がり切りラストのストレート100メートル。健吾がスパートをかけ始める。負けじと山村先輩もスパートをかける。

 そしてゴールへ。走り終わって腰に手をつく健吾。倒れ込む山村先輩。


 (悪くないレースが出来たな。良かった。)

 健吾はレースを振り返っていた。まだ余力ありといったところか。


 山村先輩のところへ行く健吾。


 「お疲れ様です。山村先輩。」


 「お疲れ、健吾。やっぱ健吾早いなぁ。」


 「ありがとうございます。あとは結果待ちですね。」


 「あぁ、多分6着以内だったと思うけど、必死過ぎて正確に覚えてないや。」

 疲れマックスといった感じで山村先輩が答える。



男子1500メートル走決勝


2 葉山 健吾 都立高倉高校 4.03.16


5 山村 克久 都立高倉高校 4.07.52



 2人とも6着以内に入った。都大会進出だ。


 健吾は余力を残しつつレースを終えれて一安心している。山村先輩はいっぱいいっぱいだが、都大会出場を勝ち取り内心相当喜んでいるだろう。

 2人揃ってスタンドのチームメートに一礼をする。


男子1500メートル走決勝が幕を閉じた。


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