女子100メートル走準決勝と男子400メートル走準決勝
「さて、男子100メートル走準決勝も見れたし、俺は決勝に備えにいくよ。」
「うん、頑張って!健吾!」
「任せとけ!決勝突破して都大会への切符勝ち取ってきてやる!」
頼もしいなぁと思いながら、健吾を見送る美桜。自分もあんな風に自信満々になれたらと思う。
男子100メートル走準決勝が終わってすぐ、女子100メートル走準決勝が始まった。
予選を突破した3年の今井先輩と2年の春が出場する。1組目に今井先輩、2組目には春が。
男子100メートル走準決勝と同じで上位2位+タイム上位2人が決勝進出。こちらもここで8名に絞られるシビアなレースだ。
早速1組目の今井先輩の登場だ。
「オン・ユア・マークス。セット。」
号砲と共にスタート。今井先輩はかなり良いスタートが切れた。加速局面が短くならないように、そしてトップスピードに入っていく。減速局面に入りゴールへ。
決勝進出の条件の2位以内に入れたか肉眼では微妙だったが、かなり良いレースができたんじゃないだろうか。
程なくして結果が電光掲示板に。
2 今井 和美 都立高倉高校 13.02
着順2位での決勝進出だ。もし決勝でも同様の走りができれば都大会も見えてくる。
すぐに2組目が始まる。春の登場だ。
「オン・ユア・マークス。セット」
スタートの号砲と同時にスタート。スタートは悪くない。しかしここからだ。上位に入る選手はぐんぐん伸びて来る。そのままトップスピードに入るのだから力の差は否めない。
春も全力疾走しているが、差が広がっていく。差を縮めることができずにゴール。
上位進出者はやはり強い。タイムで言えば12秒台〜13.00付近を出して来る。
8 新里 春 都立高倉高校 13.72
準決勝敗退。春からしたら厳しいレースだったろう。結果が出た以上あとは春が自分のレースをどう捉えたかだ。
この先100メートルを続けて勝ちにいくなら実力をつけ、タイムを縮めなければならない。0.1秒早くするのも簡単ではない100メートル。
高校生は何がきっかけでブレイクスルーするかわからないだけに、過去のレースや今の状態が重要になる。
春にとって財産になるレースになってくれれば良いのだが。
こうして女子100メートル走準決勝は明暗分かれた形で終えた。
次に行われるのが男子400メートル準決勝だ。予選は3年の橋本先輩も1年の剛と樹、3人全員が突破した。
しかし準決勝はシビアだ。上位2名+タイム上位2名が決勝に。タイム的には50.00前後のタイムが必要になって来る。
橋本先輩でも突破できるかどうか。1年の2人にとってはそれ以上に難しいレースになるだろう。それでもやはり期待して応援したい。
いよいよ男子400メートル準決勝が始まる。1組目に樹、2組目に橋本先輩、3組目に剛が出場する。
まずは1組目だ。
「オン・ユア・マークス。セット。」
スタートの合図で各者一斉にスタート。樹は冷静にレースをしているようだ。そこまで焦って前には出ない。
400メートルは基本先行逃げ切りなのだが、その思いが強すぎると飛ばしすぎて後半かなり失速してしまう。
ペース配分の話を剛とよくしていただけあって何か考えがあるのだろう。200メートル地点を過ぎても失速しない。
周りに惑わされずレースを展開できる1年と考えると凄いの一言だ。それでも決勝進出をするにはスピードが足りないかもしれない。
最後のホームストレートでスパートをかけることができれば、と思ったが400メートルでそれは酷だろう。
そのままのペースでゴール。順位での決勝進出は叶わないだろうが、タイムはどうだろう。
5 上村 樹 都立高倉高校 51.52
どうだろう。少し厳しいだろうか。それでも良いレースだった。PBも更新した。
これからの樹に期待が持てるレースだったと思う。もちろん樹が自身をどこまで追い込むかだが。
2組目が始まる。橋本先輩が出場する組だ。
「オン・ユア・マークス。セット。」
スタートの合図と共に各者一斉にスタート。前半から積極的に走っているようだ。ストレートに入り大体の出来がわかりやすくなる。やはり前半から積極的にいっている。
残り半分のカーブに差し掛かる。この辺りで減速しなければいけるかもしれない。
橋本先輩が粘る。カーブも終え最後のストレート。前を走るのは1人だけ。このままゴール出来れば着順2位だ。勿論先頭に立てればベストだが、少々厳しいか。
他の選手に抜かれることなくゴール。2位でフィニッシュだ。橋本先輩は決勝進出を勝ち取った。
2 橋本 大輝 都立高倉高校 50.42
惜しくも50秒台は切れなかったが、着順2位で準決勝突破。もしまだ余力があるなら、50秒台を切り都大会進出が現実のものになるかもしれない。
そして最後に3組目の剛だ。橋本先輩に続くことができるか。
「オン・ユア・マークス。セット」
スタートの合図で一斉にスタート。剛は前半から積極的に行っているように見える。やはりこの準決勝を突破するにはスピードが重要だ。勿論持久力もだが。
200メートルが過ぎカーブに入る。大きな減速もなく走れている。最後のストレートに入り現在4位の剛。なんとか前にいる3人のうち2人を抜かしたいが、減速してこない。
剛も大きく失速しなかったが、前3人も大きく失速せずそのままゴールへ。こうなるとタイムが決勝進出できるかどうかの鍵になる。
しばらくして電光掲示板にタイムと名前が載る。
4 会田 剛 都立高倉高校 51.60
タイム的には決勝進出は厳しいかもしれないが、自身のPBに近いタイムを出せた。良いレースだったんじゃないだろうか。
樹に負けず劣らず自分のレースができたのだとしたら、これからの伸びに期待大だ。
タイム集計が終わり、決勝進出者が発表された。残念ながら剛と樹は準決勝敗退に終わってしまった。
だが立派な走りをできたのではないか。得るものは大きいと思う。そして橋本先輩が準決勝を突破して、決勝に駒を進めた。
(橋本先輩は流石だなぁ。1年生2人はまだ少し足りなかったみたいだけど。でも本当に決勝に残るって本当に大変なことなんだな。1年の2人も今回はここで負けちゃったけど、自分のレースが出来てたみたいだし凄いや。)
自身が1年の時にこんな風に力を出し切れたかを思うと、かなり難しかっただろうなと思う美桜。
今日は自分は出番はないけど、明日には女子800メートル走がある。自分の種目を想像しながら他の種目を見てモチベーションを上げていく。
(愛衣も友も健吾も決勝まで進出している。自分もそれに続くんだ!)
チームメートを応援しながら強く思う美桜。
女子100メートル走準決勝と男子400メートル走準決勝が幕を閉じた。




