男子400メートル走と休憩
そろそろ男子400メートル走予選が始まる。名波はこの種目を見たら自身の準備に入るつもりだ。3年の橋本先輩に、1年の会田剛(以降「剛」)、上村 樹(以降「樹」)の3人が出場予定だ。同じ短距離ということもあり、名波からしたらかなり注目してる種目と面子だ。
何故ならこの内1年の2人とは男子200メートルの出場枠をかけて競ったからだ。2人とも中学から200メートル・400メートル型でやってきたらしく、400メートルだけでなく200メートルも実績があるのだ。
200メートルでは100メートル勢が出場枠を勝ち取ったが、1年生ながらなかなかのタイムで走れるのだ。練習も一緒にこなすこともあり楽しみな1年2人だ。
400メートルはトラックを一周する競技で、もっともキツイ競技とも言われる。人が無酸素運動をするのは40秒程が限界と言われており、その限界を超えて走らなければならないのだ。短距離に属するからもちろんスピードを落とさずに、だ。
名波も練習の一環で400メートルを走ることがあるが、正直かなりキツイ。速度を出しながら持久力も求められるので当然ではある。
単純に200メートルの倍と考えていると痛い目に遭うのだ。ペース配分が重要なので、そこを間違えてしまうとタイムがガクンと落ちる。
1年2人は互いに切磋琢磨しながら強くなっていけそうな雰囲気があるのがいい。来年と言わず、半年後にはかなり力をつけているのではないかと名波は思っている。3年生もいるこの大会でどこまでいけるか楽しみだ。
「さて、剛と樹はどうかな。」
「実際一緒に練習してて調子はどうなんだ?」
健吾が聞いてくる。
「良い感じだと思うよ。橋本先輩にも負けないくらい良い時もあったし。」
「へぇ、そりゃ凄いな。いい線いくかもな、スーパールーキーズ。」
「でも本当に凄いよね。1年で3年生と勝負できるって。中学から凄かったみたいだけど、全国レベルに近いものないとキツくない?」
美桜の疑問ももっともだ。
「あの2人中学の部活引退してからもずっと練習続けてたんだってさ。そしたら伸びたって。」
「なるほど、それにしても相当伸びたのか?
橋本先輩って都大会狙えるって聞いたけど、その人にも負けないぐらいってかなりじゃないか?」
「みたいだな。なんかペース配分の話とかよく2人でしてるらしいよ。何より貪欲だし。」
「400メートルオタクか。それだけたくさん考えて練習してたら伸びも凄いか。」
「私ももっとペース配分とか駆け引きとか学ばないとかなぁ。ポジション取りとかは考えてるんだけど。」
「その辺は健吾や愛衣と色々話せるし、参考にもなるんじゃないか?種目同じだもんな。」
「そうだね、それはそうなんだけどまだ私はこれ!って形が見つからないって言うか。」
「わかるよそれ。俺も中学の時そんな時期あったから。それがなんとなく見つかってから1500強くなったの覚えてる。」
「やっぱ考えて数こなした?」
「どこで失速すると負けるのかってところから考え始めたっけな。もちろん数もこなしたし。」
「うーん、なるほど。」
話していたら男子400メートル走予選が始まる頃になっていた。
最初は3組目に登場する樹だ。この男子400メートル走予選も着順ではなくタイムで準決勝進出が決まる。流す余裕があるならかなり期待できるが、果たして。
「オン・ユア・マーク。セット」
スタートの合図と共にレースが始まった。たった一周なのにどうしようもなく持久力を必要とするレース。
樹はかなり順調に見える。そこまで飛ばしてるようにも見えないのにしっかりついて行っている。最後のストレート。1番きついとこで粘れるか。
樹は2位でゴール。走り終えた後は相当辛そうだ。電光掲示板にタイムと名前が出るのを待つ。
男子400メートル走予選3組目
2 上村 樹 都立高倉高校 53.24
予選は超えれるタイムじゃないだろうか。1年生なのに堂々としている。
「準決勝いけそう?」
美桜が聞いてくる。
「多分いけるタイムだと思うよ。」
「やるなぁ、スーパールーキーズ。」
次に登場するのは6組目の3年の橋本先輩だ。名波は一度自身の休憩中に橋本先輩のタイムを測ったが、手動計測ながら50秒の壁を破ったのを見ている。
他の部員にも聞いたが何度か手動で50秒の壁を破っているらしい。ベストパフォーマンスを出せれば都大会も夢じゃない。
そろそろスタートだ。
「オン・ユア・マーク。セット」
スタートはかなり慎重に入ってるように見える。ストレート、カーブ、ストレートと綺麗な走りに見えた。走り終わった後もそこまでしんどくないようだ。
電光掲示板にタイムと名前が映る。
男子400メートル走予選6組目
2 橋本 大輝 都立高倉高校 52.55
恐らく予選は突破だろう。余裕もあったみたいだし、準決勝以降が楽しみだ。
最後に登場するのは7組目の1年生の剛だ。前2人がいい流れを作ってくれたのでそれに乗ってほしいところだ。
「オン・ユア・マーク。セット」
号砲と共に走者一斉にスタート。序盤から飛ばし過ぎず、自分のペースで走ろうとしているようだ。最後のストレートでもそこまでの減速は見られなかった。走り終わった後は辛そうだ。
電光掲示板を待つことの多さ。そろそろタイムと名前が映る。
男子400メートル走予選7組目
3 会田 剛 都立高倉高校 53.32
「良かった、多分予選突破できるタイムだ。」
「凄いね!3人全員準決勝進出なら。」
「スーパールーキーズなだけあるな。」
いい流れで来ている気がする。男子400メートル走の3人とも、きっと準決勝進出できる。
しばらくして結果が出た。男子400メートル走予選出場の3人の準決勝進出が決まった。
「凄い凄い!3人とも予選突破だよ。」
「スーパールーキーズもだけど、橋本先輩も流石だよな。」
「うん、余裕持って走って見えたし準決勝楽しみだ!さて、俺は自分の準備に入るよ。引き続き応援よろしく!」
「うん、頑張って来てね!」
「着順になるからって流しすぎてミスなんかするなよ!ファイト、友。」
「ありがとう!行ってくる。」
男子400メートル走予選の終わりと共に名波は準備に向かった。




